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2020年06月04日15:30

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キッチン オトボケ

「キッチン オトボケ」という。

早稲田大学キャンパス脇、早稲田通り沿いに立つ早大生憩いの定食屋。
どれほど昔からの老舗かは存ぜぬが、私が高校を出て東京に登ってきたときには、既に早稲田界隈に知らぬ者のない「顔」であったと聞く。

高校時代の一番の親友D君と、この店に足繁く通ったのは昭和59年のことだから、もう40年の歳月が流れたことになる。
東大受験によもやの失敗を喫したD君は、「きっと自分は遊んじゃうから」と、浪人はせず、早稲田の政経学部政治学科に進んだ。

そんな彼は、大学から歩いてすぐのところに安下宿を見つけ、4畳半ひと間の貧乏暮らしを始めた。

そして入学してしばらくは、私も頻繁に彼の下宿に遊びに行ったもの。
自分の大学よりも早稲田のキャンパスを歩いた日の方が多かったのではないか。
実際、私が上京当初に住まいした三鷹からは、国分寺で乗り換えなきゃいけない一橋学園駅よりも、東西線で一本の早稲田駅の方が近かったし、及ばずながら、私も彼と同じ政経学部の合格通知を手にしていたから、彼と連れだって早稲田キャンパスを練り歩いても、自身の中にたいして違和感はなかったと思う。

そんな思い出の染み付いた象徴のひとつが、人をくったようなユニークな店名の「キッチンオトボケ」だった。
外観も内装も変わってしまっていて、当時を偲ばせる何ものもないけど、それでもこうして席について当店名物ジャンジャン焼き定食を前にすると、D君の18歳の頃の顔が目蓋に浮かぶ。

久しぶりに口にする一風変わったこの焼肉。
自身の大学の学生たちの心の拠り所「サッポロラーメン」の名物スタミナライスもまた焼肉の一種に違いないが、ジャンジャン焼きには独特の甘味がある。
どちらも美味で懐かしさが染み渡る逸品。
コロナ禍で廃業に追い込まれなかったのは何よりであった。
また、寄せてもらおう。

と、その前にD君に報告だ。
「キッチンオトボケ」健在なりと。

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