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2018年09月22日19:58

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9/15 第13回三国志学会大会 軽いメモのつもり

先週の土曜は早稲田大学での三国志学会第十三回大会 http://sangokushi.gakkaisv.org/taikai.html に行ってきた。

俺様は大衆文化の研究者様だ、という文脈で、吉川英治「三国志」、横山光輝「三国志」、「人形劇三国志」にて赤い衣装で描かれる西園八校尉の典軍校尉のSOSOならぬ赤黒のAC Milan No.8 のSUSOのレプリカユニフォームを着て。
いや、最近、ツイッターで話題になるけど、学会大会での服装、大抵はスーツってことだけど、三国志学会大会は一般に門戸を開く学会がウリのひとつなんで(その割には公式サイトの写真は三顧堂・笑)、結構、スーツ率が低い。例えば同日開催の魏晋南北朝史研究会大会、これから先の日本秦漢史学会大会、東洋史研究会大会だと経験上、インフォーマルな格好で行くと浮くぐらいの100%に近いスーツ率。ちなみに思い返せば、発表者はそうじゃないけど日本マンガ学会ではマンガTシャツの見本市みたいな印象があったかな…いや印象的なTシャツが記憶に残りやすいからなんだろうけど。理系は応用何とかとか何とか工学とかいや普通に企業がからむのはスーツしかいらっしゃらない印象がある。

話を戻し今回の大会は盛りだくさんな印象があった。
予定にあった、諸葛亮関連の発表は1本中止になったけど、もう一本は予定通り成都の諸葛亮研究センターからの発表が1本あった。その抜けた分に来年7月開催の東京国立博物館の特別展「三国志」 https://twitter.com/sangokushi2019 の告知と大修館書店の『大漢和辞典デジタル版』のプロモーション https://twitter.com/taishukan_promo とがあって、エントランスに隣接する教室で後者のブースがあった。
 ブースで言えばお馴染み汲古書院 http://www.kyuko.asia/ の他に、東方書店 http://www.toho-shoten.co.jp/ 、佐藤ひろおさんの同人誌 http://www.3guozhi.com/ 、山桜舞さん https://twitter.com/maiyamazakura のポストカード

成都の諸葛亮研究センター(諸葛亮研究中心)からの発表というのはつまり梁満倉(中国社会科学院歴史研究所研究員・四川省諸葛亮研究中心学術委員会主任)「軍師中郎将諸葛亮の荊州時代」は梁先生の発表のその通訳が交互に行われるものの、先に結論(荊州時代の成果)を言って後で理由を列挙するという明確なもので、中だるみせず発表後の質問も多数あがっていた。
その前の三田辰彦(東北大学助教)「功業か孝道か ――三国両晋楚宋の宗廟における“太祖”の位置づけ――」は東洋史の研究報告で、実は(ハシゴした人が言うに)同日開催の魏晋南北朝史研究会大会 http://6ch.blog.shinobi.jp/ とダブルブッキングだったそうで。

昼休み後に
・伊藤涼(早稲田大学大学院)
「王弼の万物生成論」
・中川諭(立正大学教授)
「イェール大学図書館蔵の『三国志演義』」
と続き、盛りだくさんな印象を強める。後者の中川先生のは、ヨーロッパでおもしろいものが発見されたとかで「欧州図書館における『三国志演義』版本の新発見」に急遽変更になってた。そうしたくなる理由が納得するのだけど、ヨーロッパにはまだまだ貴重は版本が眠ってそう。昼は席を替えて座っていて会場は元々、会議室なだけに、席が向かい合わせなんだけど、目の前に座っている方が中川先生の発表で深く関心のしぐさを見せたり活発にメモをとったりする方がいらっしゃると思ったら、実はちょっとした知り合いで、今回発行の『三国志研究』十三号ではその方の論文はないものの複数の論文から引用参照されてた(来場は公表されてないようなので一応伏せておこう)。

さらに盛りだくさんに、
〇追悼(15:40〜16:00)
・伊藤晋太郎(二松学舎大学教授)
「沈伯俊先生の経歴と主要業績」
・石井仁(駒澤大学教授)
「狩野直禎先生記念 三国志学会賞の創設」

『三国志研究』十三号の編集後記に書いてあったけど沈伯俊先生の代表作の一つ『三国志演義大事典』原著には研究動向の部分があるそうで。
「狩野直禎先生記念 三国志学会賞」は書籍に贈られるものだそうで、第一回目は仙石知子先生の『毛宗崗批評『三国志演義』の研究』に贈られていた。受賞のスピーチでは賞のタイトルに冠せられる故・狩野直禎先生への感謝を含む感動的なものだった。

最後の安藤信廣(東京女子大学名誉教授)「六世紀から見た『三国志』の時代―歴史の伝説化と文学の継承と―」はタイトルにある六世紀の文に現れる三国の人物の話がとても面白い。

それで毎年三国学会大会の会場では会費を払うことができ、それと引き換えに学会誌『三国志研究』十三号をもらえるのだけど、会場でぱらぱらめくっていたら、袴田郁一「大衆と伍す英雄―吉川英治『三国志』における諸葛亮像の形象」の結論部分で「時の地平線」というパワーワードを見かけ(マンガの諏訪緑「諸葛孔明 時の地平線」)、それを真っ先に会場に来ていた「時の地平線」好きの知人に見せに行ったら一瞬、私の論文と勘違いされてしまった。そして同誌掲載の私の論文にも「時の地平線」の引用画像を入れ込んでるってオチ。
同論文の「はじめに」で「城塚朋和のように、その独創性の乏しさをはっきり指摘した研究もあった。その指摘はおそらく正しい」って文と、吉川『三国志』のルーツを充分に読み込む作業について「言うまでもなく、その作業なくしては歴史文学の独創性と価値は見えてこない。」、自分には出てきそうにない文で、マネしてー、と思った。
同誌で、仙石知子「ジェンダーの視座から見た日本における『三国志演義』の受容」と袴田郁一「大衆と伍す英雄―吉川英治『三国志』における諸葛亮像の形象」と続くんだけど前者の終わりの方と後者の冒頭で共に吉川の「曹操に始まって孔明に終る二大英傑の成敗争奪の跡を叙した」という同じ文が引用されるのがおもしろい
それで帰りの列車の中で一旦閉じた『三国志研究』第十三号にて、再び、袴田郁一「大衆と伍す英雄―吉川英治『三国志』における諸葛亮像の形象」を見ようと探していたら、そのひとつ前の仙石知子「ジェンダーの視座から見た日本における『三国志演義』の受容」で横山光輝『三国志』、「人形劇三国志」という単語が見えそっちにひっぱられた。
というかそれをもっと早く気づいていたら懇親会ではもっと気の利いたことを申し上げられたのに!(笑) いや、日本マンガ学会にジェンダー・セクシュアリティ部会 http://www.jsscc.net/study-group/gender あるぐらいマンガ学でのジェンダー学は多くの研究者の興味をもたれる分野なので。

自分の論文に関しては一太郎がDTPソフトではなくワープロソフトであることを痛感するほどてこずっていて、本文を見直す余裕がなかった印象があったので、今、あまり見返す気にはなれなかったりする。

最後の写真は翌日日曜日、神戸のブックカフェのCha-ngokushi ちゃんごくし https://twitter.com/Changokushi にてそこの蔵書とともにとったもの
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