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2019年10月17日05:40

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『第三夫人と髪飾り』@Bunkamuraル・シネマ

<ご褒美旅はベトナムへ エピローグ>として…

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Bunkamura30周年記念作品

ベトナムに行く前から、
帰ってきたらこれを観て旅のエピローグにしよう!
と予定していた作品。

10/16(水) 10:30開場/10:45〜(96分)
19世紀の北ベトナム、
山間にある桃源郷のような絹の里を治める大地主の元に
「メイ」は14歳の若さで第三夫人として嫁いでくる。
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そして、
一族が住む大邸宅で、
家長である大地主とその父、
穏やかで優しい第一夫人「ハ」とその息子「ソン」、
美しく大人の色香を纏う第二夫人「スアン」とその3人の娘たち、
そしてたくさんの使用人との生活が始まる。

とにかく美しい映像で、
メイの淡々とした日常が語られる。
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科白は本当に必要最小限!
しかし、役者の視線、動作、立ち位置…
それらが雄弁に物語を紡ぐ。

男児を生むことだけを求められる夫人たち。
男児のいない第二夫人スアンは「奥さま」ではない。
メイは無邪気に、自分も男児を、と思う。
そして妊娠。
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そんなある日、長男ソンとスアンの秘密を知ってしまう。

メイに少し遅れ、ハも妊娠。
それを知ったメイに小さな嫉妬が生まれ、
「私が最後の男子を産みますように」と祈り、
その後、ハは流産。
「あなたのせいじゃない」とスアンは慰めるが
メイは自身を責め苛む。
そして、ハの手助けもあって無事出産。

女児だった…

ソンの嫁として1人の少女が一族に迎えられるも、
ソンはスアンへの想いから彼女との婚姻を拒否。
結果、
「出戻り」は許されない社会で、生きていく場所を失った少女は
自死…

メイは自身の未来と乳児の未来を、
その少女に見てしまったのか?…  



撮影地は世界遺産にもなっているベトナムの秘境ニンビン省チャンアン。
とにかく、どのシーンも美しい。
<アート作品>と言っても過言ではない。

初夜の翌朝、処女であった証拠の布を曝す儀式。
(画像はカットされているがメイの右に布が掲げられている)
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こんな非道なシーンすら美しいと思わせられてしまうのだが、
東洋の様式美なんだろうな〜

3人の妻たちは、心の内には懊悩を抱えていただろうが、
表面的には決してどろどろしたものを見せず、
巧く関わって上手に日々を過ごしている。
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それぞれ、高いプライドをお持ちなんだな。
特に第一夫人! 凛とした気高さがある。

絹の里の象徴のように挿入された、
黙々と桑の葉を食む画面いっぱいの蚕の映像…
蚕を見知っている我々には、
黙々と自らを蝕んでいく女性たちの象徴と捉えられるが、
知らない人には気色悪い、恐怖すら誘う映像ではないかな?
欧米人に高評価の本作だが
この映像への反応も聞いてみたい。

とてつもない女性蔑視、男尊女卑の極致のような、
当時のベトナムの歴史の暗部を描いているのだが、
それを声高にギャーギャー糾弾している風ではない。
淡々と、あの頃はこんなだったらしい…と静かに語りかけてくる。
たしかに、少し昔(?実は今もどこかで?)、
他の国々の上流階級の社会でも、こんな日々が日常だったと思う。
そこに、心の底から怖さを感じるのだが…

こんな強固な父権社会は、
女性のみならず名家に生まれた男性をも悲惨な境遇に導く。

時代と社会を受け入れ、したたかに生きていける人間だけが
生き延びられるのだろう。

そして、ラストシーンは衝撃だった!
えっ? なんで?目あせあせ(飛び散る汗)あせあせ(飛び散る汗)
たぶん「したたかに生きていける人間」の側に居る私には
意味不明?
恥ずかしながら、パンフを立ち読みして解説を求めたが、
そんなネタバレ、書いてあるはずもなく。
じっくり作品を反芻して、メイの思考回路を想像するのみ。
これもまた、理不尽な社会への反逆だったのか?

作中、
「私は大きくなったら男の人になる」と語ったスアンの次女が、
ラストシーンのメイの映像から転換、
バサッバサッと長い美しい髪を切り落し、惜しげもなく川に流していく。
ここに、この先のベトナムを見せるメイフェア監督の矜持が伝わる。

舞台となったベトナムでは、
諸事情あって公開4日で上映打ち切りだったそうだ。
日本でもR15+指定で上映されるが、
性愛描写に関しては、
13歳の少女のそれは無いし、
観ていて不快なエロさは無く、むしろ美しいとさえ言える。
(大体、子供が観てもわからないし観たがりもしないよね。)
ベトナムに関しては、
自国の歴史の暗部は見たくないという所が大きいと思う。



そんな96分を、
ただただ映像に浸って過ごし、終映。
まだ何かあるかもと、エンドロールも凝視…
していたら、キャストやスタッフの文字の置き方も、
意識してベトナムの物の形に見得るようにした?
それは考え過ぎ?
結局、エンドロールはそれだけで終わり会場を出た。

同行のSが
「なんだか、脳が気持ちいい…」
ソーだ! ソレだわ!!
こういう美しい物を観た後は、脳は快感を覚えるのだわ。

当然この日のランチはベトナム料理。
自宅最寄駅至近、「Hello Viet Nam」
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左:ベトナム厚あげ(?)  右:空芯菜の炒め物
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左:揚げ春巻き   右:鳥のフォー

どれも、食べ始めて気付いて撮影のため、こんな状態で。
みんな美味しい〜〜!
当然、日本人仕様の味付けだし、パクチーは別盛りしてくれるし。
パクチー好きのSだけ、フォーにこんもり入れてご満悦。

結局、話題は、次の旅に終始した。
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