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2020年01月21日23:20

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教育は成功、でも子育ては失敗! 親の仕事は教育ではなく「心を育てる」こと

子育ての目的は心育て
レストランで子どもが走り回っています。「お店の人に怒られるよ!」「怖いおばさん(おじさん)に怒られるよ」と、子どもを諭す母親の姿をよく見かけます。でも、レストランで働いている人や食事中の(怖い)おばさんの仕事は子どもを怒ることではありません。

ハワイにある筆者の学校にも「親が言っても聞かないので先生から厳しく叱ってください!」と懇願してくる親が少なからずいます。しかし私たちの仕事は生徒を厳しく叱ることではなく、世界で通用するバイリンガルを育てることです。

今の社会は、親も教育者も「子育て」と「教育」を混同していて、お互いがお互いの領域に干渉し、責任のなすり合いをしているように見えます。間に挟まれた子どもは「誰を信じてついていけばいいのか」分からなくなり、やがて子どもも「自分がこうなったのは◯◯のせいだ」と責任転嫁するようになります。

まず「子育て」の目的は「心を育てること」です。そして責任者は「親」です。ここで言う「心」とは、自己や他者(社会)に対して自然に抱く気持ちのことで、人柄や人格形成の土台となるものです。良い子育てとは、自己や他者に対して「肯定感」を持てるように育てることであり、悪い子育てとは、自己や他者に対して「否定感・不信感」を植えつけてしまうことです。

子育ては「自分は親から愛され受け入れられている」という、あるがままの自己への自信を育てることから始まります。親がたっぷり愛情を伝え、甘えさせ、かわいがってあげると、子どもは「自分は親から受け入れられている」という受容感情を持つことができます。すると親以外の他者に対しても受容的、肯定的、開放的な性格に育っていくのです。

乳幼児期に親の愛情を十分に実感できないと「だれもボクを愛してくれない。だれも助けてくれない。この世は不安だらけだ」という不信感が心に根付いてしまいます。すると人生に対する姿勢が防御的になり、他者に対しても警戒的、攻撃的な性格に育つ可能性が高くなるのです。

親子の信頼関係が確立すると、子どもは親の言葉を聞くようになり「しつけ」も受け入れてくれるようになります。「親の言うことを聞かない!」と困っている方は、子どもに愛情を伝えて信頼関係を取り戻せば良いのです。怖いおばさんや学校の先生に頼んでも、親子間の問題は解決しません。

子どもに愛情を伝える一番の方法がスキンシップです。親の皮膚と子どもの皮膚との「心地よい接触」が愛情のインプットには最も効果的です。抱っこしたり、一緒にお風呂に入ったり、添い寝をしたり、たっぷり甘えさせてあげると子どもは心の底から安心できるのです。幼い子どもと密接な皮膚接触ができるのは親だけです。学校の先生がそんなことをしたらセクラハになってしまいます。だから子育ての責任者は「親」なのです。

教育の目的は知識や技能の習熟
次に「教育」の目的は「知識や技能の習熟」です。責任者は「親」でも可能ですが、現代社会においては「専門家」が担うケースがほとんどです。保育園や幼稚園の先生、習い事の先生、学校の先生の仕事は「子どもに効率的に知識や技能を習熟させること」です。

親が「子育て」と「教育」をごちゃ混ぜにして、学校の先生に子育てを期待したり、また、親が教育者になって知能教育に熱中すると、子どもの成長にゆがみが出たり、親子関係がぎくしゃくすることが多くなります。

わかりやすい例が「お受験」です。親が受験にヒートアップしてしまい、子どもを叱りつけたり、勉強を強制したり、周りと比較して「◯◯ちゃんはできるのに!」という心ない言葉をかけてしまう。そんな場面が多くなると、子どもは自信を喪失し、やる気を失い、最悪の場合、反抗心を根付かせます。

親の仕事は「心育て」。これを意識していれば、受験をする場合でも、親が過熱することは少なくなります。上手くできない子どもを叱るのでなく励ます、勉強を強制するのでなく自主的にやるように導く、周りと比較せず子どもの成長をほめる、これが「心を育てる」ということです。

親は「心育て」に専念し、「教育」は専門家に任せると、子どもはスクスクと成長していきます。もちろん家庭では親も教育サポートを与えますが、あくまでも後方支援です。学習習慣をつけたり、考えさせる質問をしたり、問題解決のヒントを与えたり、励ます言葉をかけたりということが中心となります。
教育は成功した、でも子育ては失敗した!
子育てと教育の混同が起きる原因の一つが「学歴主義」です。子どもの知能を伸ばし、よりよい学校に入れることが人生の成功切符であると、親も教師も受験のための「知能教育」に躍起になり「心育て」が置き去りにされているのです。

現代社会はあまりにも知能教育が重視されすぎて、心とのバランスがとれていません。英語、プログラミング、考える力など、知能教育の比重は時代とともに加速度的に大きくなる一方ですが、それを支える心は不安定なままなのです。

筆者の中国人の知人は、熱心な英才教育が功を奏して、一人息子をコロンビア大学に合格させました。子どもをアイビーリーグ大学に入れて両親は幸せな日々を過ごしていると思いきや、一人息子は進学してから両親との会話を拒否し、大学の卒業式にも両親には来ないでほしいと言い張り、親子関係が完全に断絶しているというのです。

『教育は成功した、でも子育ては失敗した』そんなケースが増えています。子どもが自分らしく自己実現していくためには「心育て」を忘れてはいけません。親は子どもの「心」の状態を常にモニターし、不安定な兆候があるときは、子どもと皮膚接触を増やし、受け入れ、励まし、安心させてあげてください。

子どもの「心」が安定していれば、その上に積み上げていく「知能教育」は決して難しくありません。子どもは集中して勉強に向き合うことができますから、大抵の技能をスムーズに習熟できるのです。勉強ができる子どもに育てるコツは子どもの心を安定(安心)させることです。

学業優秀な子はよい習慣が育っている
「うちの子が勉強できないのは先生の教え方が悪いからだ!」と学校にクレームする親が増えていると聞きます。クラス全員の成績が悪いのであれば先生に問題があるでしょうが、ほとんどの場合は、子どもに「勉強に向かう態度が形成されていないこと」が原因です。

カリフォルニア州立大学名誉教授のアーサー・コスタ博士は、学業優秀な子どもの共通点を調査しました。その結果、勉強がよくできる子どもは、やり抜く習慣、自制する習慣、聞く習慣、チャレンジする習慣など「よい習慣」を身につけていることが分かりました。

このような「よい習慣」の多くは、先生が教えるものではなく「親が育てるもの」です。前述の通り「聞く習慣」を育てるには、まず親子の信頼関係を構築することが必要です。子どもが親を100%信頼すれば、親の言葉に耳を傾けるようになり、親以外の人の言葉もきちん聞く習慣が身につくのです。

家庭で聞く習慣を育ててもらっていない子どもに、学校の先生が「ちゃんと聞きなさい!」と厳しく叱っても、先生の言葉は頭の中をすり抜けて行きます。だから授業が終わっても何を勉強したのかさっぱり覚えていないのです。

子育てと教育、それぞれの責任者をはっきりと区別し、それぞれが役割を果たせば、責任のなすり合いはなくなります。親は子どもの心をモニターし、良い習慣を育てる。知能教育は信頼できる専門化に任せる。これを実行すれば、子どもは知力と人間力を兼ね備えたたくましい人間に育ちます。
船津徹

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