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2020年02月25日17:00

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鳥類や翼竜とは別の方法で空を飛ぶ、前代未聞の空飛び恐竜「イ」である可能性>?<奇妙な棒状の骨が、モモンガの皮膜を支える軟骨と似た役割>

# 恐竜


翼竜にあらず! 前代未聞の「空飛び恐竜」その名前はわずか1文字!
恐竜大陸をゆく「奇翼龍」編!


安田 峰俊




プロフィール

ノンフィクション作家、安田峰俊氏が「中国」「古生物」の2つのお題でサイエンスルポをやるという無茶ぶり連載「恐竜大陸をゆく」。今回は世界的大発見の内幕をガッツリ掘り下げました!

いわゆる鳥類以外で、空を飛ぶ恐竜はいるのか──?

答えはおそらく「イエス」だが、質問を聞いてプテラノドンやケツァルコアトルスなどの翼竜の姿を思い浮かべた人は、残念ながら不正解である。

翼竜は恐竜と近縁な生き物だが、三畳紀に恐竜と共通の祖先から分かれて独自の進化を遂げた爬虫類であって、「恐竜」ではないためだ。

では、私が今回紹介する「空飛び恐竜」とは何者なのか?

この恐竜の名前は、カタカナ表記ではなんと1文字。「イ」(もしくは「イー」)である。

学名はYi qiで、中国語での漢字名は奇翼龍(Qí yì lóng)だ。スカンソリオプテリクス科(Scansoriopterygidae)というあまり研究が進んでいない小型獣脚類の仲間であり、非常に謎の多い生き物である。

イは約1億6000万年前、ジュラ紀の中期か後期ごろに生息していた。大きさはカササギと同じかそれよりすこし大きい程度で、体重は380グラムほど、両腕を広げた長さが60センチメートルほどだと見られている。



手首からは他の獣脚類には見られない棒状の骨が(おそらく胴体側もしくは下方に向かって)伸びていたほか、長い指骨を持ち(特に第3指が長い)、これらの骨の間には膜状の組織の痕跡が確認された。

イは鳥類とも翼竜とも異なる形態の、どちらかと言えば哺乳類のコウモリにやや似た翼(皮膜)を持っていたと見られている。ただし、おそらくはコウモリのように羽ばたくことはできず、滑空する形で空を飛んでいたようだ。

もとは盗掘で見つかった

イの発見は2007年のことである。北京の東方150キロメートルほどの場所にある河北省青竜満族自治県木頭凳鎮に住む農民・王建栄が、近所の採石場で見つけた化石を、山東省にある世界最大規模の恐竜博物館・天宇自然博物館に持ち込んだのだ。


天宇自然博物館天宇自然博物館(公式サイトhttp://www.tynhm.com/ より) 

もっとも、この発見は「化石好きの農民の驚きの大発見!」といった美談ではなかった。

過去の本連載でも紹介した、シノサウロプテリクスが遼寧省で見つかった経緯と同じように、化石売却で経済的な利益を得ることを目的とする盗掘者的な化石ハンターによるものだったのだ。



NEXT 三角(右) 謎の「棒状の骨」


豪州の科学雑誌「COSMOS」に掲載された記事(2017年5月29日付け)によると、河北省北部の地層は遼寧省ほどは恐竜化石を豊かに産するわけではないが、地理的な条件ゆえに、遼寧層の地層よりも羽毛や軟組織が良好に保存されている場合がある。


事実、イの発見地周辺の山や谷は化石売却を目的にした地元の農民の発掘者たちによって穴だらけになっているそうである。

イの化石はこうした経緯で掘り出されたため、天宇博物館に運ばれた時点ではバラバラであり、しかも岩石に覆われていた。パッと見ただけでは、この化石が前代未聞の特徴を持つ新種の恐竜だとはわからない状態だったのだ。

手首の先に見つかった謎の骨

2009年、そんなイの化石の特徴に気付いたのは、中国の著名な恐竜学者である徐星(Xu Xing)だ。イの化石には羽毛が生えていた痕跡もあったが、徐星はイがどうやら他の小型獣脚類の羽毛恐竜たちとは違った特徴を持っているらしいことに気付く。



やがて2013年、徐星は自身のスタッフである丁暁慶を天宇博物館に派遣して化石のクリーニングをおこなわせ、頭蓋骨や手の特徴から、この化石がスカンソリオプテリクス科の未知の恐竜であることを確信するようになった。

ちなみにスカンソリオプテリクス(Scansoriopteryx:擅攀鳥龍。もしくはEpidendrosaurus)自体も、2002年に遼寧省で発見されたばかりであり、研究史のうえで新顔の恐竜だ。

スカンソリオプテリクスもまた、イと同じく長い第3指を持っていたのだが、従来の研究ではちょうど哺乳類のアイアイと同じように、木の穴のなかに隠れた昆虫を捕食するために指が長く進化したのではないかと見られていた(本ページ掲載の復元図はこの仮説にもとづく)。


スカンソリオプテリスクスカンソリオプテリスクの復元図 Illustration by Roman Garcia Mora / Stocktrek Images

ところがイの場合、もうひとつ変な特徴が見つかった。

手首にあたる部分から先に、他の恐竜では見られない長さ13センチメートルほどの棒状の骨が伸びていたのだ。中国恐竜研究の第一人者である徐星をもってしても、この骨の存在は理解を超えたものだった。

だが、やがて徐星と中国科学院の同僚でもあるアルバータ大学教授のコーウィン・スリヴァン(Corwin Sullivan)が、この奇妙な棒状の骨が、モモンガの皮膜を支える軟骨と似た役割をもっていたのではないかと指摘することになる。

この恐竜は、鳥類や翼竜とは別の方法で空を飛ぶ、前代未聞の空飛び恐竜である可能性が出てきたのだ。



NEXT 三角(右) 「ニセモノではない」ことの証明


「この標本はあまりにも変わっていて、保存状態も悪かったから、私たちはずいぶん長い時間をかけてやっと、この(棒状の骨の)構造を確認したんだよ」

徐星は後日、「中国教育報」(2016年2月22日付け)紙上でこう話している。イは最終的に2015年5月に「ネイチャー」誌上で報告されたが、発表に先立って徐星たちが心配したのは、この変な骨をニセモノではないかと疑われてしまうことだった。

盗掘者から売り込まれる化石は、ときに貴重な標本に見せかける目的でいくつか別の化石を組み合わせて作られている場合もあるからである。

だが、イの化石は徐星のスタッフである丁暁慶がみずからクリーニングしており、捏造品である可能性はほとんどなかった。徐星たちはさらに、例の棒状の骨の化学組成も分析して、納得できる結果を得ていた。

加えて、イを売り込んできた河北省の化石ハンター・王建栄を見つけ出したうえ、彼がイを掘り出した採石場で現地調査をおこない、地層と年代も特定した(逆に言えば、中国で盗掘されてから博物館に売り込まれる化石には、正確な発掘場所や地質年代がよくわからなくなっているものも多いということである)。


イイの発掘現場(徐星らの「ネイチャー」掲載論文より)

こうして、前代未聞の変わり者飛行恐竜、イは世に出ることができたのであった。

前出の「COSMOS」記事によると、徐星はイの発見によって、同じように長い第3指を持っているスカンソリオプテリクスらについても、イと同じく皮膜をもっていたのではないかと考えているとのことである。

もっとも、イの皮膜が実際はどのくらいの面積を持っていたのかはまだわかっていない。皮膜が指先の部分だけで扇状に広がっていたのか、腕の付け根から広い範囲で付いていたのか(下画像参照)についても不明である。


イの羽イの翼と他の飛行する脊椎動物の翼との比較。a〜cがイの想像図(皮膜がどう付いていたか不明なので3パターンある)、dがコウモリ、eがハト、fが翼竜、gがムササビである(「ネイチャー」掲載論文より)

そうした事情もあるためか、メリーランド大学の古生物学者、トーマス・R・ホルツ・ジュニア(Thomas Holtz Jr)は、イの皮膜は必ずしも飛行用途だったとは限らず、求愛行動や他の種と自分たちを区別するためのディスプレイ用途で発達した可能性もあるというコメントを、2015年5月1日付けの「サイエンティフィック・アメリカン」誌上で述べている。



NEXT 三角(右) あり得たかもしれない可能性

ちなみにイは、「イ(Yi)」が属名で、種名は「キ(Qi)」という変わった学名だが、これは過去の本連載記事第3回「恐竜の名前に「グ」が付くのは不正確だが残したほうがカッコいい問題」でも紹介した、中国語のアルファベット発音表記であるピンインを直接使うタイプの命名法である。

同様の命名がなされた中国恐竜は、遼寧省北票市の白亜紀前期の地層から出土した小型獣脚類のメイ(Mei long:寐龍)をはじめ、ときに名前がやたらに短くなることがある。


メイメイの復元図 Illustration by Emily Willoughby / Stocktrek Images

なかでもイ(Yi)の場合、アルファベットでわずか2文字なので、現時点では恐竜の属名のなかで最も短い名前だ。

イが属するスカンソリオプテリクス科はまだまだ研究が進んでいない種類だが、大きな分類のもとではコエルロサウルスの仲間(Coelurosauria)である。

つまり、始祖鳥などの鳥類にかなり近い生き物ということだ。


始祖鳥コエルロサウルス類に属する始祖鳥の復元図 Illustration by Stocktrek Images

コエルロサウルスの仲間は進化の過程で羽毛と翼を獲得し、空を飛べる鳥類になったことで生息域を広げ、結果的に白亜期末の大量絶滅を生き残ってその後の繁栄を築いた。

だが、イの存在は、彼らの仲間がもしかすると別の形で空に進出していたかもしれない可能性を示している。

イは結果的には進化の袋小路に入って消えてしまった生き物なのだが、恐竜が持っていた多様性をしみじみ感じさせてくれるユニークな存在なのである。

〈参考文献〉
A bizarre Jurassic maniraptoran theropod with preserved evidence of membranous wings(2015年5月7日「Nature」)
How Chinese fossils are rewriting the history of feathered dinosaurs(2017年5月29日「COSMOS」)
Bat-Winged Dinosaur Discovery Poses Flight Puzzle(2015年4月29日「Nature」)
小恐龍“打亂”鳥類縯化史(2016年2月22日「中国教育報」)
徐星:“奇翼龍”奇縁(2015年8月17日「中国科学報」)

「恐竜大陸をゆく」バックナンバーはこちら
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー以上転載ーー
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/63890?page=4

コエルロサウルス類


出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


コエルロサウルス類

コエルルス
コエルルス想像図


地質時代

ジュラ紀中期 - 完新世(現代)

分類


界 : 動物界 Animalia
門 : 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
綱 : 爬虫綱 Reptilia
亜綱 : 双弓亜綱 Diapsida
下綱 : 主竜形下綱 Archosauromorpha
上目 : 恐竜上目 Dinosauria
目 : 竜盤目 Saurischia
亜目 : 獣脚亜目 Theropoda
下目 : テタヌラ下目 Tetanurae
階級なし : コエルロサウルス類 Coelurosauria


学名

Coelurosauria
von Huene, 1914

上科, 科


本文参照


コエルロサウルス類(コエルロサウルスるい、Coelurosauria)は、恐竜の小型獣脚類の一グループである。コエルロサウルス類の特徴は三本指の前肢と細長い尾である。またコエルロサウルス類の段階で恐竜は羽毛を持つように進化したとされる。初期の羽毛は繊維状であり保温目的のものであったとする説が有力である。

コエルロサウルス類はジュラ紀中期にテタヌラ類から分岐した。コエルロサウルス類は元々小型獣脚類であったが、2次的に大型化したグループであるティラノサウルス類が含まれる。またここから分岐したマニラプトル形類は、鳥類により近いもので、分岐分類学的意味では鳥類そのものを含む。

食性については、従来肉食との見方が強かったが、木の実や草などの植物を食べていた種が多かったことが、アメリカのシカゴ・フィールド博物館の研究チームの研究により判明した(時事通信2010年12月31日15時28分配信記事)。

分類体系[編集]
有羊膜類 Amniota 竜弓類 Sauropsida 爬虫類 Reptilia 双弓類 Diapsida 主竜形類 Archosauromorpha 主竜類 Archosaurs 恐竜 Dinosauria 竜盤類 Saurischia 獣脚類 Theropoda テタヌラ類 Tetanurae コエルロサウルス類 Coelurosauria











下位系統[編集]


━コエルロサウルス類
┣トゥグルサウルスTugulusaurus
┣ティラノサウルス類(tyranosauroidare)
┃┣ディロング
┃┣ティラノサウルス
┃┗アルバートサウルス
┗マニラプトル形類 (maniraptoriformes)
┗オルニトミモサウルス類 (Ornithomimosauria)
┃┗オルニトミムス類
┃┃ ┣オルニトミムス
┃┃ ┣ストルティオミムス
┃┃ ┗ガリミムス
┃┗アルヴァレスサウルス類 (Alvarezsauridae)
┃ ┣モノニクス Mononykus
┃ ┗アルヴァレスサウルス Alvarezsaurus
┗コンプソグナトゥス類 (Compsognathidae)
┃┣コンプソグナトゥス
┃┗シノサウロプテリクス
┣オルニトレステス類 (Ornitholestidae)
┃┣?コエルルス
┃┗オルニトレステス
┗マニラプトル類 (Maniraptora)
┣┳テリジノサウルス類 (Therizinosauridae)
┃┃┣テリジノサウルス
┃┃┗セグノサウルス Segnosaurus
┃┗オヴィラプトル類 (Oviraptoridae)
┃ ┣オヴィラプトル
┃ ┗プロターケオプテリクス
┗エウマニラプトル類
┣デイノニコサウルス類 (Deinonychosauria)
┃┣トロオドン類 (Troodontidae)..
┃┃┣トロオドン
┃┃┗メイ
┃┗ドロマエオサウルス類 (dromaeosauridae)
┃  ┣デイノニクス
┃  ┣ヴェロキラプトル
┃  ┗ミクロラプトル
┗鳥類(綱) (Aves)
┃┣始祖鳥( Archaeopteryx)
┃┣孔子鳥 (Confuciusornis)
┃┗エナンティオルニス類 (Enantiornithes) - 白亜紀
┗オルニテュラエ類(Ornithurae)
┗真鳥類(Euornithes)
┣ヘスペロルニス
┣イクチオルニス
┗新鳥類(Neorinithes)(現生鳥類を含む)




ティラノサウルス頭骨






オルニトミムス骨格






オヴィラプトル想像図






始祖鳥






イクチオルニス






鳥類の進化系統図

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−以上転載ーー
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%82%A8%E3%83%AB%E3%83%AD%E3%82%B5%E3%82%A6%E3%83%AB%E3%82%B9%E9%A1%9E




スカンソリオプテリクス科

すかんそりおぷてりくすか

獣脚類の恐竜の一群であり、エピデンドロサウルスの仲間達の分類である。





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目次[非表示]

1 概要
2 主なスカンソリオプテリクス科
3 関連タグ


概要

エピデンドロサウルスの仲間は、樹上性で、木から木へと滑空していたかもしれない。2015年に発表された新種のイー・チーには、長い指と体の間に滑空するコウモリのような皮膜があったと推測されている。アイアイのような長い指を持った、ちょっと変わった姿をした恐竜である。



主なスカンソリオプテリクス科
エピデンドロサウルス(スカンソリオプテリクスとも)
エピデクシプテリクス
イー・チー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー以上転載ーー
https://dic.pixiv.net/a/%E3%82%B9%E3%82%AB%E3%83%B3%E3%82%BD%E3%83%AA%E3%82%AA%E3%83%97%E3%83%86%E3%83%AA%E3%82%AF%E3%82%B9%E7%A7%91

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