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2020年02月07日19:26

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【バレエ】Kバレエ「白鳥の湖」(4公演)

終演後にお師匠さまと感想を語り合うのはバレエ観覧の醍醐味のひとつだが、今回は日程が合わず、弟子が木曜日のソワレと金曜日、師は土曜日にマチソワと、まったくのすれ違い。

もっとも師弟だけあって、注目したり感銘を受ける場面など、ツボにハマるところは共通していることが多いので、「同じ舞台の記憶を共有できないのは残念ですが、感想を語り合えば4公演観たことになりません?」と言うと、たしかにそうだね! と膝を叩かれていた。こういうところも気が合う。(笑)

◆木曜日ソワレ

会社帰りの観覧は移動時間を節約できていいなあ、しかも贔屓のバレエ団の古典、観終わったあとの一杯も美味に違いない、というわけで渋谷に向かう足取りも軽かった。ところが帰りの道中は、頭の中に「?」マークが渦を巻いていた。理由はつぶやいた通り、「Kってこんなに下手だっけ?」

文句の前に、まずは良かったことから。

オデット/オディールは成田さん。彼女の力量やキャラクターについては我が師から事前にいろいろ聞いていたが、自分の目でじっくり観たことはまだなかったので楽しみのひとつだった。たしかに主役としての技術は及第点で、いじめ甲斐のあるシンデレラというか、控えめな雰囲気のキャラと聞いていたので、バランス感覚と回転が得意らしいのはちょっと意外だった。

演技も心がけているようで、踊りからも感情は伝わってきたが、ジークとはあまりアイコンタクトを取らず、ひとりで勝手に嘆き悲しんでいるように思えた。3幕(Kの「白鳥」は4幕仕立て)のフェッテも、ダブルトリプルを何度も織り交ぜ、軸足もぶれないのだが、回転速度がそれほど速くはないので、「魅せる」と言うにはやや迫力が足りない。

「上手いし将来も期待したくなるダンサーでしたが、今はまだ彼女が主役の日を選んで観たい、というレベルではなかったですね」と師に伝えたところ、うんうんと納得されていた。

ジークは山本くん。木曜日のソワレを選んだのは、前述のように会社帰りは気楽、というのもあるが、彼と杉野くんのロットバルトを観たかった、というのがいちばんの理由。小林さんのオデット/オディールは平日の昼間なので、休みを取らなければならないし。(怒)。

公演終了後、熊さん自らが舞台に姿を見せ、山本くんのプリンシパル昇格を告げたが、これはバレエ団の営業戦略ではなく、実力で勝ち取った納得の昇進人事である。彼がまだ顕著な進化を見せる前、早々にダメ出しをする人をネットで見かけては、見る目のない奴め、彼はいずれ開花する、と日記にも書いてきたが、これで溜飲も下がった。(笑)

彼の踊りには、熊さんをはじめ、世界で活躍するダンサーに共通する「観客を惹き付ける」魅力がある。目と耳が幸せになる音楽性と連続性、のびやかで安定したプロフェッショナルな動きは観ていてわくわくする。演技力については、今はまだ等身大で演じられないキャラになると背伸びしている様子が見えてしまうが、王子としての気品は昔の熊さんを上回る。

オデットの登場直後のやり取りは、彼女が逃げ回ることもあって、一目惚れした王子のいささか強引なアプローチが定番だが、この回はオデットとの物理的な距離をやや開けることで、自分の気持ちを伝えつつも彼女への気遣いが感じられた。ただし土曜日のマチネではもう少し間を詰めていたとのことなので、意図したものではなかった可能性もある。

杉野くんのロットバルトも概ね満足の出来だった。3幕のソロではややもたつき感はあったが(衣装が踊りにくい?)、動きはまさに鳥の化身。役作りも面白く、よく観るのは上背があって体格も良い人が威圧するパターンだが(キャシディさんや遅沢さんがそのタイプ)、杉野くんは上背はあってもガッチリ体型ではないので、そこを逆手に取り、粘着質で感じの悪い魔物。(笑)

例えば4幕、白鳥群舞を背景にオデットとジークが手を取り合うと、舞台奥から現れたロットがふたりの間に割って入るが、一般的には壁となってふたりの間に立ち塞がるところを彼は腰をかがめ、馬鹿にしたような笑みを王子に向ける。さらに王子の身体を腕で舐めるかのようにゆっくり押しのける様からは、「おまえは誓いを破ったのだろう?」といたぶりからかうような口調のセリフが聞こえてくるかのようだった。これには思わず笑ってしまったが、その話をすると、お師匠さまの笑いのツボにもはまったようだ。

王妃様は蘭さん、家庭教師は伊坂くんと、近年の固定配役。熊版は道化に代わってベンノが踊りまくるが、この日は佐野くん。勢い余ってよろける場面もあったが、この役はそのくらい元気のあるほうがいい。ミスは無い方がもちろん良いが、それはこれからの課題ということで。

1幕のベンノが家庭教師に叱られてお尻を叩かれる場面では、「バシーン!」という音が館内に響き渡り、佐野くんはその後もしばらくお尻をさすっていたから、ほんとに痛かったのだろう。伊坂くんと何かあったのだろうか。(笑)

今回の「白鳥」は始まって早々、Kにしては足音がする? と思ったが、そういうこともあるさと、この時はさほど気にはならなかった。しかしトロワを観ているうちに、次第に違和感が増していった。

トロワは高橋、西口、佐伯の3名だが、西口くんの踊りに冴えがない。彼が配役されていることを忘れていたので、観ている時は抜擢されたアーティストが緊張のあまりガチガチになっているのだろう、と思ったほど。しかも彼と女性が組むと、相方の勢いも削がれてしまう。高橋さん、佐伯さんはひとりで踊ると良かったから、西口くんに合わせた結果なのだろう。彼はどこか具合でも悪かったのだろうか。

違和感はその後も続き、4羽の小白鳥はゼンマイ仕掛けの人形のようで、優雅さのカケラもない。楽しみにしていた大白鳥も元気がないように思えた。

ナポリはそこまで演奏に合わせられないのなら、タンバリンなんか使うな! というほど酷く、チャルダッシュ、マズルカも慌ただしいだけで、演奏と動きが合わない人もひとりやふたりではない。スペイン(男女計8名)も男性に1人だけまあまあな人がいただけで、昔の魅力のない踊りに戻ってしまっていた。

白鳥群舞も腕使いは綺麗だったが、ここにしては足音がするし、揃い具合も今ひとつで、動きも伸びやかさが足りない。腰を落とした状態から立ち上がる姿はバレエは踊らない一般人のようだし、大きく位置を変えるときの足さばきはドタバタ走り回っているだけで美しくない。

そしてとどめはオーケストラ。始まって早々にミスタッチが続き、アンサンブルも頻繁に崩れる。中でも酷かったのがホルンチームで、下手なくせに音量だけはあるから悪目立ちも甚だしい。盛り上がるところの大音量は必死感ありありで、音色に艶も何もない。

トリプルビルの演奏が生オケから録音音源に変わった時は(そう言えば、返金可のニュースは消されたままでなんのフォローもない。このまましらばっくれるのだろうか)、熊さんとシアターオケの不仲説まで流れた。流石にそれはないだろうと、その時は歯牙にもかけなかったが、ここまで酷い演奏を聴かされると、本当になにかあったのだろうか、と勘ぐりたくなる。

◆金曜日

木曜日の舞台はあまりにも釈然としなかったので、翌金曜日は小林さんが主役でもある事だしと、急遽休みを取って渋谷に足を運んだ。

最近、新しい公演の配役が発表されるたびに不審に思うのが、小林さんの扱いだ。前回の「白鳥」(2018年)では中村さんが降板、その代役として登場して以来(それ以前から彼女は我々のお気に入りリストに入っていたが)、彼女の実力は広く観客にも認められていることを考えると(中村さん目当てのアウェー観客から、絶賛する大きな拍手と声援を勝ち取った)、少なくとも成田さんに2回機会を与えるのなら、小林さんにも同等以上の登板機会を与えるべきである。ところが今回も1回しかなく、しかも平日の昼間。勤め人に喧嘩売ってるのか? と我が師とと もに立腹したものだ。

小林さんの長所を語りだすと止まらなくなりそうなのでふたつだけにすると、まず音楽と踊りの美しいマリアージュだろう。手脚の動きが演奏とぴたりぴたりと合う様は本当に気持ちが良い。もうひとつはダイナミックなロシア式の踊り。英国流が基本のKバレエとしては異質な存在ではあるが、踊り手が多彩なほどバレエ団は魅力的なのだが。

演技についても彼女は面白いことをしていた。振付家でもある熊さんは、ダンサーに勝手な解釈をして欲しくないようで、土曜日マチソワ(成田さんの2回目と中村さん)のオディールは、木曜日ソワレ(成田さんの初回)と基本同じ、オデットと見間違えることはなさそうな別人で、性格も絵に描いたようなツンデレ。つれないそぶりで王子をやきもきさせては妖艶な笑みで魅力するという、オディールの基本というか、よくあるパターン。

ところが小林さんのオディールは、ツンデレではなかった。登場場面から笑みをほとんどみせないので、最初はシェスタコワさんなどロシアの踊り手がたまにやるロットの操り人形パターンかと思ったが、そうではなかった。王子に対してはツンどころか終始上から目線の女王様なのだが、彼に背を向けたとたん、ニヤリと妖しげな笑みを浮かべ、ロットとアイコンタクト。この瞬時の切り替えが実に見事で、見ている方も思わずニヤリとしてしまう。(笑)

話は前後するが、2幕のラスト、オデットがロットに操られて上手の袖に消えていく場面では、多くのダンサーは表情だけで誤魔化しているが、演技の上手い人は身にまとう雰囲気すべてを切り替える。小林さんもその切り替えが上手い。

ジークは堀内さん。キレのある踊りや跳躍、喜怒哀楽のはっきりした演技力など、観たのが彼の回のみだったら十分満足の王子だったが、前夜の山本くんの印象が強すぎて、無意識のうち比較しては山本くんの上手さを再認識してしまった。

ミハイロフスキーのシェミウノフ夫妻や新国の小野/福岡ペア(このふたりも夫婦?)の例からもわかるように、バレエではパートナーシップも重要な要素となる。少なくとも過去の公演を観た限りでは、小林さんと山本くんの組み合わせは、互いの長所を引き出す効果があるように思う。ぜひまた2人のコンビを復活させてほしいものだ。それにしてもなぜ、小林さんはプリンシパルに昇格しないのだろう。

ロットバルトは宮尾くん。それまで主役として活躍してきた人が、ロットバルトやカラボスのようなクセのある役を演じると、意外な横顔に驚かされることがままあるので、彼にもそれをちょっと期待したが、良くも悪しくも教科書のようなロットバルトだった。大柄の体躯を有効活用した威圧するような演技はロットバルトのイメージそのものだが、杉野くんのような妖しさ、意外性、面白さはなく、鳥らしさも杉野くんの方が上手い。

他の配役は木曜日とほぼ同じで、山本くんと杉野くんが入ったスペインはピンポイントで見栄えが良くなったほか、前夜は熊さんに相当説教されたのか、あちこちに改善の跡が見られた。だが過去の舞台と比べれば、やはり物足りなさは否めない。西口くんは依然元気がなく、群舞、特にキャラダンの不協和音感は納得し難いものがある。彼ら彼女らが踊っていると、振付そのものに問題があり、曲とシンクロしていないようにすら思えてくる。果たしてどちらが悪いのだろう。

オケもまとまりを戻しつつあったが、相変わらずホルンチームは悪目立ちしていた。創設時のシアターオケはそれほどレベルの高いオケではなかったが、次第に腕を上げ、近年は「最も安心して聴いていられる国内のバレエ・オケ」との評価をバレエ・ファンから得ていた。ところがここ1年ほどはミスが目立つようになり、しかも初日から楽日にかけて徐々に調子を上げていく傾向にある。

劇場付きのオケは面子ががらっと変わることはあまりないので演奏レベルも安定しているのが普通だから、昨今のシアターオケの不安定さは不思議でならなかった。しかしマイミクさんによればシアターオケは登録制らしく、となると正規の劇場オケよりも面子は流動的になる。しかも今は複数の劇場で同時に演奏ができるほど規模も大きくなっているから、奏者の組み合わせによって出来不出来の差が顕著になってもおかしくはない。

原因が当たっているかどうかは不明だが、いずれにせよ観る(聴く)回/公演ごとにころころ質が変わるというのは、観客/聴衆にとっては迷惑以外のなにものでもない。

◆土曜日マチネ

以下は我が師から届いたメールおよび直接うかがった感想をまとめたもので、総じて木金よりは土曜日マチネ、マチネよりはソワレと徐々に良くなっていたようだ。もっともソワレの配役は明らかに他の回より充実しているから、ダンサーの層はやはり薄くなっているのだろう。ただしオケはマチネの方が良く、ソワレでは目立つところでミスを重ねていたという。

「(2羽の白鳥は)二択だから踊りですぐ分かったよ、小林さん。やっぱり良いね」

「(ジークの)山本くん、まだプリンシパルではなかったんだ。今日もとても良いよ。喜びとか感情がとても良く伝わってくる。姫さまたちの拒絶にも礼儀があって、マイムが強くない。でもオデットには積極的」

「(ロットバルトの)杉野くんがまた良いんだな。迫力と色気とキレがあり、舞踏会では男爵だから意外とマントを預けたりする時は礼儀正しい。山本くんとの連携も良い。魔力で操ってる感は杉野くんだけでも十分出せているんだけど、山本くんがまた操られてる感を出すのが上手い。山本くんのクロスボウを取り上げる時のスピード感もいい」

「トロワはそれぞれ良かったけど、中でも堀内さんが良かった。踊り終わった後の小芝居も面白くて、女性2人にジークがお花をあげるでしょ。堀内さんもニコニコしながらもらう気でいるのね。なのに自分を飛ばされてしまうから、エッという表情をした後、とても残念そう。でもジークは気付かず、代わりに握手の片手を差し出す。すると堀内さん、ものすごく嬉しそうに前に出て、両手でガッチリ握り返してた。握手会で順番が回ってきた時のファンのよう。友人と言っても、やはり同等ではないことを思い起こさせる。そして山本くんのキラキラ感が眩しい」

「スペインにも堀内さんがいて、上手いけどスペインとしてはツボにはまらなかった」

「(ベンノの)佐野くん、(家庭教師の)伊坂さんも、とても良かった。(お尻を叩いた時の)音は小さめかな。佐野くん、フリッツの時は髪がふわふわだったけど、今回は短くしてたね」

「チャルダッシュの男性で、杉野くん似の明るさとツボにハマるアクセント、濃い踊りのダンサーが居て、すごく気にいったのだけど、髭と帽子で誰だか分からないし、キャスト表を見ても見当がつかない。気になる…」(配役表の記載は西口、三浦、金、牧野、上野)

「序曲は残念な感じで、白鳥が水面に触れる様子とかが全然ダメ。ウクライナ・オケが良かったから差を感じてしまった。4幕は良かったけど」

「4羽の白鳥は余裕があって良かったよ。揃っていてもカクカクした動きではなかったし。だから拍手も大きかった」

「足音はする。1幕の群舞は踊りというより揃えてる感じで、ぎこちなさがあるし、足音もかなりしてた。男性もね」

木金の群舞は総じて男性よりも女性の方が余裕がないうえにドタバタ感も強く、土曜日マチネも同様だったそうだ。

木曜日は気付かなかったが、成田オデットは王子との出会い冒頭、腰に手を回された時、怯える仕草をしていたという。言われてみれば、彼女にとってジークは、この時はまだ不審者ではある。(笑)

◆土曜日ソワレ

「マチネも満席っぽかったけど、観客のマナーがいまいち。私は直接影響なかったけど、私語や乗り出しがあちこちであった」

Kの創設時は、観客は熊さん以外観てなかったから、彼の姿が無いときのマナーは最悪だったが、普通の観客が増えると改善し、木金は少なくとも私の周囲に変な観客はいなかったので、これはやや意外。NBS主催公演に出没するマナーを知らない連中が、Kの舞台にも目を付けだしたのだろうか。

マナー関連のクレームとして付け加えると、客電が落ち、演奏が始まっているにもかかわらず、遅れた人を入れるのはやめてほしい。まともなクラコンでは考えられない行為だ。しかも時間にルーズな人間は、多少遅れても入れてくれるんだ、と味をしめ、同じことを繰り返す。

「祥子さんの白鳥、今まで観た中で一番情感があって良かった。マチネの成田さんの記憶があるから、登場時は大きい! と思ったけど、怯えていて儚さと色気のあるオデット。アダージオは対話があって、包容力のあるジークに何度もダメな理由を説明していた」

「ソロでは王女というよりは女王の風格と威厳があるのだけど、踊り出すとジークに出会えた嬉しさがにじみ出て優しい踊りになる。コーダでは嬉しさでいっぱいになり、そのまま(2幕ラストの)別れの激しさに繋がっていた」

この場面では、木曜日の成田さんも激しく羽ばたいていたが、彼女は王子との対話がまだ希薄なため、なぜ急にそれほど悲しむの? という唐突感があり、土曜日マチネも同様だったようだ。

「でも(その唐突感は)どこかで見たと思ったら、バレエフェスのルグリ/ドロテ組のPDDだった。祥子さんたちは心が通っていたから、それはない。(好意的に解釈するなら)成田さんの激しい羽ばたきには、ジークと離れたくないだけでなく、鳥に戻りたくない、という気持ちも込められているのかも」

「オディールは華やかで自信に溢れた美女で、色香で相手を手玉にとる、まさしく悪女。アダージオではツンデレの使い分けが見事で、誘ったかと思うと袖にする。優しく頬を撫でて流し目で離れたりするので、ジークは触れられた頬を触って夢見心地」

「すっかり惑わされていると、はたくほどまでは強くないけど、撫でるのとも違う触れ方で頬に触れてハッとさせたりする。惑わせて手玉にとるのが楽しくて仕方がない様子で、ロットバルトと軽く高笑いに近い表情をしたりする。姫君にしては品があるという感じではないけれど、魅力的な悪女であるのは確か。間違える?! というくらい別人だけど、ガラなら間違いなく盛り上がるタイプのオディール」

「オデットの幻影が出た時の焦り、ロットバルトとアイコンタクトで方針を固めてオデットの真似、騙し通せた時の快心の表情などが面白い。最後の高笑いは絵に描いたようで、楽しそうだった。演じてて気持ちよさそう。バランスもぐらつかず、何秒キープしたのかというほど。どよめきが出たくらい」

「ただ、ヴァリエーションの振付では、小林さんと比べると違和感のある動きもあった。小林さんは音楽にピッタリ合わせてくる人だからね。祥子さんはわざと溜めて外したりしてるのかな。普通に踊ると忙しない振付なんだよね。オディールのソロの前半」

「遅沢さんは王子というには風格と落ち着きがあって、ただ王位を継いでないので王子の立場のままという感じのジーク。結婚して王位を継いで国を治めなさいと言われるのは当然な感じ。踊りは綺麗で、長身を活かしたゆったりとした踊り。爪先まで綺麗に伸ばしてゆっくり回転するなど、跳躍も滞空時間が長く感じる。キレとスピード感で魅せた山本くんとは異なる見せ方」

このほか石橋ロットは杉野くんとも違う方向性の妖しさで、王子を操る時は魔力というよりも時間を支配し、時の流れをゆっくりにしているかのようだったとか。群舞に袋にされるラストも、杉野くんはもがき苦しんでいたが、石橋くんは徐々に力が失われ、静かに弱っていくかのような演技。宮尾くんがキャシディさん、遅沢さんのような正統派のロット、杉野くんはそこに独自の解釈を加味したのに対し、体格的に威圧感を出しにくい石橋くんは、杉野くんとは違う方向でオリジナリティを出そうとしているのでは、と我が師。

余談だが、熊版「白鳥」のラストは、雲海を跳ぶ白鳥群舞の正面(奥)に、来世で結ばれたオデットとジークの姿が描かれるが、ロットバルトの呪いが解けても群舞たちは白鳥のまま。その不遇を思うと、やはり「白鳥」のラストはハッピーエンドがいいな、とも。

◆おまけ

日曜楽日を観た知人から、本当に少しだけの短信が届いた。

オデット/オディールを演じた矢内さんは「安定感が増していた」。彼女の踊りはすでに安心して観ていられるレベルだから、どれだけ熟成が進んだのだろう。(笑)

高橋ジークについては...コメントは無かった。
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