mixiユーザー(id:32578624)

2019年12月12日20:59

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Kubelik2・・・

今宵はこれ。
1966年,フリッツ・ライナー(1888-1963)との黄金時代の後,ジャン・マルティノン(1910-76)の時代のシカゴ交響楽団を,ライナーの前任者であったクーベリックが指揮している。
しかもステレオ録音で,音質も良い。

クーベリックは,結局セッション録音では第3と第4の2曲しか,ブルックナーの録音を残さなかったが,第8番に関しては,現在63年と77年のライブを聴くことができる。

恐るべき名演奏である。
特筆すべきは,シカゴ響の合奏力の素晴らしさだ。
分厚い弦楽に,びくともしない輝かしいブラスが載る。
Trpのトップは,アドルフ・ハーセス,Hrはフィリップ。ファーカスだろう。
第1楽章終盤の叩き付けるような「死の動機」と,チュートン人の古代の祭に霊感を得たとする第2楽章スケルツォ,そして厳かな祈りと清澄な大気の流れのような第3楽章の頂点でのブラスの炸裂が素晴らしい。
勿論,終楽章冒頭,天翔る騎兵の行軍と言われる行進曲の主題も,金管群が完璧な音程・音色で,見事な吹奏を聴かせる(30年ちょい前,三菱自動車のシリウスダッシュだかのエンジンのCFに使用されていた)。
終盤,珍しくハーセスがミスをする箇所があるのだが(嘗て春の祭典でもやっていたか・・・),些末とも言うべきことだろう・・・。
この曲に,私がイメージする宗教的荘厳さと,夏のよく晴れた山岳地帯(チロルかバイエルンアルプス)のようなイメージを具現化してくれた演奏とも言えるかも知れない。
この名人集団を統率し得たクーベリックの手腕は,やはり並々ならぬものと言って良いだろう・・・。

ライブでは,70年録音のジョン・バルビローリ卿が,マンチェスターのハレ管弦楽団を指揮したものと,ブルックナーを十八番としたギュンター・ヴァントが,84年にバイエルン放送響を指揮したものが双璧と思ってきたし,セッション録音では,室内楽的に精緻にして端正なケンペ〜チューリッヒ・トーンハレ管がお気に入りだが,それらに比してもオケの充実した響では引けを取らない。
楽譜は,過去の2盤と同様,ハース版を使用している。
この曲に関しては,楽節の長いハース版が宜しいと思うので,その点でも良かった・・・。
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