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2021年04月11日21:46

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10代の音楽体験の大きさについて

YouTubeで、たまたま見た、アナログレコード店の取材動画のなかで
レコード店員が面白いことを言っていた。
(「アナログレコードの魅力に迫る! レコードショップ店員 外山昌比古」)
https://www.youtube.com/watch?v=A-krEvmveos


「音楽って基本的に、持論ですけど、
ティーンエイジャーのものって思っている。
年を重ねて聴く音楽も、もちろんあるんだけど、
10代の時に聴いた音楽が、その人の一生を
支配するくらいの影響がある・・・」


と話しているのを聞いて、確かに
それはそうだと思った。

自分の経験をいくつか振り返ってみても、

○6歳のときに、ショパン「スケルツォ第2番」を聴いて
 頭がグラグラするようなショックを受ける。

○12歳の頃、ストラヴィンスキー「春の祭典」を聴いて
 あまりの巨大で荒々しい音楽に心底打ちのめされる。

○15歳の頃、ビートルズ(LP)を聴き、あまりの心地よさに
 一日中、同じLPを繰り返し聴いた。

○18歳のときに、ローリングストーンズ「悪魔を憐れむ歌」
「ギミーシェルター」を聴き、あまりの凄さにしばらく
 勉強が手につかなくなった。

まだまだあるが、これだけでも、
10代の音楽体験が、いかに大きいか
わかるというものだ。
感動で頭がグラグラする、なんていうのは、
もう間違いなく、10代の感動だろう。

あのときに、感動した音楽が、自分にとって
最高の音楽だし、それ以上に、
音楽=人生であったという気がする。

ただし、ここからは上記のレコード店主の意見とは
違うのだが、
20代以降の音楽体験でも、重大なものはある。
自分の場合は、オペラとジャズだ。

クラシックでも、オペラだけはなかなか好きになれなかった。
特にワーグナーがわからなかった。

40代の頃、ワーグナーの「パルジファル」を理解するために、
クナッパーツブッシュのライヴ盤12種類をぜんぶ聴いた。
(1951年、1952年、1954年、1956年、1957年、1958年、
1959年、1960年、1961年、1962年、1963年、1964年)
すべて聴いたとき、あまりの感動の大きさに、
実生活がふわふわした、実体のないものに感じれられ、
もとに戻るのに非常に時間がかかったのを覚えている。
(トーマス・マンは「パルジファル」の初演を見て、
感動のあまり、日常生活に慣れるのに2週間かかったという。
トーマス・マンと同じ体験をしたというわけだ)

ジャズは、もうぜんぜんわからなくて非常に苦労した。
中山康樹や後藤雅洋のジャズ入門書や名盤案内を
買い込んで、あれこれ聴いたが、さっぱりわからない。

ところが、愛想の悪いジャズ喫茶のオヤジは
そんなもの読むからダメだといった。
「ジャズって、もっと楽しい音楽なんですよ」
と言って、ハンプトン・ホーズのピアノトリオなど
軽めのものを、いろいろ勧めてくれた。
それから、だんだん、ジャズに慣れていった。

大人になってから、苦手なジャンルを克服したという
経験も、10代の音楽体験に劣らず、大きなものだと
思っている。
特に、「パルジファル」の感動は、10代の音楽体験に
勝るとも劣らない、大きな体験だった。

なので、10代で特別な音楽体験があっても
成人以降も、それに劣らない音楽体験があれば
「音楽って基本的に、ティーンエイジャーのもの」
とは、言い切れないと思う。

動画のなかで、店員が、好きなレコードを聞かれて
「ヴェルヴェット・アンダーグラウンド&ニコ」
を挙げていた。
いわずと知れた、ロックの名盤だ。
荒々しいロックと、素朴なフォークソングの
奇妙な共存がユニークだと思う。
この店員は、このアルバムを聴いて、きっと
むちゃくちゃ感動したんだろうな、と思った。
いちどLPを聴いてみたいものだ。

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