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2020年01月19日10:38

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シャングリラ(その29)

シャングリラ(その29)
第3章 政治改革・当面の課題(その1)
第1節 概要(その1)

第1章ではシャングリラについて書いた。シャングリラとは、今では雲南省の都市名になっているが、本来は、理想郷のことである。
第1章で述べたように、 松賛林寺.(ソンツェンリン寺)は、この地域のチベット人にとっての精神的拠り所となる巨大な僧院である。
そして、 松賛林寺.(ソンツェンリン寺) を中心として、シャングリラのチベット民族は、ヤン・リービンさんの言うような理想的な生活をしているからこそ、シャングリラは理想郷なのであろう。 松賛林寺(ソンツェンリン・ゴンパ)の趣を見て、私はそう思わざるをえない。梅里雪山も信仰と深く結びついている。

そもそも理想郷とは何か?

理想郷とは、和製漢語であり、これをきっちり説明している辞書はないようだ。中国では、「無何有郷」(むかうのきょう)という言葉があるが、これは 荘子が逍遥遊(しょうようゆう)篇で述べている言葉であり、老子や荘子が理想とした世界・郷(さと)のことである。

老子の道とは、どんな定義にも収まらない宇宙の原理であるが、強いて言えば全てを生み出す「天下の母」のようなものである。荘子は、その「道」というものを「攖寧(えいねい)」と呼んでいる。攖寧とは、万物と触れあいながら自らは安らかでいることである。

荘子が逍遥遊(しょうようゆう)篇で述べている「無何有郷」(むかうのきょう)とは、自然のままで、何の作為もない理想郷、つまり想像上に描かれた理想的な世界のことである。つまり、現実には決して存在しない理想的な世界・郷(さと)のことであり、老子や荘 子は、常にこうした状態に身を置こうとした。

英語のユートピアとは、理想郷や「無何有郷」も含めて、いろいろな意味で使われているが、理想郷とは、老子や荘子が理想とした世界・郷(さと)のことであり、その定義はない。定義がないと私の話を進めることができないので、私は、この際、「雲南省にある都市シャングリラのような地域」と定義しておきたい。

雲南省のシャングリラがそうであるように、理想郷とは、風光明媚であり、そこで信仰心に満ちた祈りの生活が行われているところで、観光地となっているところである。
中国には大変多くの観光地があるが、雲南省のシャングリラのような風光明媚で、かつ、中国人の生活文化を感じることのできる観光地はそれほどあるわけではない。

したがって、第二第三のシャングリラをつくることは、中国の国土政策上大事なことである。シャングリラは、世界における国土づくりの理想となる。第二第三のシャングリラをつくることによって、それを中国が示すのだ。世界のどの国もこういうことはなしえない。



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