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日記一覧

沈黙する人たちの助言
2019年07月31日11:41

誤解されたかもしれないが、前回の日記はえらい哲学者の教えをオレは実践しているぞという自慢話のつもりでない。そもそもその決心が貫徹できていないのだから、美談にもなりはしない。前々回と前回日記において創作や自分の経験を使って明らかにしたかったの

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自分は大学三年の夏休みを利用して、ブラジルを旅行したことがある。国内線が10回乗り放題という周遊券を買って、サンパウロに住んでいた親戚の家を拠点に、北から南まで首都と地方都市を回ったのである。生まれて初めての海外旅行であるだけでなく、自分にと

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え?私ですか?
2019年07月27日10:14

卒業式の日の最後の終礼が終わった。先生が去ると、みんなはめいめい席を離れ、親しい者同士があちらこちらに固まりはじめた。別れを告げたり、記念品を交換したりするためだ。挨拶を交わす者など一人もいない僕は、荷物をまとめて、いつものように部室に向か

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政治家と預言者
2019年07月25日23:19

再びうれしい質問があったのだが、それがまたきびしい質問で弱ってもいる。自分が宗教を政治にとって重要だと思っているのか、それとも危険だと思っているのか、という問いである。簡単に答えれば、重要であり、また危険たりうるとも考えている。それが何を意

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読書と作文
2019年07月23日14:07

知識を得たいと思ったとき、人がまず最初にするのは本を開くことである。そして、多くの人はそこで終わる。だから、本をたくさん読むのが学問であるということになる。こんな読書主義に反感と劣等感を抱いていた自分は、本から得られる知識は限られておるとい

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絶望を希望に転ずる暴力
2019年07月20日23:22

前回からの続き。復習すれば、今日われわれが宗教と呼ぶものには、発生論的にも機能論的にも少なくとも二つの異質なものが混じっている。今日〇〇教という名で知られる宗教に先立つ何らかの宇宙観が存在し、それが現代においても社会の深層心理のようなものと

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飢えるという体験
2019年07月18日22:25

飽食の時代・社会の中流家庭に生まれ育った人間としては珍しいかもしれんが、自分は人生において一度ならず二度まで飢えに苦しんだ経験がある。だから、他人が好きなだけ食っているのを横目にすきっ腹を抱えているときは、ちょっと尋常でない心持ちがしてくる

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痩せ男のバラッド
2019年07月16日18:13

まるで骸骨みたいにやせ細ってしまったぼくの体は石でも飛んできて当たれば木っ端みじんに砕ける木っ端みじんに砕けて散らばった自分の体を見てぼくのしゃれこうべは笑うだろうなカラカラと水気のない声でひとしきり笑ってしまうと歌でも歌うだろうな覚えてい

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シュカンとキャッカン
2019年07月15日10:48

日記に関して珍しく質問があった。以前ちょっと触れた日本人の自然観の主客未分についての質問で、⑴主客未分というのはどういうことか、⑵それはわれわれ日本人にとって悪いことなのかどうか、という二点である。うれしいのであるが、哲学音痴の自

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宗教的なものと暴力
2019年07月12日19:15

俗なるものとは日常的なものであり、元来、聖なるものはこの日常を超える領域に属すると受けとられる。日常的なものというのは、誕生から死に至るまで反復的に起ることであり、反復的であるがゆえに確実であり予測可能である。したがって、俗なるものは経験的

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前回からの続き。日本と比較して、第三世界の世俗国家は宗教に対してより非寛容であった。しかも、この第三世界の政府の多くは、独立後には近代化を上から推進する権威主義体制に移行し、また米国とかソ連といった外国政府の物質的・精神的支援を受けていたの

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自分はインド、トルコ、イラン、エジプトなどの、広い意味での「アジア」の近代史について興味をもったことがあった。日本の近代化との比較の視点からである。あまり深く勉強するに至らなかったのだけど、以来気になっていることがある。最近、ある本を読んで

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葦毛の仔馬
2019年07月04日16:46

午後、図書館へ頼んでおいた本を取りに出掛けた。その途上、蒸し暑い曇り空の下を、涼しげに着飾った女の子が横断歩道をわたってきて、自分の数メートル先を歩いて行く。十六、七くらいにしか見えないが、日本の女は歳より子供っぽく見えることが多い。ことに

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女を殺ったのは誰か
2019年07月02日16:35

志賀直哉に「范の犯罪」という短篇がある。中国人奇術師の范(はん)という男が、不仲であった妻を死なせる。しかし、その状況から過失による事故なのか故意の殺人であるか判然としない。いわゆるナイフ投げの演技で、戸板の前に立った女の体すれすれにナイフ

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機織る娘と踊る日本人
2019年07月01日22:05

私の母の父は福島県大越の農家の出である。あるとき、幼い母が父の実家を訪ねると、年長の従姉妹が機に向かっていた。夏祭りの盆踊りに着る着物を織っているという。なんと繭から糸をとるところから始める。機なんてものを見たことはない母にはこれが面白くて

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