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2017年01月09日21:55

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何がカープを優勝させたのか?(2016年カープ回顧・前編)

最後の最後で無惨に敗れはしたものの、それでも「2016年はカープファンにとって素晴らしい1年となった」という表現に異論がある人はそうそういないかと思います。

チームは25年ぶりとなるリーグ優勝に日本シリーズ進出。
個人賞でも外国人左腕としては初の沢村賞に輝いたクリス・ジョンソンをはじめ、最多勝を野村祐輔、最多安打を菊池涼介がそれぞれ獲得。
更に、MVPには新井貴浩がリーグ最年長記録を塗り替えて輝き、ベストナインには球団史上最多タイの5人を送り込む事となったばかりか、果ては監督がインタビューで何気なく言った自身の息子の言葉が、何故か流行語大賞に輝くなどまさに「バラ色のシーズンだった」と言って過言ではないでしょう。
しかも、単に優勝というだけでなく2位との差が89勝17.5ゲーム差、勝率が.631といずれも両リーグ最高かつ球団史上最高の記録でリーグ全体を見ても類を見ない独走優勝という形。


広島東洋カープ(2016年)
143試合89勝52敗2分 勝率.631 (リーグ1位)


正直、これだけの結果を予想出来た者はほとんど皆無に近かったでしょう。
例のごとく物見高い評論家連中の中でもカープ優勝を的中させたのはほとんどカープ出身者による特に根拠のない身贔屓ぐらいのものでしたし…。

では、こうなってしまった要因はというと…「カープが強すぎたから」という意見もあれば「他のチームが弱すぎただけ」という意見もあります。
素直に言わせて貰えば、いずれを取るにしてもまったくの間違いではありませんが、いずれかだけでは言い切れない部分もあるかと思います。
ですので、ここでは何故カープは25年に及んだ呪縛を抜け出して栄冠を掴んだのかという事を改めて色んなデータを基に考えて出来るだけ客観的に眺めてみたいと思います。

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まず、2016年のカープの成績を大まかに眺めていて明らかに良くなっているのは打撃成績です。


広島東洋カープ打撃成績(2016年)
打率.272(1位)
得点684(1位)
本塁打153本(1位)
盗塁118(1位)
犠打91(3位)
得点圏打率.264(2位)
出塁率.343(1位)
長打率.421(1位)
NOI483.8(1位)


広島東洋カープ打撃成績(2015年)
打率.246(5位)
得点506(3位)
本塁打105本(3位)
盗塁80(4位)
犠打135(3位)
得点圏打率.235(6位)
出塁率.312(5位)
長打率.368(3位)
NOI435.1(2位)
※()はリーグ内で比較した場合の順位


2015年シーズンではリーグ全体で軒並み中位程度だった数値がいずれも1位となるという大躍進。
特に特筆すべきなのは2015年の勝負弱さを表すかのような低調さを見せていた得点圏打率が一気にリーグ1位にまでのし上がった事。
一方で、NOI(OPSを、出塁率を重視したうえで計算し直した数値)は2015年もリーグ上位でしたから、走者で出ても得点に至らずという試合が多かった事例が解消されたように見えます。
また、盗塁も増えた事で「機動力野球復活」というお題目を唱え続けた関係者の望み通りにはかなったように見えますが、一方で犠打数は減少しています。
これは、出塁率とNOIが大幅に上昇した事と関係があるかと思います。
というのも、長打率も大幅に上昇している一方で、NOIが球界全体でもぶっちぎりの数値を見せている訳ですから、とにかく盗塁企図だけは多く遮二無二走っていただけの2015年と異なり、より走る機会と走りやすい環境が増えたという事でしょう。
すなわち「走る機会」とは出塁する事であり「走りやすい環境」とは早いカウントで慌てて打つ事無くじっくり勝負する事です。
少なくとも、四球数自体も上昇している(441→500)訳ですから2015年のように走者がいながら、打ち急いで好機を逸するという事が減少しれ利他的なプレーをする選手が増えたと言えるかと思います。
例えば躍進の象徴である田中広輔、菊池涼介、丸佳浩のいわゆる「タナキクマル」の成績を見てもそれは一目瞭然です。


田中広輔(2016)
打率.265(20位)
出塁率.367(10位)
得点圏打率(.255)

菊池涼介(2016)
打率.315(4位)
出塁率.358(13位)
得点圏打率.343(6位)

丸佳浩(2016)
打率.291(20位)
出塁率.389(6位)
得点圏打率.277(16位)
※()はリーグ内で比較した場合の順位


菊池を除けばいずれも打率に比して出塁率が高く、「打てないなら打てないなりにチームに貢献する」という意識が大変高かったように見えます。
その菊池にしても得点圏打率はリーグ6位で比較的好機に弱い二人に比べて勝負強さがあったような印象です。
また、丸、菊池に比べて田中広輔の盗塁成功率が低い(59.6)のは彼の後ろを打つ菊池が多少、早打ち傾向だった事と関係あるかもしれません。
更に、彼ら「タナキクマル」の後ろに続く選手を見ても非常に利他的な数値が並びます。


新井貴浩(2016)
打率.300(9位)
出塁率.372(8位)
得点圏打率.327(8位)

鈴木誠也(2016)
打率.335(2位)
出塁率.404(4位)
得点圏打率.346(4位)

松山竜平(2016)
打率.291
出塁率.342
得点圏打率.250

ブラッド・エルドレッド(2016)
打率.294
出塁率.362
得点圏打率.234

エクトル・ルナ(2016)
打率.272
出塁率.332
得点圏打率.289
※()はリーグ内で比較した場合の順位
※()なしは規定打席到達未満


球団史上でも稀に見る超人的な成績を収めた鈴木誠也や100打点を記録した新井貴浩はともかく、得点圏打率がお世辞にも高いとは言えない他の三人も出塁率に関してはリーグ平均(.319)を上回る数値で「例え打てなくてもしっかり繋いでいた」という印象です。
得点圏打率というのは「走者がいる場面で打順が回って来る」という事が前提である以上、運がある程度絡む為、セイバーメトリクスでは重視されない数値です。
しかし、チーム全体がこれだけ出塁率が高い選手が多く、かつ長打率の高さに比してNOIも高いという事はそれだけ「27回アウトを取られる前に得点を獲得する機会を増やしていた」という事ですから、得点圏打率が高くなるのもうなずけるような気がします。
現に、このチームの得点の分布を見ると、勝利した試合で得点が多いのは5回で、5回以降のイニングの得点数はいずれもリーグでトップです。
また、1回〜4回(72)の得点の平均を5回〜7回の平均(83)を上回っているので、先制攻撃よりもじっくりと攻めて決定機を待つという戦い方が多かったようにも見えます。
従って、リーグ1位の45回にも渡る逆転勝ちが多く「逆転のカープ」とも言われた要因もその辺りにあるように見えます。

もっとも、こういう戦い方は平均防御率(3.24→3.69)や与四球(427→445)を始め、軒並み数値が悪化している今季のセ・リーグにおけるリーグ戦なら有効だったとも思えます。
現に、なかなか先制出来ないうちに相手が潤沢なリリーフを投入してきた日本シリーズでは不振のリリーフ陣と共に結果的に足を引っ張る形になってしまったのですから…。

結論から言えば、2016年のカープは軒並み打撃成績ではリーグのトップを総なめするぐらいの成績でしたが、本塁打の数で派手さばかりが目立った訳でもなく、出塁率やNOI、それに得点圏打率に代表されるように「打てないなら打てないなりにチームに貢献する」もしくは、「しっかりとボールを見て投手にプレッシャーをかけ続ける」という事が出来ていたという事がその要因かと思います。
そして、そのような結果をもたらすのは何も盗塁や犠打数という「機動力野球」という言葉だけでは説明できないものであった事も付記しておきたいと思います。
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