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2019年12月10日15:52

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花托の人

わたしはわたしが何者か知らない

仏教経典にある発菩提心のごとく

悟りの境地を得て未だ岸を渡らず

未熟者でもそんな存在でありたい

悟ったなどと思えばおしまいです

悟りの境地にある者こそ解脱未満

わたしを離れたところに言葉あり

わたしを離れたところに意識あり

我を離れ実在を捨て存在していい

わたしが何者でも構わないのです

称号はどうでもいい名前もいらぬ

ただただ心を虚しくして神あらわ

静かにこの身体を大自然に預けて

湖面のさざ波に踊る光に溶け込む

元々はヒトでも無い縁あって得て

なにゆえにこの身体を惜しまんや

どうかわたしを好きなようにして

カケラの如く扱い大切に手放して

そう願って器を使わせていただき

そっと枯葉の下に寝かせて欲しい

あの泥沼に咲く強く美しい可憐な

ハスの花托のように神迎えし魂の

おくるみになり悟りの境地へ誘う

いずれも時に従い泥沼の土に還る

そしてまた縁あらばハスの花托の

大事なお役目が再び巡り来るよう

いただいた今世この身体が尽きる

その日が来るまで精進いたします




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