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2020年02月24日06:21

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走れ!月火水木金曜日! 第一話

 息子の影響で #おはスタ を見るようになり、 #おはガールfromGirls2 のファンになりました。
 趣味で小説を書いているので、彼女達をモデルに一筆書いてみました。
 とても短く仕上げました。もし、お時間ある方いらっしゃいましたら、お付き合いいただけたらとてもうれしいです。
 タイトルは『 #走れ!月火水木金曜日! 』
  
 作中には実在する人物名や団体名、商品名等が出てきますが、くれぐれもフィクションです。登場人物もおはガールをモデルとした架空の人物です。

#Girls2
#鶴屋美咲



プロローグ

「ねぇ、神様のアプリって知ってる?」
「あぁ、あの・・・ちょっと前に都市伝説とかでやってたやつでしょ?」
「そうそう、目と耳から光と音を特殊な順序で入力されると、脳内にアプリがインストールされるってやつ」
「例えば、英単語帳のアプリをインストールしたら、あたしでも英語のテストで満点取れちゃう感じ?」
「たしか、科学教の神様とか呼ばれていた・・・えっと、何とかっていう天才が作って、とあるサイトにアップしたんだよね」
「そう、だけどアップされてから、ものの3分でサイトは凍結、難解なパスワードでロックされて、製作者本人も科学の世界から退いてそのまま行方不明だとか・・・」
「この3分で全知全能になった人がいるらしいよ」
「まさかっ!!!」



 それから3年後、一人の天才高校生がサイトの封印を解くことに成功する。







第一話 月曜日  「観月 美沙(みづき みさ)」

「あれ!?金木先輩、金木先輩だよね?どうしたの?うちの部に何か用?ダンスに興味あるんですか?もしかして体験入部とか?」

 びっくりしながら怒涛の質問を投げかけている私は、高校一年生でダンス部の部長を務める「観月 美沙(みづき みさ)」。
 ・・・といってもダンス部は結成してまだ半年前だし、メンバーも5人しかいない。でもね、人数は少ないけどダンスの腕は全員まぁ、そこそこってところだと思う。
 そんな小さなダンス部に、今日は珍しくお客さんが来たみたい。
 驚くべきお客さん。それが、金木先輩。
数学や物理とか、発明とかの分野で数々の偉業をなして、現在世界一の天才高校生だとかってネットやテレビのニュースに取り上げられてるすごい人。その上イケメンでスポーツ万能っていうんだから非の打ちどころがない・・・と思いきや、一つある。
先輩のフルネームは「金木 水火月(かねき みかづき)」。
 さかさまにすると月火水木金。 親御さんは息子の名前でだいぶ遊んじゃったなぁ、って感じだね。

「いや、そうじゃないんだ。今日は君達のダンスのデータを取らせてもらいに来たんだ」
 金木先輩は笑顔で答えたんだけど・・・。
「データ???」
 私は笑顔になれず、首をひねる。
「ダンスって不思議だよね。数学と違って正解が決まっていない。踊る人によって、または見る人によって評価はそれぞれ、また時代や場所によっても正解は変わってくる。ただ、数学的に観察するとダンスというのは『音に合わせて体の座標を更新することを繰り返す行為』といえるかな。つまり、座標更新のデータを解析すれば、ダンスの正解が導き出せるかもしれない」
 ????天才の言っていることは凡人の私には理解できないみたい。
「モーションキャプチャって知っているかな?これを装着して踊ってみてほしいんだ。そうすると君のダンスがデータとしてこのパソコンに取り込まれる。そのデータを解析して、最近僕が手に入れた特殊な技術へ転用すると・・・僕は明日には君達と同じダンスが踊れるようになる」
 ????たった一日で私達と同じレベルのダンスを踊る?
「う〜ん。よくわからないけどダンスに興味があるんだよね?そんでうまくなりたいんですね?」
 私なりに天才の言葉の意味をなんとか解釈し、先輩なので半分くらい敬語を交えつつそう返事をした。
「難しいことはよくわからないけど、データ取りだけじゃつまらないですよね?せっかく来たんだし、ちょっと踊っていきましょうよ!」
「う〜ん・・・たしかに、現在の自分がどれくらい踊れるかを確認しておくのもいいか。よし、それじゃ一つ、よろしく頼むよ」
 そうこなくっちゃ!!!

******************

 私達5人は、くるくると舞った。一糸乱れぬ5人の連携は日々の練習のたまものだ。いつも一緒に練習している仲間だからこそ感じることができる不思議な一体感。そして、皆で同じ振りを踊っているにもかかわらず、よく見ると5人それぞれには細かいところで個性がある。動きの切れだったりダイナミックさであったり、またはしなやかさであったり。
 個性を残しつつ、それでいてぴったりとシンクロしたダンスに見えるところがダンスの楽しさでもあり、不思議さでもある。

 金木先輩も、見様見真似で踊ってみる。
「金木パイセン、そこ全然ダメ!!!」
「まずは、基礎からやってみよっ!このステップを真似してみて」
 それはとてもシンプルな足のみの動き。
「うん、素人にしてはまぁまぁやね」
「じゃ、そこに手の動きをたして・・・・こう!」
 シンプルなのに足と手を同時に動かすと急に動けなくなる。
「ほら先輩!!!また遅れてますよっ!!!」
 スポーツ万能と噂だった金木先輩でも、小一時間もすると・・・くたくたに疲れたようで座り込んでしまった。
 私達はそのまま2時間程踊ってから、練習を終えた。
「お疲れ様、初日にしてはなかなかでしたよっ!いつでもまた遊びに来てくださいねっ!」

 ***************

 部活あがりの帰り道、私は後ろから声をかけられた。
「ミサちゃん!ちょっと待ってくれないか?」
「ん?あぁ金木先輩か。皆はライトオンにナイロンジャケットとロングTシャツを買いに行きましたよ。先輩もそっちへ行ったらどうですか?」
「あ、いやその、できれば君達5人と個別に話す時間が欲しくてね。今からちょっと話せないかな?」
 参ったなぁ。私をよく知る友人なら、月曜の放課後の私には絶対話しかけないのに・・・。
「私がなんで皆と一緒にライトオンへ行っていないのか解りますか?」
 私は振り向きもせず歩きながら話し始めた。
「私達は基本いつも一緒。でも私は一人の時間もとても大切にしている。だから月曜日の部活あがりだけは誰にも邪魔されない一人の時間にさせてもらっているの。つまりONとOFFをきっちり分けるタイプで、今もう既にOFFなんだけど」
「・・・それは・・・すまない。君の家がどこなのか知らないし、そこまでついていくつもりはないんだ。できるだけ手短にする。歩きながらでいいからちょっとだけ話せないかな?」
 ほっといて欲しいとは言ったものの、今日が初対面の私に向かってそこまで話したいことって何だろう?少し気になるところでもあった。
「・・・わかりました。ちょっとだけ聞きます。何ですか?」
「君達は毎日毎日辛い練習を一生懸命やっているよね。頑張って頑張ってやっと踊れるようになる」
 何が言いたいんですか? ・・・と言いそうになったが呑み込んだ。
「もし、誰でも簡単にダンスが踊れる様な技術が発明されたらどうだろう?それを使えば一瞬でEXILEにもマイケル・ジャクソンにもなれる」
「・・・それって、私達のダンスがマイケルに負けているってことですか?」
「・・・あ、いやそういう訳じゃなくて、ただの一般論さ。ダンスのうまい人の一例として挙げさせてもらったまでで・・・」
「ふふっ・・・ジョーダンですよ。マイケルだけに。流石にそこまで自信家じゃない」
 手短に済ませようと思ったけど、ダンスの話なら嫌いじゃない。ダンスを何も知らない先輩にちょっと語ってやろうか。
「先輩は今日私達のダンスを見ていましたよね?辛そうに見えたんですか?苦しそうな顔してましたか?私達」
「あ、いや表情のデータはサンプリングしてなかったな・・・」
「先輩はダンスも下手でしたが、見るのも下手ですね。モーションキャプなんちゃらとかじゃなくて、私達はその目で見て、心で感じてほしいんです。そうすれば私達が苦しんでいたかどうかわかったはずです。もちろん、踊れなくて悔しくてちょっと泣いちゃったこともある。でもね、苦しいときはみんなで励ましあう。そうしてやっとの思いで踊れるようになったとき、すごく楽しいんですよ、ダンスって」
 一呼吸おいて続ける。
「それともう一つ。EXILEやマイケル・ジャクソンにはもちろん憧れる。でもマイケルになりたいっていうのは全然違う。むしろなりたくない。私には私のダンスがあって、その中にはマイケルにもできないこともある・・・かもしれないでしょ。ダンスって個性がとても大事なんですよ。先輩の言っている技術というものを使って、どんなにうまくなったとしても、皆が全く同じダンスを踊るようなら、すごくつまらないと思う」
「なるほど、じゃあいったんマイケルの技術を取得して、そのうえで個性を鍛えていくっていうのはどうだろう?少なくとも泣くほどの憂鬱に悩まされる回数は、ある程度減らせたらその方がいいだろ?」
「分かってないですね。先輩今日最初に言ってたじゃないですか。『ダンスには正解がない』って。まるでマイケルが正解だとでも言わんばかりですよ。たとえ私のダンスが正解にたどり着けなくても、見る人が変わると『マイケルより正解だ』って思う人がいるかもしれない。つまり私の憂鬱は見方を替えるだけで憂鬱ではなくなるんです。そして、幸いにも見方が全く違う5人の個性的な味方が揃っているんです。つまり私達のダンスには『憂鬱な気持ちを掻き消す』力がある。ここに先輩の技術は必要ない」
 きっぱりと言い切った後、私はまた無表情へ戻る。OFFになっていたスイッチがダンス論を語ることで少しだけONに傾いてしまった。
「そうか、じゃぁこちらも見方を替えて、こういうのはどうかな?ダンスの技術をとりあえずサクッと向上させておけば、練習に費やす時間は節約できる。その分の時間を例えば、学業に注ぐこともできる」
 私は立ち止まり金木先輩へ視線を向ける。
「・・・あ〜なるほど。そういうことか。金木先輩ってうちの部の『モモ』と仲良かったよね。それなのに私のところに最初に来たのはなんでかなぁ・・・って思っていたけど。今わかりました。先輩は私の成績が悪いから、私のことを『馬鹿だから御しやすいだろう』と思ってやってきた」
「・・・いや、そんなつもりはないよ。本当に。君が最初に一人になったから来ただけで・・・」
「残念でした。馬鹿もいろいろと考えるんです!先輩が何を企んでいるのかわかりませんが、私はそんな技術に興味ないですね。というかそんなすごい技術があるんなら、むしろ勉強の方をできるようにしてほしいですね。そうすれば、宿題やる時間をダンス練にまわせるじゃないですか」
「あ、確かに」
 天才は凡人の気持ちが全く解ってない。
「もういいですかね。私もそろそろ一人の世界へ帰りたいので、今日はこれで」
「あぁ、いろいろありがとう。君のダンス論を聞けてとても有意義だった」

 たった今先輩と別れたところですぐ、後ろから声をかけられた。
「あ、そうだ!ちょっと待って。最後に一つ」
 一人の世界へ行くのはなかなか難しい。
「君がさっき言っていた『勉強の方をできるようにしてほしい』ってやつ。少しだけ叶えてあげるよ」
 先輩はポケットから携帯を取り出すと私の目の前にかざした。
 すると・・・画面から意味不明な光の羅列が流れ込んでくる。それと同時に謎の音声が頭の中に鳴り響く・・・。頭の中に明らかに自分ではない何かが押し込まれていく・・・。
 ・・・しばらく呆けていると・・・。
「はい、インストール完了。君の脳内へ『電卓アプリ』をインストールした。といっても人間の脳は『忘れる』というとても高性能な機能を有しているので、個人差はあるけどこのアプリの有効期限はだいたい2日くらいだから、注意してね。それじゃ。また明日」

 その日、私は家に帰ってから数学の宿題を10秒で終わらせた。
 脳内で電卓アプリがカタカタと演算する。
式を見ただけで・・・答えがわかる・・・。
 これが、先輩の言っていた技術とかいうやつ?

 なるほど・・・これはこれで  ハッピーはなまる!!!

                                  火曜日へ続く

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