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2021年07月29日11:14

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それにしてもスパイダーの元型である蜘蛛は外骨格動物であるのに対し、スネークの元型たる蛇は内骨格動物である。『ビッグ・タイム』には外骨格vs内骨格との分岐・対立・共存が含まれているのではないか。>

ハエとクモ、そしてヒトの祖先を知ろう

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年度別活動報告

年度別活動報告書:2009年度

脊索動物と節足動物の共通祖先を理解する 2−1 オオヒメグモの胚発生を支配する分子メカニズムの解明

小田広樹(主任研究員) 秋山-小田康子(奨励研究員)

野田彰子(研究補助員)

春田知洋、金山真紀(大阪大学大学院生)



はじめに

 多細胞動物は形態や発生様式に基づいて動物門と呼ばれる高次分類群に分類されているが、それらの分類は形態が変化してきた歴史を表すものではない。私たちヒトを含む脊椎動物は、無脊椎動物のホヤやナメクジウオとともに、より高次の分類群の脊索動物門にまとめられている。このグループに共通する重要な形態形質は脊索と呼ばれる体の中心を貫く組織である。

一方、ハエやチョウなどの昆虫は、エビやクモなどともに節足動物門にまとめられている。このグループに共通する形態は節構造をもつ外骨格である。

脊索動物の脊索も節足動物の外骨格も機能性の高い構造物であり、それぞれのグループの中では保守的に進化してきたようである。このような形態進化の保守的側面は形態に基づいて分類することを正当化するが、保守性を破るような歴史的大変化を見抜き、理解することを難しくしている。ところが、ゲノムに基づく比較研究にはこの困難を克服する可能性がある。

形態はあくまでもゲノムを介し、発生プログラムとして次世代に継承される。ゲノムの情報がどのように進化し、その進化が形態の進化とどのような関係にあったかを理解する努力が、生物の歴史を偏見無く、客観的に理解するために求められる。


 本研究はゲノムの進化と形態の進化の関係を分析し、普遍原理を明らかにすることを長期的な目標としている。そのために、脊索動物門と節足動物門を軸とした比較学を展開している。私たちの研究室はこれまでに節足動物門鋏角類に属するオオヒメグモ (Achaearanea tepidariorum) を新しいモデル生物として開拓してきたが、昨年度までの研究成果により私たちは、同じ節足動物門のハエとクモでは形態は類似していても、ゲノムに書き込まれている発生プログラムに注目すべき違いがあることを明らかにしている1)。

とりわけ、体軸を作り出す仕組みについてはハエとクモで大きな違いがある。現在までに私たちが理解している範囲で言えば、その違いは主に3つある。

ひとつは、前後軸に沿ったパターンの形成にハエでは転写因子ビコイドが中心的役割を果たすのに対して2)、

クモでは細胞間のシグナルを担うヘッジホッグが中心的役割を果たすこと。


ふたつめは、前後軸と背腹軸の直交化がハエでは卵母細胞の中の核が微小管に沿って移動し、ガーケンシグナルの位置を非対称化させることによって達成されるのに対して3)、

クモでは細胞移動によってディーピーピーシグナルの位置を非対称化させることよって達成されること4)。

3つめは、腹側のパターン形成において、ハエでは転写因子ドーサルが中心的な役割を果たすのに対して5)、クモではソグと呼ばれるディーピーピーシグナルの拮抗阻害因子が中心的な役割を果たすこと4)。

これらの違いは同じ動物グループの中でも発生プログラムが大胆に進化しうることを示唆しているために、ゲノムに基づく比較研究の正当性を危うくしている。つまり、進化の過程で起こった変化があまりに激しいため、現存の動物種の比較だけでは過去の変化を追跡することが困難なのではないかという危惧である。しかし、節足動物門の外に眼を向けると、オオヒメグモからの知見には注目すべき点が多い。形態に基づく分類区分とは対照的に、

分子的仕組みの比較ではクモがハエよりも脊椎動物に似ている点が見つかる1)。そのようなクモと脊椎動物の類似

   ★なんと!

が祖先的状態を反映していると結論付けることは難しいが、確実に言えることは、形態の異なるグループの関係を理解するには、まず各グループ内での発生プログラムの違いをしっかりと把握しなければならないことである。


 私たちはこのような長期的視点に立ち、オオヒメグモを節足動物門における非昆虫類のモデルとして研究を進めている。本年度は、昨年度までに行ってきたヘッジホッグシグナルや挿入型体節形成の解析に加え、解析技術の高度化を目指してマイクロインジェクション法の確立に取り組んだ。



結果と考察

(1)マイクロインジェクション(微量注入)法の確立

   【略】

(2)ヘッジホッグシグナルの下流で働く因子の探索

   【略】

(3)尾葉形成に関わる遺伝子の探索

   【略】

(4)背腹軸の向きを決める細胞運動におけるヘッジホッグシグナルの役割の解明

   【略】

(5)オオヒメグモの頭部領域における体節形成

 ヘッジホッグの発現を指標としてオオヒメグモ胚の体節形成過程を解析したところ、頭部領域、胸部領域、後体部領域で体節形成の仕組みに違いがあることが示唆された。

(3)で述べたように、後体部領域の体節は胚盤の中心領域から生じた尾葉が後方へ向けて成長するとともに順次形成される。一方、胸部領域の体節(歩脚に対応)は胚盤の中緯度領域から比較的同調的に形成され、頭部領域の体節は胚盤の周縁領域から前方に向けて成長しながら段階的に体節(鋏角、触肢に対応)が形成されているようであった。

今年度新たにマイクロンジェクションによる細胞標識ができるようになったことで、胚盤内の細胞の位置とその後の胚帯内での細胞の位置の関係を明確に示すデータを出すことができるようになった。さらに、蛍光タンパク質を発現させて細胞の動きをライブで観察することもできるようになった。これまでの観察から(まだ十分とは言えないが)、胚盤の周縁領域に由来する胚帯の予定頭部領域では細胞分裂と細胞の割り込み運動(インターカレーション)が上皮細胞層の前後方向への伸長に貢献しており、その細胞層の中でヘッジホッグの発現が1つのストライプから二段階の分割を経て3つのストライプに変化していることが考えられた。昨年度の解析では、Znフィンガー型の転写因子をコードしているオッドペアード遺伝子に対するRNAiによって頭部領域のヘッジホッグのストライプが分割されなくなることを発見していたが、今年度、その遺伝子に由来する重複しない別の二本鎖RNAを用いて同様の表現型を得ることができた。それにより、オッドペアード遺伝子の機能と頭部領域の体節形成の関係が強固に示された。
 本研究課題は(2)の研究課題とも密接に関連している。オオヒメグモの頭部領域における体節形成の解析を進めることによって、ヘッジホッグシグナルがどのような仕組みでパターンを生み出すかを解明できると同時に、昆虫における多核性胞胚の環境を前提とする体節形成の仕組みとの違いを明確にすることができると考えている。



おわりに

 本年度は、オオヒメグモ胚でマイクロインジェクションができるようになり、技術面において新たな可能性が見えてきた。遺伝子の過剰発現や局所的な遺伝子機能の抑制、細胞の分裂や運動のライブイメージングなど様々な応用がありうる。今後オオヒメグモが新しいモデル生物として受け入れられるためには、オオヒメグモ胚でどんな解析をできるかのか、そして、どんな発見をできるのかが問われている。オオヒメグモのゲノムに真正面から向き合い、動物間の共通点を理解しながら最終的には動物間の本質的な違い(動物グループ間で起こった過去の変化)を解明したいと考えている。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー以上転載ーー
https://www.brh.co.jp/research/lab04/activity/detail/94
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