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2016年06月29日01:46

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【日】2001年の『真夏の夜の夢』

【2001年8月の出来事より】
(およそ15年前、僕は当時23歳。このテキストは以前、ホームページに挙げたものです)

両親と共に、母方の実家に行く事になった。
北海道から沖縄まで自転車旅行から1年。その旅行の際に2泊させてもらった世話の礼を、未だ直接には言ってなかったので行く事にした。転勤先の滋賀県から実家のある千葉県に移動後、父の自動車で東北地方へ。
当時ペーパードライバーだった僕は運転する父の手助けも出来なく、300kmにもなる道のりを父に任せて後部座席でゴロゴロしていた。僕にできた事は後部座席で『Kanon』や『AIR』の着メロをダウンロードしたり、携帯のアクセサリゲームで遊ぶ事ぐらいだった(阿呆)。

そんなこんなで東北の母の実家に到着。祖母や伯父に挨拶。挨拶も済ませた後、従姉弟の相手をする。
小5の従弟とプールに行き、息継ぎができない僕は従弟に指導を受けることに。「コーチ厳しすぎます!」と小5に泣きついたのは仕方ないと思うんだ。(泳げません)
中1の従妹からは、僕が『モーニング娘。』のメンバーを全然知らない事を「一般常識も知らないの?」と怒られて、強制勉強会:テーマ『モーニング娘。のメンバー名を暗記』が行われた。

なんか遊んであげていると言うより、遊ばれている気がするのは何故だろう?
そんな23歳としては如何なものか?とツッコミたくなる時間を過ごす僕。

だが、これはカモフラージュなのである。
僕は司令たる我が母親から重大な任務を受けていたのだ。
実は、従妹は中学生になってから、学校を休みがちになっていた。
祖母や伯父、僕の母には何故なのかハッキリ言ってくれないので、自分達よりも話しやすそうな僕に「理由を聞き出すように」と指令が下ったのだ。

……ってソレって僕の精神年齢が12歳並って事ですか?我がママン。

そうして完璧なる演技で従妹と打ち解けた僕。すると従妹が小学校の卒業アルバムを持ち出してきた。
初めは小学校の遠足や校内行事、学校外の思い出、他にも「○○君が××さんが好きで…」と恋話を楽しそうにする従妹。
それを聞きながら苦笑をしつつ「では我が従妹よ。貴女が好きな方は?」とか聞いて脇腹にボディブローされつつも、話をじっくりと聞く事にしておいた。

そんな話題も、クラス内の事になるにつれて、従妹の口調が重くなり始めた。小学校のクラス内において女子の間でのイジメや派閥があり、従妹はイジメにさらされた訳ではないが、その事を気にしているようだ。
さらに良くないのかったのは、このクラスの問題を教師が早く気づかず、そして気付いてからの対応も大した効果が無かったようで、従妹たち子供が教師(大人)に対して、信頼をあまり寄せてない様だ。

何より、小学校のクラスの派閥のドロドロした関係に嫌悪感があったのに、卒業後も(田舎の学校なので)クラスメイトの殆どが同じ中学に進学するために、環境が変わらなかった事に失望しているようだ。
(僕が中学生の頃にもクラス内で女子の派閥争いがあったらしく、コレが原因で転校してしまった子もいた)

ここで従妹に「人間関係の難しさ」とか大人の正論を言う事はできる。
だが、このように悩みを抱えている子供にとって一番大切なのは、話をじっくり聞いてやる事だと僕は思うので、相槌を打つ程度にして話を聞いていた。
この子の父親である伯父は忙しい身なので、恐らくじっくりと話す機会は少ないだろう。その代わりになればと、従妹の話に耳を傾けるようにした。

夜もふけ、眠る時間になる。
僕、両親の3人に当てられた部屋は8畳間の座敷。家の大きな田舎なので家は呆れるほどに広いので部屋は余っているが、位牌のある部屋とかパスしたらこうなって、50代の両親と20代の長男が十数年ぶりに『川の字』で寝る事になった。(平均年齢が41.3歳の川の字と言うのもアレだが、その辺は置いておく。)

……夜が更けた頃、ふと目を覚ました。
で、目を擦ろうとした時に右手の小指を掴まれている事に気付いた。多分、母が僕の指を握っているのだろう。

(母さん、何時まで経っても子離れしないなぁ。)僕の母は子供の頃の僕や弟の指を弄る癖があったのだ。
指を解こうとそちらを見る僕。だが、視線の先には母ではない人がいた。
従妹が、僕の布団に入って僕の指を握って寝息を立てている。

「???」一瞬何が何だか分からなくなる僕。何故、従妹がここにいるのか。
僕の指を握りながら丸まって寝る従妹を見て「本音で話せた相手がしばらくいなかったのか」と思い至った。
祖母と父親、弟しかいない田舎の家で、気恥ずかしさもあって本音や弱音を言えなかったのかもしれない。

そう考えると、こうやっていられるのも、頼られているようで悪い気はしなかった。
僕は対人関係が苦手で、こうして人に頼られるという場面はあまり無かったのだ。
……それはいい。問題は何でドキドキしているのですか?僕は。

ちょっと待て。僕はロリコンではない。ていうか中学生に指を握られてる位で何をしているんだ。

落ち着け落ち着け…。
と、この時頭の中で会社の同期Kの言葉がよみがえった。「加護ちゃん(中学生)ってアリだと思わない?」(※2001年当時)
……あの野郎。

気を落ち着けようと、念仏を心の中で唱え素数を唱える僕。よし、落ち着いてきた…落ち着いてきた…。

従妹「ううん…」と声を出して『きゅっ』と僕の指を握りなおした。と、いうか寝顔がすぐソコに来てるし。

……眠れません。
このままでは朝まで起きている事になりかねないので、従妹が寝ている事を確認し、起こさないように僕の指を握っている従妹の手を解く。
寝室を出て、どうにか落ち着く僕。

「…さて、どうしよう」
また、部屋に戻っても眠れそうも無い。何かでこの気持ちを発散しなければ……。
「……仕方が無い。親戚が寝静まっている時にコンナ事するのはアレだが…」
アレをするには必要な物がある…。

*********************

【で、やった事】
伯父の自転車を無断で借りて真夜中のサイクリング。
ええと『やましい事』を考えた方はディスプレイの前で手を上げるように。ていうか、さすがにソレは出来ませんでした。ソコまで落ちたら人間失格ぽくて。

夜風を受けながら疾る僕。やはり僕にとって自転車で走る事が何よりの発散になる。ようやく落ち着いてきた。
ところでこの田舎だが、観光用のPRに「温泉と渓谷の里」を挙げている。周りは崖だらけの土地。(余談だが家から1m範囲で熊が出るレベルの超田舎)

さて、懸命な皆サマなら既にオチは読めましたと思うが一応明記。
自転車と一緒に崖から転落しました、僕。

幸いな事に、落ちたところが茂みだったので大きな怪我はしなかった。
だが、草で肌をスパスパ切るは、虫に食われるは、サンダルが脱げて真っ暗闇の中で30分探す事になる状況に。崖下から脱出する為に片手で自転車を担ぎながら崖を登ったりと、無駄に大冒険をするハメに。
で、崖の下にいて気付いたのは、この場所がご先祖様の墓の近くだという事。
深夜0時をまわって、日付は8月15日。ご先祖様が帰ってくるお盆である。

…ご先祖様ゴメンなさい。こんな子孫でゴメンなさい。多分、僕の血は僕の代で途絶えそうなので、ゴメンなさい。
そう、ご先祖様への謝罪をしながら崖下から生還。どうにか母の実家に帰還しました。


<その後日談>
家に戻ったら、従妹が起きて玄関で待ってました。
で、玄関でお互いに言葉が無く「…」「…」と見合っている所に、親戚の叔母が起きてきまして。
・状況1:夜中に起きている12歳の女の子。
・状況2:爪で引っ掻かれたような傷が顔に多数ある金髪23歳の男。(草で切った傷。当時、金髪坊主のチンピラ姿)

ちがうよ。叔母さん。僕は何もしてないよ、マジでマジで(・ω・)
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