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2020年02月24日18:35

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お金を知らない子(7)

車は店長の自宅の車庫へ静かに入っていった。
そして玄関を開けると


「ただいま〜」
「おかえりなさい。あれ?この子は?」
店長の息子の優希(ゆうき)君が出迎えた。
「あ〜。稔君だ」
「こんばんは」
「こんばんは。君は何年生?」
「僕は小6です」
「そっか〜。僕は中一よろしくね」
「こちらこそよろしくお願します」
「さ、どうぞ」


稔は居間に通された。
そこで稔は店長に質問した。
「まだお名前聞いていなかったんですけど」
「そうだね(笑)僕は大空健司よろしくね」
「僕は希望稔です。よろしくお願いします」
「お母さん。お風呂沸いてる?」
「沸いてるわよ」
「稔君、優希と一緒にお風呂にはいっておいで」
「はい」


稔と優希がお風呂から上がると食事の準備が整っ
ていた。
「さあ。一緒に晩ご飯を食べよう」
「ありがとうござます。美味しそうだ」


店長は、美味しく食べながらさっきまでの経緯を
妻と子供に説明をした。
妻は半信半疑ではあったが素直な稔を見て疑いの
気持ちは薄らいでいた。
夕食が済み店長がお風呂に入っている間稔と優希
は人生ゲームをすることになった。
それは
お金のことを稔に理解してもらうことだった。


「人生ゲームっておもしろそうだね」
「うん。おもしろいよ」
「これ、な〜に?」
「これがお金なんだよ。でもおもちゃだけどね」
「ゲームのときだけ使うお金なんだね?」
「そうだよ。じゃあ始めるよ」
「ゲーム版の中にいろいろ書いてあるんだね」
「そうだよ。人生っていろいろお金が要るんだ」
「へ〜。怪我とか病気とか入学とか結婚とかい
 ろんなことが書いてある。投資で儲かるとか」
「お金の要る社会はお金がないと何も出来ないん
 だよ。だから働いてお金を稼ぐんだよ」
「それでレストランで食べるのもお金が要るんだね」
「そうだよ」


少しずつ理解した稔はゲームを楽しんでいたが。
何度も怪我や病気をしている所に入ったものだか
ら、ついに手持ちのお金が無くなってしまった。


「お金が無くなったけどゲームセットなの?」
「そうじゃないよ。借金をするんだよ」
「借金って?」
「銀行からお金を借りて、あとから利息と一緒に
 お金を返すんだよ」
「借金しないとゲームが出来ないの?」
「それが人生ゲームなんだよ」
「生きることと遊びと同じなんだね」
「お金がないと生きていけない社会だからね」
「なんだかお金の要る世界って辛そう」


稔はお金のない世界のほうが楽しく生きていける
と真剣に思った。




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