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2022年01月16日23:53

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最適の変化

この日記で過去に何度か「部分最適の総和が全体最適ではない」と書きましたけれど、先日発生したトラブルの対応をしているときに、部分最適と全体最適がずれるのは「変化」が原因だと閃きました。トラブル対応はだいたい変則的な対応が必要で、そこでは普段の作業が正確に素早く実行できるように考えた手順や仕組みがことごとく邪魔をするように感じられます。もちろん、やっている最中に邪魔と思えた手順がトラブル対応時にもミスの防止に有効だったりすることもありますし、その作業における「全体最適」はトラブル発生時を含めたその業務のライフサイクル全体の工数が最小になるようにすることですから、トラブル対応の場でどんなに工数がかかっているように思えても、本当はそれが「全体最適」かもしれません。とは言え、思いついたときの状況が必ずしも当てはまらないからと言って思いついたアイデア自体が間違っているとは限りません。

全体最適と部分最適が一致しないもっとも有名な事例は「共同牧場の悲劇」でしょう。複数の牧場主が共同で牧場を持っているとき、それぞれの牧場主はそれぞれが他の牧場主より家畜の頭数を多くするのが最適解で、しかしながら各牧場主がそうすると牧場の草は食い尽くされ、全員が破産するという話です。これも、他の牧場主が家畜を殖やした牧場主に反応して家畜を殖やすという変化、もしくは、家畜が牧草を食べることで牧場の草が減る、また、草の減り方が土地の再生産力を上回ると牧場が砂漠化するという変化が悲劇、つまり全体最適でなくなることの原因です。

上記のようにプレイヤーの戦略実行が変化の原因になっているケースばかりではありません。これも以前に書いた「一人一業務より二人で二業務のほうがよい」と言う話では、部分最適は二人で業務を分担するために引継ぎや情報共有、対応方針の擦り合わせの手間をかけたりせずに済む一人一業務となりますが、その人が病気になったり、他の用事で欠勤したりと言う「変化」が起こることを織り込むと結論が変わってくるのです。また、長期にわたりひとりで作業をしていると仕事に対する心境の変化もあり、愛着がわくようなプラスの変化もあるでしょうけれど、慣れでいい加減になったり、スタッフ内で癒着したりと言ったマイナスの変化も起きることがありますから、別の人の目を入れることはよい刺激になるはずです。

高度経済成長期を「激動」と表現することがありますけれど、個人の生活スタイルの時間的な変化や多様性の拡大を含めた変化の度合いは高度経済成長期の「激動」が変化のない時代に思えるほどではないでしょうか。また、多様性の拡大は多品種小ロット化や製品サイクルの短縮を生んでいますから、仕事の切り替えも増えれば、やっている人間のほうも入れ替わりが激しくなっているでしょう。作業手順がいくら最適化されようが、やる側も対象となる製品も変化し続けますから、その変化に対応できる作業手順書を作成する必要がありそうですね。
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