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2020年02月23日23:24

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レプリカと偽物

最近、古墳を創建当時の姿に復元するということで木々を取り除いてはにわを並べてみたりする施設が増えています。以前は歴史的遺産と言ったら伝統を感じさせる渋い色合いのものと言うイメージがあり、地味なものと思われていたのが、実際には色彩豊かなものが数多くあったし、むしろ当時の最先端技術を使って人々を驚かせるための華やかなものが名作として残っていることがわかってきました。古代ギリシャの大理石の彫刻も色彩が剥がれ落ちて真っ白になっていただけで、もともと色彩豊かに彩色されていたものを、近代の研究者が白い石像こそが素晴らしいと言って青い海と白い建物のギリシャというイメージが定着したそうです。

以前の私は「名作だったら本物を見ないと意味がない」「レプリカを見るなら写真で見ても一緒」と思っていましたが、「本物」と言っても経時変化はあるわけで、歴史的な価値を語るうえで発表当時の人々がどのようなものを見たのかを知るうえではレプリカでないとわからないこともあると思うようになりました。時には、前述のギリシャ彫刻のように経時変化を経たものがその時代の感性で評価されることもあるわけで、単純に最初の状態だけが鑑賞の対象ではないし、また、歴史的な価値を考えれば見かけが最初の状態ならよいというものでもないので、レプリカの制作には様々な意味と価値があります。

古墳のような大きなもの、そこに並んだ埴輪のように数の多いものに関しては、美術品、工芸品以上に写真で見るのと自分の目でみるのと差が大きいでしょうから、規模が大きければそれだけ手間も増えるとは言え、復元品を直接見る価値は大きくなります。残念ながら、まだ見に行く機会がないので、復元古墳はぜひ見たいものだと思います。なかには大きすぎて直接見ても逆に良くわからないものもあるようですが、その「わからなさ」も含めて経験してみるのが大事なのではないでしょうか。
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