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日記一覧

1875(明治8)年生まれの長谷川如是閑は、『ある心の自叙伝』で自分の学生時代の教育を回想しているが、これがなかなか面白い。まだ制服などないから、学生の服装はバラバラである。それだけじゃなくて、先生の方もきちんとした洋装から、浪人風の着流しまで

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近代的自我というものは、自分というものどんどんと切り詰めて行って、最後には自分の外にある環境だけではなく、自己そのものを統御・支配の対象としてしまう。文化的偏見だけではなく自然な欲望でさえ自我の外に追い出してしまう。最後に残るのは、チャール

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イランの作家ジャラール・アーレ・アフマドの『地の呪い』(山田稔訳)という小説にこんな場面があった。ある小村に赴任した師範学校出の教師。上からの近代化が強行されている時代で、村でも伝統的共同体を犠牲にしながら狡い奴ばかりがうまいことやっている

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涼しき一票
2019年08月20日20:49

暑さでだいぶん衰弱してきた。去年は体を壊したこともあって、自分でも危ないんじゃないかと思うくらい弱ったが、今年もかなりやばい。空調どころか扇風機もない生活だから、毎日七輪であぶられるイワシである。いい加減脂も出尽くした。幸い湘南から山を越え

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慈悲深い社会の自己責任
2019年08月19日17:39

もう亡くなった人だが、伊藤計劃という若い人に人気のSF作家がいて、『ハーモニー』という近未来小説を書いている(自分は映画は見たが小説は読んでいない)。暴動、戦争、未知のウイルスの蔓延などにより世界は一度大崩壊を経験した。その繰り返しを避けるた

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訃報 民主主義
2019年08月18日10:55

閑話休題。唯一無比の自分を認めてもらいたいと思う欲求と、大勢の中に埋没していたいという欲求の間を揺れ動く現代人たちに、「そこのあなた」と呼びかける人がたくさんいる。でも、うっかり「え、わたし?」と振り向くと、詐欺か宗教勧誘などであったりする

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「どうしてこうも浅ましく国は敗れてしまったか」これが柳田国男が戦後に発した問いである(「現代科学といふこと」昭和22年)。どこであったか忘れてしまったが、別の人も同じ問い方をしているのを見たことがあるので、柳田だけでなく多くの人に共有された問

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桃と神の話
2019年08月13日16:57

桃がうまい季節になった。貧乏すると物のありがたみがよくわかるが、あの甘くみずみずしい果実はとりわけ身に染みる。こんなものを用意してくれているのだから、この宇宙を創造したのが誰であれ、我々人間は深く愛されていたにちがいない。しかし、桃が好きな

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ヒトとネコの話
2019年08月10日23:36

イヌとならんで人間にもっとも親しい動物というとネコ(イエネコ)である。日本でもそうであるが、自分が今まで行ったどこの国にも人にすり寄ってくるネコがいて、ネコ好きの人間をすぐ嗅ぎ分ける。そんな人間がちょっとでも長く座っていようものなら、あの膝

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自分が「自己検閲」と言ったのは、半分は皮肉だが、もう半分は本気である。つまり、自分は、表現の自由を守りたい人が発言する前に自分の言うことをもう少し考えるべきだと言っているのである。そうなると貴様は表現の不自由の応援団だな、ということになるの

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世の中には余計なことをする連中がいて、よせばいいのに人が聞きたくない話や見たくもないものを公の場に展示して、他人の心の平穏を乱しては喜んでおる。だが、日本国民の心を傷つける行為に義憤を感じる真に民主的な政治家も増えているようだから、そう悲観

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