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2020年02月19日11:09

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大型船は豪華じゃない

勝沼のホテルとクルーズ船に隔離されていた(いる)人たちは同じ立場のはずなのに、世間の反応には温度差があると言うか、クルーズ船客にはいささか冷たいように感じる。

勝手に要望書とやらを政府に突きつけている勘違い人権屋は見なかったことにして、クルーズ船の船客には、日本から食事が補給されるようになったら格段に美味しくなった! と喜んだり、不便ではあるけれど本国に戻ってさらに2週間隔離されるよりはこのまま船に残っている方がいい、と救援機に乗らない人もいるのだが、視聴者は「クルーズ船=豪華客船=お金持ち」という図式を勝手に思い描き、妬みのフィルター超しに眺めているような気がしてならない。

マスコミを含めてクルーズ船に関心のない人たちは、船が大きくなればなるほど豪華で高級というイメージを持っているようだが、大きい船は見た目や演出が派手というだけで、サービスが高級ということはなく、それどころか「豪華客船」を期待して乗るとがっかりさせられるだろう。

船を大きくするのは船客数を増やすためだが、これは工業製品を大量生産するようなもの、つまり単価を下げるのが目的で、船のグレードや航海日数によって幅はあるが、ミドル・グレードのダイヤモンド・プリンセスのスタンダード料金は1泊3万前後、カリブ海など人気のある海域(=船会社間の競争が激しい)に就航する船には1泊1万を切るものもある(ダイヤモンド・プリンセスを運行するプリンセス・クルーズにも1泊1万を切るクルーズ・プランがある)。

1泊2〜3万のシティホテルや観光地のホテルに泊まる客をお金持ちとは言わないように、大型/超大型クルーズ船の船客も気軽に船旅を楽しんでいる、せいぜい小金持ちで、本物の大金持ちは船客数の少ない2万トン以下の船か、自前の船に乗る。

ちなみにクルーズ船のグレードは、ラグジュアリー>プレミアム>スタンダード(カジュアル)にざっくり分けられ、大型船/超大型船は基本カジュアル、一部プレミアムに分類されている(ダイヤモンド・プリンセスはプレミアム)。グレードは船の大きさよりもサービスの質によるものだが、それを視覚化するのは難しく、比較的わかりやすい目安に船客数と乗員数の比率がある。

乗員数には客室担当者だけでなく航海科や機関科、バックヤード要員も含まれるが、要は乗員ひとりでお客を何人担当するか、という話で、スタンダード・グレードの船だと3人を超え、プレミアム・グレードで2人台、ラグジュアリーで有名なシルバーシー社には1.3を切る船もある。なお中の下と言われるダイヤモンド・プリンセスは2.2。

日本では「豪華客船」と呼ばれる、カジュアル・グレードの大型船の船室の調度品や食事は、残念ながら豪華とはほど遠い。クルーズ船では小さくてもベランダ付きの船室が喜ばれることから、いちばん数の多いスタンダード・クラスの船室の形状はまさにウナギの寝床。ダイヤモンド・プリンセスの映像をよく見ると、窓の両側に仕切り壁が確認できるが、あれが船室の幅で、ベランダと言ってもチープなテーブルと椅子を2脚置ける程度。窓の奥にはソファセット、ベッド、シャワールーム兼トイレユニット、クローゼットと続き、それぞれの面積も陸上の同金額のホテルと比べるとはるかに狭く、ビジネスホテルに近い。

調度品は現物を見ると驚くほどチープだ。陸上のホテルにはベッドのクッションにこだわるところもあるが、クルーズ船では板張りの台に薄いマットレスを敷いただけというケースもある。というのも、大きくて重いものをたくさん積めるのが船の長所と言われるが、多数のキャビンを積み重ねた構造のクルーズ船はどうしても重心が高くなってしまうので、備品の軽量化を図らねばならない。しかし客単価の安い船だから、カーボンなどの高価な軽量素材を使うわけにもいかず、結果としてプラスチックや合板、アルミ合金を目立たないよう「工夫して」使う。単価の安い客はマナーもいまひとつだから、汚されてもすぐ交換できる安い素材にしている、という側面もある。

クルーズの基本料金は3食込みだが、ほぼブッフェ形式で、種類はあっても味はさほど美味しくない(美味しい船もなくはない)。しかも何百人という船客がイナゴのように群がるから、落ち着いて食事をしたい人は別途料金を払って船内の別のレストランに行くことになる。個別のレストランの味は、さすがにブッフェよりは美味しいが、それでも陸上のホテルのレストランにはかなわない。

ダイヤモンド・プリンセスが入港した直後は、まだ新型ウイルスの素性がはっきりしていなかったとはいえ、船客たちが船上を自在に歩き回っている姿を見て唖然とした。あれでは感染者を船外に出さない、という意味しかない。その後続々と増えている陽性者の多くは、航海中ないしこの入港初期に罹患したのではないだろうか。また我が国にCDCのような専門組織があって、そのスタッフが入港前から乗船して防疫指導に当たっていれば、感染者の数はもう少し減らせていたかもしれない。



クルーズ船客 不安抱え下船へ
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=2&from=diary&id=5978434
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