某年某月某日……私はこんにゃくを買った。
こんにゃ食う……つもりであったかは、定かではない。
それは、業務用スーパーの巨大な板こんにゃくが4つも入った特盛り品で、
たぶんそのころは、
毎日こんにゃくうつもりだったのかもしれない。
もしかしたら……こんにゃくダイエットでも目論んで、
あれこれこんにゃくうメヌーを開発しようとでもしていたのだろうか?
今となっては記憶の彼方である。
使う気がなかったわけではない。
ただ、このパックを開けちゃうと、
残りの分を凍らせるなり調理するなり、
「適当な処理をして」保存しなければならない。
面倒だな……と思っている間に、いつしか時間が立ち、
「いつ開けるか?」
という、物件になっていったのだった。
*食材に申し訳ないが、2〜3年は食べる気満々だった。
そのころには、2〜3年物の「超熟こんにゃく」がどんな味であるか興味もあったし、
例え嫌な臭がしたとしても、
なんとかしてやろうと考えていた。
しかし、その頃になってふつふつと違う興味が俄然湧いてきたのである。
ぢゃああ、5年後とか10年後とかはどうなるんだろう?
そうして、事故が起きないようにこのこんにゃくの入った特大パックは、
野菜専用室の奥を選挙する主さまになったのだった。
昨日、ふと野菜整理の鍋系を作ろうとして、
はたと思い当たった
例のこんにゃくはいかがあそばされておりますでしょうか?と。
つつがなきや?
見て驚いた。
ないっ!
パックは、何一つ変わらずに存在している。
しかし、こんにゃくが跡形もない。
1年前くらいには、きちんと板こんにゃくがいたはずなので、
いた?いた?いない?あれれ?なのである
驚いた!
こんにゃくのゲル化は、不可逆性のものじゃなかったのか?
実は、なぜこんにゃくが固まるのかは、よく分かっていはない。
こんにゃくを固めているグルコマンナンは、多糖類である。
アルカリ液につけることで固まることから、
アセチル基が遊離していくことにより、ぎゅっと結合しちゃうんだろうと。
*ちなみにこんにゃくがダイエットに使えるのは、
人間はグルコマンナンを消化できないからだよ。
しかしそれは、不可逆変化じゃなかったのか?
例えば、おなじようなプルプル食材「ゼリー」は、
熱を加えるとまた溶けてしまう。
*ちなみに寒天も煮ると溶けるからね。
こんにゃくは、「溶けない」のでいろいろな料理に使えるわけなのだが、
やはりというかなんというか、
「恐るべし、水の力」なのだった
冷静に考えれば、水はほとんどの物質を溶かすのである。
もちろん、金属が完全に溶けてなくなるには量もあるだろうが、
とほうもない年月が必要となる。
そしてこんにゃくは、「6年位で完全に溶ける」
こんにゃく解消である。
5年も6年も待たされたのであれば、
どんなに固いこんにゃくであっても、やはり解消されるものなのか?
急激に反応が進んだことを考えると、
微生物による生分解とも思えず、
やはり、
長い浸水時間によって、
1、こんにゃくを結びつける構造そのものが崩壊した
2、アセチル基もそうだが、グルコマンナンが安定した状態であるところの、
グルコースとマンノースの水酸基が復活したり、
つまるところミセル化した部分の水素結合がばらばらになった
ってことジャネイロ?
ただの茶色の液です。
あけてみたら、さらさらだった。
特に腐敗臭らしい異臭はしなかったが、
酸性っぽい酸っぱい臭いがちょっとした。
舐めてみようかと思ったが、なんか微妙に嫌な匂いだったのでやめました。
ごめんよ〜〜〜といいながら、
「1キロのこんにゃく全量は、
水の泡となって消えた」
食材を捨てた後悔と、いろいろな申し訳無さと、
とっても面白い実験結果に心が少し揺れた。
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