mixiユーザー(id:33120836)

2020年10月21日23:32

16 view

耳鳴り

昔、「踊る細胞」と言うニュースをちらりと見たことがあり、先日、テレビで改めてみる機会がありました。NHKの人に関わる科学を紹介する「ニューマニエンス」と言う番組の第2回でやっていた耳の話です。「踊る」のは鼓膜の奥で最後に音を脳に伝えるために電気信号に変える場所にある「有毛細胞」と言う名前の細胞で、毛のように生えている突起が音に合わせてリズムをとるようにピクピク動くことを表現した言葉です。これは有毛細胞でも「外有毛細胞」という外側にV字に並んで生えている細胞の動きであり、さらに内側の「ない有毛細胞」のみが音を脳に伝えています。

外有毛細胞は伝わってきた音と共鳴するように振動し、ない有毛細胞に伝わる音を増幅する役割があると言われています。そして、外有毛細胞は再生しないために加齢とともに数が減り、これが齢をとって耳が遠くなる原因といわれていますが、もうひとつ、歳をとって耳が悪くなる現象が知られています。それは耳鳴りで、一般的には、脳が気になる音に敏感になって症状が悪化すると言われているものの、そうであれば、特に年齢との因果関係があるようには思えません。まあ、脳の働きですから認知症状の一種と言えばそうなのかもしれませんし、外有毛細胞が減ったことで、より小さな音も聞き逃すまいと必要のない音まで気にしてしまう、と言う説も考えられます。ただ、有毛細胞が音の増幅をするのであれば、逆に不要な音を小さくする働きがあってもおかしくないのではないかと思いつきました。

音の聞こえ方では「カクテルパーティー効果」という有名な現象があり、騒がしい場所でも必要な音を選別して聞き分けられる能力のことを指します。外有毛細胞が必要な音を増幅するのであれば、不要な音を打ち消すことでさらに効果を上げていてもおかしくありません。つまり、耳の中には生まれつきのノイズキャンセリング機構が入っていて、必要な音のS/N比を上げている、と言うわけです。そして、歳をとってノイズキャンセル用の発振器が十分に機能できなくなると、ずっと打ち消してきたはずの音が脳に伝わってしまい、「耳鳴り」として聞こえることになります。まあ、生体内で聞こえる音を変えながら外有毛細胞の観察をするのは非常に難しいでしょうから、これが正しいとしても何かのブレイクスルーがないと証明するのは難しいでしょう。

脳の機能だと思われてきたものが、実は脳以外の場所で機能を実現していた(両者が補完しあって十分な機能を実現していた、と言う場合を含め)ことだってあるかもしれず、まだまだ研究すべきことはたくさんあるようです。
0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する