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2020年02月29日06:07

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走れ!月火水木金曜日! 第六話

息子の影響で #おはスタ を見るようになり、 #おはガールfromGirls2 のファンになりました。
趣味で小説を書いているので、彼女達をモデルに一筆書いてみました。
とても短く仕上げました。もし、お時間ある方いらっしゃいましたら、お付き合いください。
タイトルは『 #走れ!月火水木金曜日! 』
作中には実在する人物名や団体名、商品名等が出てきますが、くれぐれもフィクションです。登場人物もおはガールをモデルとした架空の人物です。



第六話 土曜日  「ダンス部」
“皆、今日は空いてるよね? Eダンスアカデミーの再放送を見終わったら、学校へ集合!!!”

 シオからメンバーへラインが入り、程なくして、全員が集まる。
 といっても、土曜日でも予定がなければ自然とみんな学校に集まって、ダンス練したり、だらだらしたり、というのがいつものことだった。

「皆!!!大変だよっ!!!」
 勢いよく部室のドアが弾かれ、シオが飛び込んできた。
「どうしたん?デュエマのレアカードでも引き当てたん?」
「いや全然違うよ!!!今度の日曜日、つまり明日、金木パイセンが世界を全知全能にするって言ったんだ!!」
 シオの大きな声は皆にしっかりと響き渡った。
「・・・ほんとなの・・・?」
 ユズの顔から笑顔が消えた。
 呼吸を整えると、シオは昨日の金木パイセンとのやり取りを説明した。
「昨日、シオには金木パイセンを止めることができなかった・・・。でも、止めなきゃ!シオ達で止めなきゃ!!!」
 ほんの少しの沈黙が部室を漂った後――。
「もし、金木先輩の言う世界平和が本当に実現するのなら・・・私達はそれを止めてしまってもいいのかな?」
 取り乱すシオに対し、ミサは冷静に返事をした。
「世界平和なんかじゃないよ!!!金木パイセンがやろうとしていることは、人々から夢を奪うことなんだよ!!!こんなの魔王が世界を征服しに来たようなもんだよ!!!」

 ・・・・・・・・。

「ん。どうしたの?ユズ?」
「あ、いやその・・・魔王っていうのが引っかかってね。わたし、何か昔そういうのと戦ったことあったような・・・」
「それを言ったら、私も・・・『人々から夢を奪う』ってところがなんかデジャヴっていうか・・・」
 ユズの後にミサが続けた。
「はいはい・・・そこんところはこれ以上掘り下げない! とにかく、神様のアプリを使わないでもらう方法をみんなで考えよう!」
「そうはいっても・・・相手は全知全能の神様だよ。ワタシ達だけでいったい何ができる?今回はワタシ達、魔法とか、ハーモニーエネルギーとかは使えないんだよ」
 ユリ!掘り下げないで!!!
「シオ達ができることなんて・・・一つしかないでしょ。
 もう一度、ダンスで戦おう。今度は勝敗を曖昧にはしない。白黒つける。
 シオ達が勝ったら、神様のアプリを使うのをやめてもらう」
 シオは、ここまでしゃべると、少しだけ冷静さを取り戻した。

「確かに、私達にできることは、踊ることしかない。でもこの作戦を実現するには、いくつかの乗り越えるべきハードルがあるね」
 ミサは成績は悪いが、決して頭が悪いわけではない。むしろ、学業以外においてはなかなかに冴えわたることさえある。ミサは冷静に考え、続ける。
「まず、金木先輩にはこの勝負を受けるメリットがない。私達が負けたら金木先輩が欲しいものを何か提供できなければ、交渉が成立しない」
「・・・金木先輩の欲しいもの・・・モモなら何かわかるんじゃない?」
 ユリはモモに向かって言う。
「・・・心当たりならある。ミカヅキ君は典型的な理系人間や、利があると思わすことができれば、十分乗ってくると思うで」
 モモからの返事は十分に頼もしいものだった。ミサは続ける。
「次に、勝敗をどう決めるか?曖昧ではない白黒つける方法について」
「う〜〜ん。ダンスをGチューブで生配信して、見てくれた人に投票してもらうってのはどうかな?ワタシ達のダンスを生配信で見てくれる人って、どれくらいいたっけ?」
 ユリの提案にミサは答える。
「そうだなぁ、そうとう頑張れば100人くらいまで行けるかなぁ。100人いればこの方法で勝負になると思う。ユリ、ナイスアイデア」
 ミサは続ける。
「最後にもう一つ。勝負までこぎつけたとして、絶対に勝つ方法があるのか?もし負けたら世界は金木先輩に征服されてしまう」
 金木先輩は全知全能の神様になったり、世界征服を企む魔王になったりと忙しい。
 全知全能の神様に絶対に勝つ方法、そんなものがあるのだろうか?
 重苦しい沈黙が再び訪れ、この作戦は手詰まりかに見えた。
「・・・ダイジョウブ」
 沈黙を崩したのは・・・ユズだった。
「大丈夫。もしダンスで勝負するところまで持ち込めたのなら、わたし達は絶対に負けない!」
 ユズは自信満々にまっすぐにミサを見つめたまま言った。
何か策でもあるのだろうか?大丈夫と言い切るその根拠は何なのか?
 ミサの脳裏に一瞬そんなことがよぎったが、そんなものがあるかないかなど確認するまでもなく
「ユズに『ダイジョウブ』って言われると、本当に大丈夫な気がしてくるから、不思議やね」「ユズの『ダイジョウブ』の言葉には魔法がかかっているみたい」

「よし、それじゃ私はGチューブの準備と明日学校で撮影させてもらう許可をもらってくる。
 ユリは皆に勝負のことを告知して生配信を見てくれる人をできるだけたくさん集めて。
 シオは今の私達にできる最高のパフォーマンスを表現できる曲と振り付けの選定をお願い。
 そして、モモ 金木先輩への交渉だけど、こればっかりは多分モモにしかできない。何とかなるかな?」
 ミサは部長らしく的確に指示を出す。
「わたしは?」
 指示を受けていないユズの発言だ。
「ユズには、どうやったら勝てるのかを皆へ教えてほしい。何か考えがあるんでしょ?
 金木先輩は私と話したとき、ダンスのうまい人のたとえにマイケル・ジャクソンとEXALEをあげていた。ダンス勝負をするとなると、多分そのあたりを出してくると思う。つまり、私達は、マイケル・ジャクソンが来てもEXALEが来ても勝たなきゃならない」
「なるほどね。分かった。シオ、ダンスの調整をわたしも手伝うから、完成したら今日できる練習メニューを一緒に作ってほしい。勝つための練習メニュー」
「それは、もちろんだけど・・・シオ達でEXALEに勝てるの?」
「『ダイジョウブ』 USAでもTETSUYAでも小森隼でも関口メンディーでも好きなダンスを出してくればいい」

 ミサは、悪の関口メンディーがダンスで世界征服をするところを想像してしまった。
「ぷっ・・・それって私達、絶体絶命じゃない?」
「ふふ・・・あはは・・・」
 皆も笑い出した。
 追い詰められているのに笑いがこみあげてくるのは何故だろう?
 私達はたぶん『ダイジョウブ』の言葉の魔法にかかっているのだろう。

「よし!!!現時刻をもって、本作戦をコードネーム『チュワパネ』と呼称。各員、速やかに任務の遂行へ移って!」
「アニメ好きのミサに変なスイッチが入ってしもうたな。これはもうやるしかないで!」
総員は答える。
「「「「あいあいさ〜〜!!!」」」」

 *******************************

 学校での撮影の許可を取った後、モモとミサは、ミカヅキ君と交渉するためにとあるケーキ屋さんに来た。
 ユズの中学時代の友達の菅野ちゃんのお母さんの経営するお店で、ダンス部にとっては第2の溜まり場といったところだ。
「ところで、モモ。なんでケーキ屋さんなの?」
「ミカヅキ君みたいな頭のいいもん達は基本的に甘党なんや。脳みそが栄養としてほしがるんは甘いもんなんやと」
 そんな話をしているうちに、待ち合わせ時刻になる。
 時間ぴったりにミカヅキ君は到着した。
「話ってなんだい?」
 ミカヅキ君の第一声は白々しい。
 昨日とはうって変わって、不思議な威圧感をまとっている。
 魔王とも、関口メンディーともつかない、不思議な威圧感。
「そんなもん一つしか無いやろ。神様のアプリの件や」
「・・・りんねもこのアプリを広めることに、反対なんだね」
「あたりまえや!ただし、ただで辞めてくれるとは、思うてへんで。今日は交渉に来たんや」
「へぇ、いったいどんな?」
「明日あたし達と、もう一度ダンスバトルや。今度はしっかり白黒つける。そんであたし達が勝ったら、アプリを広めるのをやめてほしい」
「僕がその勝負を受けるメリットは?」
「ミカヅキ君がアプリを手にして、すぐに世界へ広めんで、ダンスに使ってみたんは、試してみたかったからやろ?このアプリがどんなものなんか?世界へ広める価値があるんか?つまりデータが欲しかったんや。これからやろうとしている勝負はGチューブで生配信して、視聴者100人に投票してもらうって流れや。つまりミカヅキ君の欲しいデータってもんが100人分手に入る。あたし達みたいな小娘5人に負けてしまうようなもんなら、世界へ広めるほどの価値は無いやろ。圧倒的に勝てば、念願のミカヅキ君を肯定する意見が手に入る。世界へ広めるに値する技術やと改めて確認できる。これってミカヅキ君にも十分なメリットにならへんかな?」
「なるほど・・・。ではもう一つ質問だ。審査してくれる100人というのは、君達が用意した100人なのかい?君達の息のかかった審査員が、問答無用で君達へ投票する。これでは勝負にならない」
「その心配は無用やで。何せあたし達にはそんな作戦絶対できんのやから。ミカヅキ君はあたし達なんかより何倍も有名人や。明日までにミカヅキ君が200人用意して組織票を入れられたら、あたし達の方がどうあがいても負けや。だからミカヅキ君に向かって組織票で挑むような無謀は考えてへん。そして、ミカヅキ君も正確なデータが欲しいのなら、不正はせんはずや。この勝負は正々堂々行われる」
「なるほど・・・では、僕も明日までにダンス動画を見てくれる100人集めておくよ。くれぐれも中立な立場で判定してくれる100人を」
「じゃぁ、交渉成立ってことでええんやね?」
「いやもう一つ質問がある。これは単純な興味なんだが、この勝負は意味があるのかい?」
「どういう意味や?」
「今の僕は全知全能だ。僕が勝つためには、君達より確実にダンスのうまい人をコピーしてくればいい。ただそれだけだ。君達の勝率は、あまく見積もっても約1%だ」
「1%もあれば十分だよ!物語の始まりはいつだって1%の未来を信じることから!」
 ミサから援護射撃があったようだ。
 心強い。モモは続ける。
「1%という数字がどんな計算で導き出されたんかは解らんけど、全知全能の神様が言うんやからきっと信憑性の高い数値なんやろね。ただ・・・ミカヅキ君は勘違いしとる。「数学」の世界では1%という数値はおそらく絶望的な数値なんやろね。でも、「物語」の世界では1%が実現するなんてことは結構あることなんやで。たとえば、この広い宇宙の小さな星の片隅にある島国で、あたしとミカヅキ君がこうして出会ってここでケーキを食べながら話をすることになる確率は・・・どれくらいやろね?1%が現実になっても何もおかしくないって思えるほどの奇跡がいま、目の前で起きてへんか?この奇跡に比べたら1%ってのは天文学的に大きな数値や。世界の未来を賭けた勝負に打って出るに値する」
「なるほど。ものは考えようだ。それじゃ、最後に、一つだけ条件がある」
 ミカヅキ君の威圧感が大きく膨れ上がり、黒いオーラの様なものが周りを包んでいるように見えた。
「・・・・な、何や・・・言ってみて」
「明日は日曜日だ。ひみつ戦士ファントミラージュの放送が終わってからの時間にしてほしい」
 黒いオーラが一瞬にして引っ込んだ気がした・・・。
 一瞬戸惑ったが、モモは強く返す。
「・・・望むところやっっっ!!!」

 ***************************

 無事に交渉を終えて、練習場所へ戻りながら、
「・・・いやぁしかしモモ、流石だね。ばっちり交渉成立!」
「まぁな、ミカヅキ君とは長い付き合いやから。しかし今日のミカヅキ君はなかなかの威圧感やったなぁ」
「うん、確かに、威圧感というか、ラスボス感というか、何かやばかったよね。それでいて、ケーキも残さず食べていったし、ファントミが見たいとか・・・キャラがブレすぎじゃない?」

****************************

「お帰り、交渉は成立した?」
 帰ってきた2人に対し、ユリは言った。
「あぁ、ばっちりや」
「こちらも順調だよ。ツイッターで告知も打ったし、ラインも入れた。シオ達もいい感じにダンス仕上げてるよ」
 ユリの後にシオが続ける。
「明日のダンスは、Honey Worksの『おはようのスマイル』で行く。シオ達のダンスって動画を見てくれた人も真似して踊って欲しいから、ちょっとだけダンスのレベルを簡単にして振りを作ってるよね。今回だけは、その縛りを解く。つまり、『おはようのスマイル ガッチガチアレンジ』シオ達の今できるパフォーマンスの限界まで難しい振りに調整した」
「練習メニューもできてるよ。さぁ、時間がない!みんな揃ったし、さっそく始めよう」
 それから、5人はユズの作成した練習メニューをこなす。
「さて、明日に疲れが残ってもいけないから、そろそろ帰ろう」
 ミサの発言の後、ユズが続けた。
「みんな、最後に一つだけ。今更言う事じゃないかもしれないけど、今回はいつもより難しいダンスだから、ちょっときついかもしれない。でも、どんなにきつくても絶対忘れちゃいけないことがある。『スマイル』わたし達は、皆を笑顔にするために踊るんだ。勝負に勝つのは大事だけど、笑顔無くしては勝利も無い!」
「・・・それだけ?それだけでいいの?」
 ユリはユズへ向けて質問した。
「どういうこと?」
「絶対勝てる作戦があるんでしょ?それだけでいいの?なんかこう・・・必勝法みたいなのがあるのかなぁって思ってたんだけど・・・」
「大丈夫、皆は笑顔でハイテンションに踊ってくれれば、それだけで十分」
「わかった、ユズを信じるよ。準備は整った 皆、明日は決戦だよ。
ワタシ達で、もう一度 世界を救おう!!!」
                                  日曜日へ続く

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