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2022年07月01日12:15

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もう乗れない。池袋十八時十分発の急行

 ぼくはほとんどの日に会社を五時半の定時で退社する。大手町駅から地下鉄丸の内線に乗って池袋まで移動し、西武池袋線に乗り換える。改札口を抜ける時間はだいたい十七時五十二分ぐらい。
 二年前の三月まで、ぼくは改札を抜けると五番線に向かっていた。そこは十八時二十分発の飯能行きのホームである。飯能行きはその前に十八時十分発というのが七番線ホームから出ているのだが、そのときすでに七番線ホームには四列分ぐらいの人の列ができていたからだ。五番線に並べば先頭だ。余裕でシートに座れる。
 それが二年前の四月以降、第一回目の緊急事態宣言が出てテレワークがじわじわと広がってくるにつれて、七番線ホームの十八時十分発に並んでいる人が三分の一ぐらいに減った。それでぼくは七番線ホームに並ぶようになった。座れるなら早い電車に乗れるに越したことはない。
 しかしそれから二年以上が経ち、新コロ感染者数が日に日に減っていくに連れて、七番線ホームに並ぶ人が増えてきた。テレワークはもうやめたのだろうか。
 ならば仕方ない。ぼくはまた五番線に並ぶようになった。
 十八時十分発と十八時二十分発。たった十分のことだが、ぼくはこの二年ちょっとの期間、一本早い電車に乗れることがとてもうれしかった。「シートに座るために何本も前の電車のホームに立つ」というのは、なかなかめげるものなのだ。
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