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2020年02月22日19:45

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お金を知らない子(5)

山から下りる道中、店長はどうしても聞いてみた
いことを稔に質問してみた。


「レストランはどんな経営をしているの?」
「経営って何ですか?」
「そうか、お金が無いのなら経営は無いな(笑)」
「でも、レストランはいっぱいありますよ」
「レストランではどんな食事を出しているの?」
「店長さんの所と同じですよ。でも臭くないです」
「え?臭くないって?」
「レストランに入る前に臭かったです」
「あ〜あれは厨房の裏にある生ゴミが原因だね」
「どうして生ゴミがあるんですか?」
「あれはゴミとして定期的に業者に出すんだよ」


店長は生ゴミは業者に処分をしてもらっていた。


「稔君の世界では生ゴミはどうしてるの?」
「学校で習ったんだけどね、ファームシティって
 言っていました」
「ファームって農場とか農園とか言うんだろ?」
「はい、レストランや家庭の生ゴミはすべて農家
 に送って肥料にして野菜を作っているんです」
「なるほど。循環システムってやつだね」
「生産された野菜はレストランやスーパーへ送る
 んです」


「料理の種類は多いのかな?」
「はい。少ないです」
「それじゃあ寂しいじゃないか?」
「いえ、レストランは毎日人がいっぱいですよ」
「どうして?タダだから?(笑)」
「そうじゃなくて、料理教室があるんです」
「レストランで料理教室やるの?」
「はい」


店長はお金を稼ぐために美味しい料理を作る。
自分の技をわざわざお客さんに教えるなんて。
思い付かなかったのです。


「どのような方法でやってるの?」
「家庭菜園で作った人は、自分の野菜を持って行
 き、それを使った料理を教えてもらうんです」
「野菜を持って行かない人はどうするの?」
「お店で余った材料を使って料理をするんです」
「なるほど、それなら無駄なく使えるね(笑)」


店長はレストランの仕組みの違いに驚いていた。
そして
次のような質問をしてみた。


「さっき稔君が来たように子供だけで来るの?」
「はい、お腹が空いたらレストランに行きます」
「家ではお母さんが作らないの?」
「料理の苦手なお母さんもいますからね(笑)」
「そっか〜。それじゃあお母さん達も楽だね」
「ストレスが無いって言ってましたよ」
「稔君のお母さんも?」
「はい!(笑)」





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