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2020年10月27日00:02

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ショウジョウバエの時計遺伝子「Per (Period)」の同定に成功、ヤングは時計タンパク質PERと結合する第二の時計遺伝子「Tim(Timeless)」も発見しました。さらに彼らは、時計遺伝子が>

生命の時間を制御する仕組みである「ネガティブフィードバックループ」を解明>

<夜に活動し、恐竜が動き始める夜明け前に巣に戻るためには、光に頼らず、夜でも時間のわかるように、自身の中に正確に時を刻む時計システムを持たなくてはなりません。実際、昼行性の両生類、爬虫類、鳥類は太陽の位置から時間を知るため、哺乳類に比べると体内時計の重要性は高くありません>

★なるほどなぁ。それにしても地球に束縛されているほ乳類である人類が地球外宇宙に活動領域を拡げる必然性はあるのだろうか。



ーーー以下転載ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
2017年のノーベル生理学・医学賞は、時計遺伝子機構の発見に対して授与された。ショウジョウバエの時計遺伝子Per の同定に成功したのが1984年だから、かなりの時間が経ってからの受賞ということになる。
それは、時計遺伝子が、24時間周期にかかわる機能に限らず、核酸代謝や細胞増殖といった主要な生命活動と密接に関与していることの解明に時間を要したからだ。

地球上に生きる生物は、バクテリアからヒトに至る
まで、ほとんどが24時間の概日リズムを刻む体内時
計の機能を持っています。これは遺伝子レベルでコー
ドされており、その一群の遺伝子を時計遺伝子といい
ます。時計遺伝子は、全身の代謝やホルモン分泌、体
温の調節だけでなく、脳機能の一つである個体の日周
行動を規定していることがわかりました。

60年代には時計遺伝子は推定されていた

今では広く認められていますが、「行動を遺伝子が
規定する」というテーゼは、この研究が始まった、ワ
トソン、クリックのDNAの二重らせんモデルが登場し
たばかりの1950年代では非常に先鋭的でした。この
「行動遺伝学」の分野を創始したのは、今日の分子生物
学を築いた巨人のひとりであるシーモア・ベンザーで
す。彼は早い段階で、行動という高度な脳の機能も遺
伝子が規定するのではないか、と考えていました。

ベンザーは、1960年代末には大学院生だったロナ
ルド・コノプカとともに、遺伝子を変異させたショウ
ジョウバエを用いて行動リズムを測る研究をスタート
させます。そこで彼らは、特定の遺伝子が変異すると、
リズムがまったくない個体、24時間よりも長い個体、
短い個体が生じることを発見し、これらの突然変異が
染色体の同じ遺伝子座にあることを突き止め、この遺
伝子座を「Period」と名付けたのです。残念ながら当時
の技術では、遺伝子を同定するには至りませんでした
が、彼らが存命であれば、2017年度のノーベル賞受
賞者の列に加わっていたことは間違いありません。

その後、遺伝子クローニング、形質変換の技術開発
を経て、1984年にアメリカのジェフリー・ホール、
マイケル・ロスバシュ、マイケル・ヤングの3人が
ショウジョウバエの時計遺伝子「Per (Period)」の同定に成功、ヤングは時計タンパク質PERと結合する第二の時計遺伝子「Tim(Timeless)」も発見しました。さらに彼らは、時計遺伝子が生命の時間を制御する仕組みである「ネガティブフィードバックループ」を解明しています。

   【略】

時計遺伝子は、地球の自転の時間に同期するために
生物が獲得したものです。夜行性を基本とする哺乳類
では、視交叉上核という非常に安定した強固なリズム
を打つ中枢時計を作り上げ、強い行動リズムを示しま
す。マウスなど齧歯類は真っ暗な実験室で1年間飼育
しても、概日リズムを堅持して生殖もします。これが
できるのは完全な中枢時計を持つ哺乳類だけで、爬虫
類や鳥類は、同じような環境ではリズムを失ってしま
います。

   【略】

哺乳類が地球に現れたのは、2億年前のジュラ紀とされています。この時代は恐竜の全盛期です。哺乳類は、恐竜に捕食されないよう息を潜めて夜に暮らす必要がありました。夜行性を選んだことで、初期の哺乳類は色覚の一部を失い、わずかな光を感知し、同時に、主に昆虫などを捕食するために、聴覚と嗅覚を発達させ、脳が大きくなりました。哺乳類の原形はこの頃完成したとされています。夜に活動し、恐竜が動き始める夜明け前に巣に戻るためには、光に頼らず、夜でも時間のわかるように、自身の中に正確に時を刻む時計システムを持たなくてはなりません。実際、昼行性の両生類、爬虫類、鳥類は太陽の位置から時間を知るため、哺乳類に比べると
体内時計の重要性は高くありません。

   【略】

霊長類独自の時計システムの解明
ヒトでは、行動や内分泌のリズムが、環境の光や温
度サイクルだけでなく、社会活動で同期するといわれ
ています。またリズム異常の大きな原因に、社会生活
上のストレスがあることも知られています。こう考え
ると、ヒトのリズムを理解するには、視交叉上核だけ
でなく、大脳皮質を考慮する必要があるのではないで
しょうか。
そうした謎を解くには齧歯類では限界があると考え、
最近マーモセットを対象に研究を始めました。マーモ
セットは、300g程度の新世界猿で、ヒトと同じく昼
行性で、家族で育児をして生活します。
まず、マーモセットに内因性リズムがあるかどうか
を検索するため、環境の明暗条件が一定に保てる部屋
を作成しました。このような環境設備も日本では前例
がなく、一から作ったのです。その結果、温度と明暗
が一定の条件下でも、マーモセットの行動に自律性の
概日リズムがあることがわかりました。昼行性、夜行
性にかかわらず、やはり哺乳類には強い概日時計が
あったのです。
次に、マーモセット2匹を同室で飼育し、相互のリ
ズムがどのように影響されるのかを検索しました。そ
の結果、マーモセットでは、同居しているときはリズ
ムが完全に一致していることがわかりました。マウス
やハムスターの場合はこうした傾向が見られないので、
これは霊長類に特有の現象ではないかと考えています。
こうした行動の違いは、やはり脳の大きさの違いで
はないでしょうか。齧歯類と異なり、霊長類は、視床
下部の上を巨大な大脳皮質が覆っています。概日リズ
ムの時計は視床下部の中の視交叉上核にあって明暗に
左右されるといわれていますが、霊長類にはそれだけ
ではなく、大脳皮質からのシグナルがあるのではない
かと考えられます。まだ現象を確認しただけの段階で、
今後は分子生物学的なアプローチを進めていきたいと
思います。霊長類独自の時計システムの解明は、今後
の睡眠リズム研究における一つの大きなテーマとなっ
ていくことでしょう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー以上転載ーー
https://www.yakult.co.jp/healthist/252/img/pdf/p02_07.pdf
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