酸／アルカリのブーム

昨日2020/01/19の日記で、酸、アルカリの話を書いて思い出したのが、一時期流行った「体が酸性になると体調が悪くなるから、アルカリ性にしなくてはいけない」と言う話です。まあ、健康ブームはだいたいキャッチーな言葉で起こるわけで、割と最近の「筋膜はがし」、その前の「肩甲骨はがし」、さらによく考えると怖い「骨盤矯正」など、医学の世界でそんなことを言ったら「殺す気か」と疑われるような言葉が並んでいます。もっとも、医者も一緒に言っていたりするのですから、まあ、いいかげんなものです。

表現は間違っていても、正しい行動をするための指針になっていれば、結果的には有効だ、と言うのは確かに事実なのですけれど、間違った表現に引きずられて行き過ぎた行為や間違った解釈につながることもあります。まあ、表現が正しいからと言って行き過ぎや誤解が生まれないわけではないものの、それを正すときに「そもそも、あなたの信じているそれは正しくない」と言うところから始めなければならないと（世の中で広く認められていればなおさらのこと）「ちょっと解釈が間違っていて・・」に比べると説得の難易度が格段に上がります。

酸性食品、アルカリ性食品の話も、結局はミネラルが豊富な食事をしたほうが健康に良い、と言う割と当たり前の話を、新しい言葉で表現しただけの話と言えばそれまでのことで、そんな言い方をすると窒素や硫黄を含むたんぱく質は酸性食品になりますが、最近の筋トレブームに乗って言えば十分にたんぱく質を取らないと筋力が衰えてロコモティブシンドロームの危険がありますから、アルカリ性食品ばかり取ればよいというものではありません。