うちのジジイはちょっとおかしい

健康診断をかかさなかったため相変わらず元気ではあるが、相棒はジジイだ。どのくらいジジイかと言うと、車を買い換える一般的なサイクルは３ないし５年と言われるので、これを車の１世代とすれば４〜５世代（20年）古い。

買い物を終えて駐車場に戻ると、相棒の隣にでっかい車が駐まっていた。メルセデスの新型Ｓクラスだろうか。鼻面が駐車枠から１メートル近く、はみ出ている。大きいのは車体だけでなくタイヤも相応で、デザイン・ホイールの隙間から見えるブレーキのディスクローターもでかい。うん、体重もあるだろうから、ブレーキも強力なものにしないとね、と思いつつ相棒を見ると、あれ？　ローターの直径、同じだ。

昨年秋、日産から新型のスカイラインが発売になった。ＧＴ−Ｒが別枠になってしまったので興味は失せたが、スカイラインと言えばいつの時代でも尖った性能のセダン代表格。相棒も基本はセダンだから、最新型とはどのくらい性能差があるのだろうと諸元表を眺めてみた。

スカイラインのエンジンはＶ６ターボとハイブリットの２種類あるけれど、両方とも出力は約３００馬力、トルクも約４０キロ。なんだ相棒と同じかと思ったら、もう１種類特別仕様車があって、そちらは４００馬力、４８キロと格が違う。さすが最新型と感心したものの、よく見ると体重は１７６０キロもある。電卓を叩いてみると、１馬力当たり４．４キロ、トルクウェイトレシオは３６．７キロ（共に数字は小さい方が良い）。一方相棒はお師匠さまみたいに軽いから、それぞれ４．５キロ、３３．７キロとほぼ一緒。ちなみに普通のスカイラインは特別仕様車よりさらに重い１８００キロオーバーなので数字はもっと大きくなる。

ではスポーティな小型車はどうか。コロナ禍が始まる少し前、ホットな車として注目を集めていたのは、ニュルブルクリンクのレコードを更新したルノーのメガーヌＲＳトロフィーＲ。トヨタの新型スープラは筑波のラップタイムが４秒台と噂されているが、メガーヌは３秒台でも調子がいまひとつと言われる（この数字も小さい方が良い）。ちなみに街中でたまに見かける、高性能を謳うセダンやホットハッチを筑波に持ち込んだ時のタイムは７〜８秒台で、６秒台を出すと、おお、すげー、となる。では相棒はと言うと、５秒台前半。変なジジイだ。

車の安全運転講習のひとつに、スキッドリカバリーというのがある。
https://www.twinring.jp/astp/car_school/

乾いた路面から濡れた路面エリアへ入る境目に鉄板があり、そこを後輪が通過しようとする瞬間、鉄板が突然横に動くのだが、右と左、どちらに動くかはその時にならないとわからない。車のイレギュラーな挙動に慌てることなく、適切な方向へ適切な量のカウンターを当ててスピンを防ぐという実践的なトレーニングだ。

もっとも現実のスライドは横Ｇにタイヤのグリップが負けたときに起こるから、どちら側にタイヤが滑るかは予想がつくというのは置いといて、初めてやった時は先生の期待通り思い切りスピンした。しかし慣れてくると、それなりに対応できるようになる。

ところが昨年、久しぶりに挑戦したところ、成功率が極端に落ちてしまった。最初は原因がわからず凹んだが、途中であることに気がついた。前に試した時は相棒での参加だったが、今回はスクールの教習車だった。

教習車といっても無線機が付いているだけのファミリーカーで、相棒もつるしの状態で買い、これといって手は加えていない市販のセダン。だが相棒と教習車には、この講習に関しては多大な影響を及ぼす決定的な違いがあった。

停車した状態でハンドルを右か左に目一杯まわし、次いで反対側へ同じようにまわすことをロックトゥロックと言う。この反対側から反対側までハンドルを回す時の回転数は、ホンダの過激オープンカーＳ２０００の１．４回転は別格として、クイックな挙動で知られるアルファロメオが１．８〜２．６回転（グレードによる）、ランエボＸやＷＲＸ、８６／ＢＲＺ、ＢＭＷ Ｚ４などスポーティさが売りの車でも２．３〜２．８回転、そして街中で見かける大部分の車は３．５〜４回転だという。

この回転数は、例えるならパソコン画面のポインターの移動速度みたいなもので（速度が速い＝回転数が小さい）、速度が速いほど手首のわずかな動きでポインターを大きく動かせるように、回転数が小さいほど、ハンドルを少し動かすだけで前輪を大きく動かすことができる。

では相棒はというと、１．８。つまり普段の感覚で教習車（３回転以上）を運転すると、前輪はいつもの半分程度しか動いていないことになり、これがカウンターの遅れる原因だった。

ジジイ、おまえちょっとへんだぞ。



■新型ワゴン、渋滞で自動走行＝「レヴォーグ」予約開始―スバル
(時事通信社 - 08月20日 01:01)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=4&from=diary&id=6200451