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2020年02月15日02:40

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『天保十二年のシェイクスピア』 by 東宝

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私、シェイクスピア劇が好きである。
その産み出した作品は、時代を越えて人間の本質を描いているから。

だから、今も、
様々な脚本家、演出家の心をくすぐり、
多種多様なシェイクスピア劇が産み出されている。

そんな中、井上ひさしは、
シェイクスピア作品全37作を全部織り込んだ作品を書き上げた。
舞台を天保時代の日本、下総国の旅籠街「清滝村」に置いた、
シェイクスピア作品を横糸に、
宝井琴凌の「天保水滸伝」を縦糸に織りなした
本格的に公演したら上演時間は4時間以上に及ぶという大作。
凄絶なシェイクスピアへのオマージュである。

物語の全編を通じて登場するのが、
「佐渡の三世次」(=リチャード掘椒セロー+ジュリアス・シーザー+リチャード)
私が初めて本作を観たのは、再演2002年:いのうえひでのり演出
三世次を上川隆也くんが演った公演。
(初演は1974年:出口典雄演出)
そして、再々演2005年:蜷川幸雄演出は、
蜷川さんと「きじるしの王次」(=ハムレット+ロミオ+間違いの喜劇)役の
藤原竜也くんに惹かれて観に行き…
今年!
三世次を大好きな高橋一生くんが演ると言う!!
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これはぜひ行かねば! ということで、
1つの魅力的な作品を
3人の演出家、3人の三世次と王次、で鑑賞する機会に恵まれた。



2/13(木) @日生劇場 18:00〜21:35(休憩20分)
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演出:藤田俊太郎/音楽:宮川彬良

狂言回しの「隊長」(=ヘンリー 木場勝己)に導かれ開幕。
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出演者、♪もしもシェイクスピアがいなかったら〜♪と合唱!
そう、シェイクスピアが居なかったら?
英文学史も演劇史も大きく変わっていた。
いや、語学としての「英語」すらも大きく変わっていたらしい。

 【Amazon】 『天保十二年のシェイクスピア』より
  もしもシェイクスピアがいなかったら
  文学博士になりそこなった 英文学者がずいぶん出ただろう
  もしもシェイクスピアがいなかったら
  全集、出せずに儲けそこない 出版会社はつくづく困ったろう
  もしもシェイクスピアがいなかったら
  創作劇に貧しく乏しい 新劇界はほとほと弱ったろう

  シェイクスピアは米びつ 飯の種 あの方がいるかぎり 飢えはしない
  シェイクスピアは米の倉 腹の足 あの方がいるかぎり 死にはしない
  シェイクスピアは ノー・スペア あの方に身がわりは いないのさ

  もしもシェイクスピアがいなかったら
  女は弱い、などという あの誤解は生まれなかっただろう
  もしもシェイクスピアがいなかったら
  バーンシュタインはウェストサイドを とても作曲できなかっただろう
  そうなりゃ「ツーナイト、ツーナイト、………ツーナイト」という
  ヒット曲も生まれなかったろう
  もしもシェイクスピアがいなかったら
  これから始まるはずの このお芝居もここでおしまいさ

  シェイクスピアはドル箱 金の蔓 あの方がいるかぎり 金には困らぬ
  シェイクスピアは不動産 親の脛 あの方がいるかぎり われらは安泰
  シェイクスピアは ノー・スペア あの方に身がわりは いないのさ



物語はまず『リア王』
鰤の十兵衛(ブリ+テン→「リア王」)は
清滝村を牛耳る顔役で、よる年波から三人の娘に身代を譲ろうと考える。
長女「お文」はリア王の長女ゴネリル+「ハムレット」の母「ガートルード」
次女「お里」はリア王の次女リーガン+「オセロー」の妻「デズデモーナ」
三女「お光」はリア王の三女コーディリア+「ロミオとジュリエット」+「間違いの喜劇」
そして、
長女と次女に分割された清滝村に登場するのが三世次
彼の巧みな話術は人々の心を掻き乱し
疑心暗鬼の泥沼に引きずり込み…
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お文の息子「きじるしの王次」がハムレットにもロミオにもなり
シェイクスピア作品が展開していく。

ガンガン展開する物語に必死で付いて行く。
業突く張りの悪女姉妹が周囲を巻き込んでの勢力争い。
それを巧みに利用し、
村も望みの女も手に入れていく極悪人。

ラストは、さすがシェイクスピア劇!
み〜〜んな死んで…
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        終 わ る …

意味のある死、意味のない死、壮絶な死、あっけない死…
様々に死ぬ全ての登場人物…
一番意味のある死は、鰤の十兵衛?
尾瀬の幕兵衛(=マクベス+オセロー)にバッサリ斬られて死ぬが
幕兵衛が叫ぶ、惨殺の効果音が<バッサーニオー>
この一言で「ヴェニスの商人」をクリア!
かの名作は、この一言以外に登場しない。(笑)

あと、「十二夜」も。
最後の最後、隊長が観客にご挨拶。
「え〜〜 今日の月は〜十五夜では無く〜」
そして、ぶら下げている大福帳をパッと広げると大きく
「十二夜」と書いてあり、これで37作 コンプリートだそうである。

結局、4時間以上の芝居を3時間ちょっとに縮めての公演だったが、
それでも長かった〜〜
たしかに面白いのだけれど、
ストーリーを味わうというよりは、
井上さんがどこにどのシェイクスピア作品を埋め込んだのか?
見つけ出してほくそ笑むのがこの芝居の妙味なのだろうな。
で、私が、37作のうち、どの作品がそこに織り込まれたか
その場でわかったのは、10作品くらいかな〜?
もっとシェイクスピアに精通していたら
もっともっと面白かったのだろうな。
次回、また観る機会があったら、もっと予習して行かねば!

井上芝居特有の
・歌 はミュージカル苦手な私には、ちょっと鬱陶しかった。
 もう少し省略して下さってもいいかな〜

・科白 は本当に素晴らしい!
 井上さんは役者に、言葉ではなく言霊を語らせる。
 三世次の長台詞に聞き惚れる。
 高橋くんの三世次は本当は醜悪な男のはずなんだけれど、
 なぜか美しく見えちゃうのよね〜
 上川くんの三世次は凄絶な感じがしたのだけれど…
 演出の差?役者の差? あるいは私の心の持ち方?(笑)

 王次(浦井健治)に「To be, or not to be」の歴代の翻訳を
 6〜7例も語らせたのは圧巻! 面白かった〜
 「生きるべきか死ぬべきか それが問題だ」というのは
 誰の訳だか不明とかでビックリ!
 初めての日本語訳は「アリマス、アリマセン、アレハナンデスカ」
 1874年、英国人が日本語に翻訳したらしい。

舞台、
ラスト、それまで下総、清滝村の旅籠だった舞台セットが一瞬で
鏡の壁に変わる! 見事!!
醜い自分自身、一番嫌いな自分自身を突きつけられた三代次は
自身への憎悪で狂乱悶絶…
それも美しかった…

そんなこんな、
次は誰の三代次で観られるかな〜?
愉しみである。

あ、
帰途、隣の宝塚劇場と終演がほぼ同時刻?
今公演と宝塚との客層の差、歴然!目たらーっ(汗)
なんだか可笑しかった。



※ 備忘のため。
・よだれ牛の紋太(=モンタギュー(ロミオとジュリエット):お文の最初の夫
・蝮の九郎治(=クローディアス(ハムレット):お文の夫
・清滝の老婆(マクベス)
・隊長(ヘンリー五世)
・代官手代小見川の花平→キャピュレット(ロミオとジュリエット)ダンカン(マクベス):お里の最初の夫
・ぼろ安→ポローニアス(ハムレット)
・お冬→オフィーリア(ハムレット)
・利根の河岸安→キャシオー(オセロー)
巧く名付けたものだよね〜
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コメント

  • mixiユーザー

    mixiユーザー2020年02月19日 10:06
    >シェイクスピア作品全37作を全部織り込んだ作品

    目スゴイですね目
    ・・でもおっしゃるとおり、予習が必要かもあせあせ
    私はあまり詳しくなくて、、シェイクスピアのお芝居やオペラを見る度に、付け焼き刃で慌てて予習してますあせあせ
    映画『恋に落ちたシェイクスピア』はすごく好きだったのですが〜ウッシッシ
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2020年02月19日 11:04
    >付け焼き刃で慌てて
    私もご同様です。
    私がよく知る、3人の全くタイプの異なる演出家の
    演りたいと言うシェークスピア作品が同じでした。
    その作品、私にはさほど魅力的だと思えなかったのですがねぇ〜がく〜(落胆した顔)
    シェイクスピア、素人には読み切れない深い魅力があるようです。

    ま、素人でミーハーな私は、
    次、本作の公演がまたあったら、結局、さして予習もせず、
    三代次の役者に惹かれて、出掛けて行くことと思います。

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