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2020年02月24日19:58

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アシュケナージ引退について思うこと

今年の1月17日、アシュケナージの引退が
所属事務所のHPで発表された。

所属事務所のHPで
「彼の音楽創造は、世界最高のホールやフェスティバルの
公演シーズンの中心であり続けた。にもかかわらず彼は、
音楽が万人にとっての精神的啓発のおくりものであると信じ、
70年にわたるキャリアにおいて、小さな島や遠隔地に至るまで、
どんなささやかな場所をもおざなりにすることが
決してなかった」とある。

アシュケナージを聴くようになったのは
1980年頃だろうか。

ピアノのレッスンの参考に
リスト「超絶技巧練習曲集」のLPを買ったのが
彼との出会いであった。
文字通りの超絶技巧に驚いたものであった。

彼の演奏はテレビでも何度も見た。
映像で見るアシュケナージは
まさしく「スター」そのものであった。
彼が現れると、ステージそのものが
明るくなったような感じがする。
そして、演奏が始まると、
演奏に集中し、音楽が高揚すると
気合を入れるような動きを見せる。
音楽のみならず、すべてが魅力的だった。

https://www.youtube.com/watch?v=x6GZ6xeGnJQ&t=840s

アシュケナージの全盛時代、年配のファンなどから、よく
「いまの時代はスターはいるが、真の巨匠はいなくなった」
という意見があった。

アシュケナージが引退して、いまは
「巨匠どころか、スターすらいない」のではないか。
ランランやユジャワン、ブニアティシヴィリあたりは
スターかもしれないが、
なんだが、ポップミュージックのスターみたいだ。
クラシック音楽界のスターとしては、どうなんだろう?

アシュケナージのピアニストとしての最後のCDは
ドビュッシーの前奏曲集だと思うが、
これは奇妙なCDで
第1巻が2017年録音なのに対し、第2巻が1971年と
40年以上の差があり、もはや別人みたいだ。
第2巻は、若きアシュケナージの貴重な
ライヴ録音であり、素晴らしい演奏。
録音があまり良くないが。
それに対し、第1巻は80歳前の録音であり、
たどたどしい技巧に失望するし、
老大家らしい味わいも何もない。

このCDだけでなく、最近は
指揮者としても見るべきものがなかったが
要するに、本人が言うとおり、
「自分の引き際を知っている」ということなのだろうし
あれだけの大スターでさえも、
老い、オーラを失うと寂しいものだということを再認識した。
人生、成功しても、はかないものである。

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