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mixiユーザー(id:34660510)

2011年01月17日00:26

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オンド・マルトノを「絶滅危惧種」にするな

 今朝「報道2001」を観たあと、原田節(タカシ)が出るので「題名のない音楽会」に切り替えた。
 動物よろしく、絶滅危機種の楽器に光を当てる、というのが番組の趣向だったようで、高嶋ちさ子さんのガイドでオンド・マルトノが取りあげられたのだ。
 原田節さんは、レディオヘッドのジョニー・グリーンウッドも尊敬する世界的に有名なオンド・マルトノ奏者である。番組中彼は、オンド・マルトノという楽器の由来や機能や演奏法についてを丁寧に説明していたし、(楽器製作の)後継者の不在やメンテナンスの難しさといった現状にも率直に言及したし、もちろん演奏も披露した。オリヴィエ・メシアンの「トゥーランガリラ交響曲」の第5楽章を(オケとのバランスが良くなく、ほめられた出来ではなかった)。
 しかし、その演奏のあと、高嶋女史はこんなふうに言い放った。
 この楽器はいずれ絶滅する運命にあるようですね。だったら、この独特な音色を生かしていま流行りの「癒しの音楽」を演奏すればいい。それしかオンド・マルトノの生きる道はないんじゃないかしら、と。
 呆れた。ヴァイオリニストの発言とはとうてい思いがたい。かりにヴァイオリンが絶滅寸前の楽器だとしたらどうだろう? そんなことを言われて嬉しいか? 想像力に欠けた意見である。たとえそれが予め台本に書かれてあったセリフだとしても、だ。
 原田節さんは苦笑いを浮かべるしかなかった。その直後に披露した自作の曲がいささか精彩を欠いていたように聞こえたのは、穿ちすぎだろうか。
 たしかにオンド・マルトノはローファイの極みであろう。かさばるし、故障も多かろうし、音色にしたって簡便なシンセサイザーで代用できるものかもしれない。しかしだ、その大仰な装置が醸しだす特異な雰囲気、あるいは神秘性といったものが、音楽家たちの霊感、インスピレーションをいたく刺激するのではないか?

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%8E

 むかし勤めていたメーカーでは「オムニコード」という電子楽器を作っていた。和音を指定するボタンとセンサーがついており、センサーに指の腹を当ててかき鳴らすと(コードに即した)音階がオートハープのように鳴るという仕組みだった。社員はみな「使えねえ楽器」と洩らしていたし、残念なことにぼくもそう思いこんでいた。が、それは大きな間違いだった。
 U2やピーター・ゲイブリエルのプロデュースで有名なダニエル・ラノアが、このオムニコードをすこぶる魅力的に響かせていた。彼の手にかかると、チープなおもちゃみたいな楽器だと思っていたオムニコードが、幽玄というべき奥深い音像の、風吹きすさぶ荒野のかなたから微かに耳に届くチャイムのように聞こえたのだ。

 以来、楽器は自ずと聖性を持つ、がぼくの持論になった。どんなに無価値だと思えるものであっても。
 だから安易にカテゴライズしたり絶滅させたりしてはいけない。



【今日の音楽】
 というわけで、トゥーランガリラ交響曲の第5楽章。これはちょっと前まで「N響アワー」のテーマ音楽だった。
 原田節の弾く映像(シャイー指揮・ティボーpf・スカラ座)もあったが、この楽章が見あたらなかった。
「若い」版を選んだ理由は、映像も音楽も明るく、オンド・マルトノを演奏する手もとがよく映っているからです。



 この法悦境にどっぷり浸かりたいんなら、CDで聴くほうがいいね。なにせ第10楽章まであるんだから。

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コメント

  • mixiユーザー

    mixiユーザー2011年01月17日 00:44
    高嶋ちさ子さん、その程度の人だったかあ。好きでも嫌いでもない人だけど。

    オンド・マルトノは、俺は絶対に無くならないと思いますよ。B3と同様に。
    到底デジタルでは再生出来ない倍音を持ってますし。危ういのは後継者不足。
    俺はトゥーランガリラを3度生演奏で聴いてますが、いつも原田さんでした。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2011年01月17日 00:59
    過去にもアルベジョーネをはじめとして、
    滅んでしまった楽器は沢山あります。

    で、打ち込みがこれから主流になってくると、
    楽器奏者が失業する憂き目を見ている状況がある事を、
    どうやら高嶋さんはご存じないらしい。
    他人事じゃないのです。

    クラシックだから関係ない?そんな事はありません。
    オーケストラの大部分は補助金で成り立っている状況があり、
    日本経済もさらに崩壊していくとオーケストラそのものが成り立たなくなります。
    オンド・マルトノという単語をそのままクラシック音楽に置き換えてみると、そういう訳で今のクラシックが置かれている状況と見事に符合します。

    「この音楽はいずれ絶滅する運命にあるようですね。だったら、この独特な音色を生かしていま流行りの「癒しの音楽」を演奏すればいい。それしかクラシック音楽の生きる道はないんじゃないかしら」

    高嶋さんは自分が演奏している音楽をこのように指摘されて、
    きっと嬉しいに違いないだろう。

  • mixiユーザー

    mixiユーザー2011年01月17日 02:05
    nomatin さん

    倍音。あのポルタメント、たしかにシンセで代用はできませんよね。
    あらゆる楽器には人格と同じように、取り替えのきかない個性がある。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2011年01月17日 02:35
    ざらすとろ さん

    ぼくは途中から観てませんでしたが、その後、セルパンが紹介され、「宗教改革」の一部を演奏したとのことです。セルパンを吹く奏者に対しても、高嶋女史は一貫して「上から目線」だったようです・・・・・・。
    おそらく番組制作者の意図は、管弦楽で使われる珍しい楽器の紹介、だったのではないか、しかし彼女の高飛車な態度と伝法な口調が、奏者を萎縮させ、対象となる楽器を低い地位に貶めたのだと思います。
    タレントあるひとなのに、もったいないですね。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2011年01月17日 10:01
    本人がタカビーなのは負けず嫌いな性格なのでしょうね?おそらく彼女自身、クラシック音楽という垣根の無い活動をしているからだと思いますが、多分、癒し系だとかヒーリングだとか言われるのに抵抗が無いのでしょう。

    クラシック音楽は必ずしも聴き手に心地よい体験を保証する音楽ではなく、聴き手に生き方や世界観を問いかける極めてシリアスな側面があるという特殊事情を彼女は分かっていないのではないかと思います。

    「耳に心地よい癒し系の音楽だね」などという事は決して賞賛した事にならない。試しに、チェリやヴァントにそんなこと言ったら怒り出すと思う。
    クラシック音楽を知らない人がよく社交辞令なのか分からないけど、そういう褒め方をするのですが、あれは本当に止めた方が良いと思います。

    どうも演奏家なのにクラシック音楽というものを彼女はきちんと理解していない可能性があります。他の楽器をタカビーに腐す事よりも、考えたらそっちの方が頭が痛くなる・・・・。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2011年01月17日 19:34
    昨日の放送、冒頭(ハーディ・ガーディ)から見てました。
    このレッドリスト企画、前回も同じ不快感でした・・・らしくないスポットライトの当て方に。
    あれじゃ奇特な人集めたって思いますよ、救うとは逆のベクトルの。
    高嶋女史は他の企画にも出ますが、放言っぷりはあまり変わらないですね。
    彼女は過去壮絶なイジメにあったそうなのに、キャラとは言え何で受けたのか不思議ですね。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2011年01月18日 05:44
    ざらすとろ さん

    >クラシック音楽は必ずしも聴き手に心地よい体験を保証する音楽ではなく、聴き手に生き方や世界観を問いかける極めてシリアスな側面がある・・・

    ぼくは日ごろ観ないんですが、クラシック音楽に触れる機会を提供するために、無くしてはならない番組だとは思います。
    たまたま観た少年少女が、ん何だ? この音楽凄くない? と思うきっかけになればいいかと。
    クラシック音楽の「シリアスな側面」を一生知らずにいる人が大半ですから。多くの人が入り口をうろうろしているだけです。森の中に踏み入れようともしないで。
    ぼくもそうです。偉そうなことは言えません。

    だけど番組を構成するひとたちは、娯楽の要素を増やせば視聴者も増えるという思いこみから解放されて欲しいです。
    彼らが考える「企画」が、結果、クラシック音楽を「ダサく」映しだしているのだと、自覚してもらいたいのですが・・・・・・。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2011年01月18日 05:58
    松っつん さん

    そうですか、観てたんですか。これでウラはとれたな(笑)。
    ハーディーガーディーも紹介されてたんだ、まさに幕の内メニューですが。
    まあ考えてみると、あれはなかなか実際にお目にかかれるものではないですからね。
    ぼくは「絶滅危惧種」というカテゴライズにカチンと来たのだと思う。


    >彼女は過去壮絶なイジメにあったそうなのに、キャラとは言え何で受けたのか不思議ですね。

    そうだったんですか。だとしたら彼女の妙に攻撃的な態度も防禦の裏返しなのでしょうね。
    イジメられた経験を忘れさることは不可能ですが、怨嗟の呪縛からは解放されたほうがいい。
    ルサンチマンが行動原理になってはならない。自戒も込めて、つくづくそう思います。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2011年01月21日 00:25
    一番良いのは、ああだ、こうだの講釈は良いから、本当に凄い演奏を聴かせる事だったりすると思うのです。

    ところが、ああいうものを分かっていない発言から明らかなように、肝心の演奏家がクラシック音楽の事を良く分かっていないのではないかと思う事があります。

  • mixiユーザー

    mixiユーザー2011年01月22日 01:46
    ざらすとろ さん

    演奏家ばかりがいくら頑張っても、問題の解決にはならないと思います。
    聴き手である私たちも、もっとアクティヴに働きかけるべきでしょうね。
    まずは、音楽の現場に足繁く通うこと(これが諸事情で難しいですが)。
    その上で、冷静かつ愛情をこめて、正鵠を射た批評を行うことでしょう。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2011年01月22日 23:40
    たしかにそうなんです。
    とはいえ、時間の都合をつけお金を払って、大急ぎで夕飯をかっ込み、
    演奏会に聴きに行って、つまんない演奏だったら悲しいものがありますが、
    それでも聴き手が音楽家を育てるという意識が無いとダメですよね・・・
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2011年01月25日 05:37
    ざらすとろ さん

    その通りです。この問題に真剣に取り組んでいただき、ありがとうございます。
    いつか、どこかで、たとえば演奏会のロビーで、お会いできたらいいですね。

mixiユーザー

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