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2020年01月29日01:54

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【私説】細胞とウイルスとの共進化が始まる。>コロナウイルスなどのRNAウイルスは、タンパク質に包まれたRNAで、原始RNAの生き残りにほかならないのではないか。それぞれの動物種に収まっている限り、>>

>宿主と共存し合っている。が、種の壁を越えたとたん猛烈な抗原抗体反応が引き起こされ、重篤な症状を顕現するのではなかろうか≪



4.RNAワールドこそ原初の生命体
 現生の細胞の中には生体の設計図を担う
DNAが存在する。それをコピーしたメッセンジャーRNAによって運ばれていった先の工場がリボソームRNAだ。この工場にトランスファーRNAというトラックが二〇種類のアミノ酸を積んで運び入れる。工場ではアミノ酸を組み合わされてつながれて、タンパク質が作られ出荷される。これが現代生物学のセントラル・ドグマといわれているものだ。ちなみにアミノ酸は百種類ほどあり、そのなかでどうして二〇種類が選ばれたかはわかっていない。
 DNAが絶対的に支配するセントラル・ドグマに対して、いやRNAが先行すると主張する「RNAワールド」説が現れ、DNAの絶対的支配を相対化した。いまや生物学者の多くがこの説に賛同している。この説に基づけば、熱水噴出孔周辺で、袋に包まれた泡の内部で原始のスープのさまざまな生命物質の化学変化が活発に進行し、複雑な分子が蓄積されていく。その泡は、オパーリンのいうコアセルベートであろう。適当な油と水を混ぜると、安定した液滴を形成する。このコアセルベートの内部でこそRNAワールドが進行したのではないか。
 遥かなる地球の太古、深海の熱水噴出孔の近くで「原始RNA」が形成され、遺伝情報と触媒機能の両方を兼ね備えた。それこそが地球の生命の大元である、と思う。ここから先は私説が入り混じるので、眉に唾をつけて聴いていただきたい。
 情報を保持するRNAが触媒能をもつと、RNAそれ自体で自らを切断し、連結を繰り返し、原始情報分子が自ら進化できる可能性を示している。さらに、この原始RNAからリボソームRNAとトランスファーRNAが形成され、タンパク質を作り始めたのだろう。これによって、RNAとタンパク質からなる生命体の世界ができる。
 RNAとタンパク質からなる生命体は、熱水噴出孔周辺に生じる、袋に包まれた泡の内部で、外部より安定した代謝機能を営むだろう。
滝に虹がかかるように、極端な温度勾配のある熱水噴出孔周辺で、袋に包まれた泡のような生物―初期RNA細胞が誕生する。では、代謝とはなにか。
 代謝は、「生細胞が熱力学の法則に従って環境から自由エネルギーのうち環境から自由エネルギーを取り出す能力」(シュレーディンガー)である。負のエントロピーの議論として有名になった。かんたんに言っちゃうと、ものを食べるから、自由に遊べるんでしょうねぇ。
 初期RNA細胞が誕生するのと、ほとんど同時に、進化の道が分岐するのではないか。一つは触媒機能を失うか、あるいは初めから持たずに情報機能のみを有するRNAが自ら編み出したタンパク質の衣を全身にまとって、RNAウイルスが誕生する。RNAのもっていた遺伝情報は不安定であった。壊れては再建される、その動的な不安定な形は彼らを虎視眈々と自分が入り込んでいく細胞の誕生を待ち望む姿となる。ちなみに武漢市で発生した新型肺炎はRNAウイルスである。
 RNAワールドのもう一つの進化の道がまさしく細胞を創りだしていく。RNAが作ったさまざまなタンパク質の中には、DNAを生み出す酵素もあったのだろう。それらの酵素がDNAを作り、不安定なRNAのもっている遺伝情報を安定したDNAに移していく。こうしてDNAワールドができた。
泡の内部でできあがっていくDNAも、そのままでは泡の膜のままでは、シャボン玉の破裂とともに壊れてしまう。本格的な細胞膜の作り方の情報を創り出したDNAが生き残る。それこそが本格的な細胞の誕生であろう。
 細胞の内部にはDNAが存在するのはもちろん、RNAがメッセンジャー、リボソーム、トランスファーの役割分担の流れに位置づけられ、タンパク質が造られ、細胞膜も立体的に張り巡らされていく。
 こうしてRNAワールドは、RNAウイルスが生まれるのに少し遅れて、DNAが核膜によって包まれることなく散在している核のない細胞を成立させたのではないか。核のない細胞は原核細胞とか裸核細胞とか無核細胞とか言われる。それに対して核膜によってDNAが保管されている細胞を真核細胞という。
 RNAウイルスは侵入していく原核細胞が誕生する以前、生まれては自壊していた。いったん原核細胞が誕生したからには、自らを複製させるために原核細胞に嬉々として侵入する。侵入される側の原核細胞もやられっぱなしではない。防備をかためる。それがRNA干渉である。
 RNA干渉は、発見からわずか八年で、二〇〇六年ノーベル医学生理学賞を獲得した。原核細胞ばかりでなく真核細胞を含むほとんどすべての生物種に有効とされる。RNA干渉はウイルス感染に対する防御機構であるばかりでなく、ゲノム上を転移する動く遺伝子を抑制して、ゲノムの安定性を保つことにも関わっているようだ。いったいどうしてそんなことができるのか。2本鎖RNAといくつかのタンパク質との複合体が、自分と同じ情報の塩基配列をもつメッセンジャーRNAに対して、特異的に結合し、切断してしまうことによって、遺伝子の発現を抑えてしまうのだ。
 RNAウイルスの浸入に対する備えを、いわば逆手にとって、侵入される側の細胞を自らの根源的な安定性を維持していることになる。
RNAの情報が逆転写されてできるDNAワールドが形成される細胞の進化が始まる。その一方で、RNAウイルスのまま存続し多様性を増していく進化が分岐する。細胞とウイルスとの共進化が始まる。
 コロナウイルスなどのRNAウイルスは、タンパク質に包まれたRNAで、原始RNAの生き残りにほかならないのではないか。それぞれの動物種に収まっている限り、宿主と共存し合っている。が、種の壁を越えたとたん猛烈な抗原抗体反応が引き起こされ、重篤な症状を顕現するのではなかろうか。
新型コロナウイルスが引き起こした死の舞踏は読者の眼前で進行した通りである。本来の「死の舞踏」が背景にしている黒死病ほどではないにしても。なお、黒死病がペスト菌によるものではなく、ウイルス性出血病である論文が発表されている。「ワクチンによるウイルス性出血熱の制圧は、少なくとも近い将来には難しいかもしれない。」と森川茂(国立感染症研究所 ウイルス第一部第一室)氏はいわれる。

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