【映画感想】ジョーカー 鑑賞。〜貧困/障害…社会的弱者達が限界を超えた時…殺人は仕方ないものとして、正当化されるのか…彼の笑いの行き先は悲劇か…または喜劇か…〜

映画としては……★3.0ぐらい。
政治的テーマを訴えるものとしては、★4.0ぐらい。
印象に残る点では★4.8だと思います。

※結構ネタバレで書きます※

予想に反して、社会的/政治的テーマが強い作品でした。
嬉しい反面、「映画ぐらいは政治忘れさせてよ」と
久々の映画に複雑な気分もありました…

非常にシンプルな映画でした。
物語を端的に書くと、
「社会的弱者が限界を超えて殺人。それが社会現象になり、暴動に発展。」
それに対して、
「そんな主人公に感情移入出来るか、否か」という構成。

表現手法的には
「湯を沸かすほどの熱い愛」の「泣けよ、泣けよ。」と同じ、
「悲しいだろ。理不尽だろ。絶望だろ。」
というマイナス感情移入型。
それを悪役主人公に対してやって、表現規制15禁。

まぁ〜…グロいのはグロいけど、映画としては普通かな。
資本主義であるが故、差別があるのが当然で、生まれは誰にも選べない。
故、現代では、
人々は税金を払い、
税金は社会的弱者を支え、
差別の上限下限を抑え、
社会的均衡を保つ役割を行うことにより、安定した世の中が成立する。

この映画の中で、
「社会の支え」がまともであれば、
アーサーが助かるチャンスは何度かある。という演出が施されており、
初めから、自ら悪になるタイプではない人間。

…だが、ゴッサムシティは糞過ぎた。
都市として全く機能していない。
映画冒頭でいきなり「ゴミ収集がストライキにより停止している」背景描写説明。
ゴミ収集がストライキって

個人的には、ゴッサムシティの内政(貧困率/平均給与/税制 等)を調べてから、ゴッサムシティがどれだけひどい状況なのか…
そして、その中で暮らす一人の人間は精神を脅かされずに生きていけるのか…
ということをつらつら書きたかったが…生憎、内政情報は無いみたい。(そこまで変態作品ではないみたい)

「ゴミ収集がストライキにより停止する都市で暮らす。」
ということを考えてみて、アーサーが住んでいた現状を想像すると、
よりアーサー側の気持ちになれるのではないでしょうか。

日本人の場合は、殺人ではなく自殺数の方が圧倒的に多いので、
現実の世界と結び付けにくい。
銃社会であったのならば、
どれだけ危ない映画なのか、おわかりいただけただけると思います。
(海外では、入場の際に警察の手荷物検査や
あの残虐シーンでをする男性が劇場内にいる等、恐ろしいことになってます
この映画をアメリカで上映するとか、流石にワーナー馬鹿者としか言えない。)
.
…
……
で、問題の
「だから感情移入して殺人するのは仕方ないよね?
金持ちがもっと社会に貢献しないからこうなるんだよね?
だから暴動になるんだ!!」

という、いわゆる「超極左を応援するような映画」になっちゃってるんですが…
それは、この映画の舞台の中だけで完結しているからこそ共感できる部分であって、
現実の世界と結び付けて共感することには、断じて否定的です。
それを高らかに叫ぶのは、脅迫/恐喝と一緒だ。と私は考えます。

私が言いたい、この映画からの教訓は、
「社会を見れる余裕がある人は、社会や周りを見て欲しい。
自分に何が出来るのか。人々の足元を支えるにはどうすればよいのか。
その一つとして選挙がある。…とりあえず、選挙行こう!!」ということです(笑)

<現実と被ったシーン>
電車の中で、黒人の人が白人警官に誤射されますが、
あのシーンが、香港デモで警察に撃たれた高校生と思わず被りました…
(香港で上映すると、更に過激なデモになりそう)

<そこ、どうなん?シーン>
電車で笑うことにより女性を助けたのは大変素晴らしい結果でしたが、
暴行に遭う前に十分に逃げれた。ので思わず「ドМですか」と思ってしまいました。

病院に銃を持ち込むな。ただのバカ主人公と化している。

ホアキンフェニックスの謎ダンス。(日本でいう腹踊り芸に近しいものを感じる。)

ゴミ回収が止まる都市なのに裕福層がそこに住んでいることが、意味不明。(裕福層の危機感がなさすぎる。)
映画見る暇あったら裕福層は他の都市に行けよ。
どう考えても犯罪率高い都市やのに

<最高のシーン>
勿論、マレー・フランクリン・ショー。
これだけは今までの感情を逆手に取られたみたいで、非常に楽しかったｗｗ

<個人的に気に入っているシーン>
最初の子供に看板取られた時に路地に行く所で、スタイリッシュに滑るシーン。
めちゃくちゃ美しく、そしてダサい滑り方惚れ惚れする