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2021年12月31日01:32

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【映画】2021年度日本映画ベストテン

2021年度日本映画ベストテン

1.ドライブ・マイ・カー
2.偶然と想像
3.街の上で
4.草の響き
5.BLUE/ブルー
6.ひらいて
7.すばらしき世界
8.彼女が好きなものは
9.空白
10.劇場版 呪術廻戦 0

次点
由宇子の天秤
れいこいるか
 
 
1位の『ドライブ・マイ・カー』はダントツのベスト。おそらく21世紀に入ってからの日本映画ベストであり、私のオールタイムベストにも入ってくるだろう。『木靴の樹』や『シン・レッド・ライン』と同様「死ぬ前に見たい映画(=死ぬ前に見れば安らかな心でこの世を去れそうな映画)」の1本でもある。村上春樹の原作だが、それ以上にチェーホフ『ワーニャおじさん』の映画化と言っていいほどで、私がこれまでに見た最高のチェーホフ映画でもある。映画はしばしば旅に例えられるが、この作品も長い旅のようだ。その旅の間に体験し、感じたことや考えたことを、単純なテーマ主義で語ることはできない。確かなのは、この映画を見る前と見た後では世界の様相が違って見えること。それこそが芸術というものの最大の役割だろう。
 
2位は『偶然と想像』。濱口隆介監督のワンツーフィニッシュ。こちらは3本の短編集で、『ドライブ・マイ・カー』に欠けていたユーモアが全編に溢れる作品。楽しく軽やかでエンタテインメントとしても秀逸だが、テーマは奥深い。『親密さ』や『ドライブ・マイ・カー』のように演劇を直接の題材として扱っているわけではないのに、この作品には演劇というものの本質が描かれている。特に第三話には「演劇が生まれる瞬間」と「人の心が演劇によって救われる瞬間」が描き出されていて強い感動を覚える。

『街の上で』は今泉力哉のこれまでの最高傑作。特別深いテーマやドラマチックな物語は無いのだが、下北沢に生きる若者たちの喜怒哀楽が深い愛情とユーモアを持って描かれる。これほど可愛らしく、好きにならずにはいられない青春映画も珍しい。一言で言って「愛おしい映画」。
 
『草の響き』は今のところハズレ無しの佐藤泰志原作映画。その中でも本作は『海炭市叙景』と並ぶ好きな作品となった。「自分」と「世界」の間に横たわる違和感。それを埋めようとすればするほど、かえって歯車が狂っていく痛々しさ。何もかもが他人事と思えず、深く胸に迫ってくる。佐藤泰志の見る世界は、何故こうも私の見ているものと重なるのだろう。 
 
『BLUE/ブルー』はボクサーたちの挫折の物語。9位の『空白』と同じ吉田恵輔監督作品。一般的には『空白』の方が評価が高く、映画誌などのベストテンでは上位に入ってくるだろう。『空白』は極めてドラマチックな作品で、とりわけ片岡礼子の出演するシーンは震えるほど素晴らしい。ただ全体としては吉田恵輔特有のあざとさや露悪趣味が強く出すぎているのが、ちょっと苦手。『BLUE/ブルー』はそれよりもずっと物静かで、同じ監督の作品とは思えぬほど地味。しかしその静かな佇まい故に、より深く心に響く。大切なことは大声で叫ぶのでなく、静かにささやいた方が効果的なこともある。ラストの松山ケンイチの姿が、今も目に焼きついて離れない。
 
評判の良さに引かれて見た『ひらいて』と『彼女が好きなものは』は思いもかけぬ拾いもの。どちらも山田杏奈が主演だが、今伸び盛りそのものという感じで、3年後には押しも押されもせぬ若手女優のトップランナーになっているに違いない。どちらも同性愛を重要な題材とした高校生たちの物語。そのような題材が、こうやって自然に映画化されることに時代の変化を感じるが、登場人物の心理的な葛藤や人間ドラマは非常に普遍的なもの。日本映画には、この手のティーンエージャー映画が数多く作られているが、この2作品が、その豊かな流れの中から生み出された傑作なのか、それとも突然変異的な異端児として生まれたものなのかはよく分からない。 
 
『すばらしき世界』は西川美和の久しぶりの新作で、彼女としては最も普通に良い映画。『ゆれる』のような思わせぶりな仕掛けは無く、1人の元ヤクザが何とか社会に適応しようとする姿を物静かだがストレートな演出で描く。これまでの西川作品のような映画マニアの心をくすぐる部分は少ないが、誰が見ても素直に良いと思う映画だろう。 
 
ここまでの9本全て傑作なのだが、ふと眺めると、いかにもなエンタテインメントもアニメーションも入っていないことに気づき、しんがりに今年最後に見た映画でもある『劇場版 呪術廻戦 0』を入れることにした。極めて優れた映画というわけではないが、十分に楽しめるし、おかげで原作の方も読むことになった。パンダ先輩LOVE! ちなみに私はシンエヴァは全然ハマらなかった。 
 
次点の『由宇子の天秤』はドキュメンタリーディレクターの苦悩を描くドラマ。非常に面白く、見た直後は上位に入ると思ったのだが、その後意外と印象が薄れたのは、ストーリーに頼りすぎていたからではないかと思う。
『れいこいるか』は昨年公開の映画で、「映画芸術」誌でベストテンの1位になったことで興味を持って見た。阪神淡路大震災で娘を失い、離婚した夫婦のその後の軌跡を、まるで悲壮さの無い人を食ったタッチで描く、いまおかしんじ監督作。実に奇妙な作品で、何が良いのか説明のしようがないのだが、やたらと印象に残る。できれば10位に入れたかった。
 
 
2021年に劇場で見た映画は、外国映画・日本映画を合わせ、のべ76本/65タイトル。 

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