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2020年02月21日19:55

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お金を知らない子(4)

テーブルに案内されて稔は座った。
そして店内を見渡して
「お客さんはいないの?」
そう言うと店長が
「昨日から猛吹雪でね入山禁止になってるんだよ」
どうりでスキー場に人がいなかったと気付いた。


「お金は要らないから何を食べたいの?」
店長がやさしく言ってくれた。
「ありがとうございます。カレーをお願いします」
「よしわかった。飛び切り美味いのを作るよ」
「ありがとうございます」
店長は厨房へ行き店員は水を持って来てくれた。


「ところで君はどこに帰るの?」
「あの〜帰る所が無いんです」
「それじゃあ困るだろう?」
「本当は帰れるんですけど」
「じゃあ帰れば良いじゃないか」
「お父さんがしばらく体験してみなさいって」
「なんだか無責任なお父さんだな〜(笑)」
「何でも体験しろって言われるんです(笑)」


そこへ店長がカレーを持って来てくれた。
「さ〜、君だけに作ったカレーだから美味いぞ」
「ありがとうございます。頂きます」
稔は空いたお腹を満たすために食べ始めた。
「美味しい〜♪」
「そうだろう?」


店長は稔の行儀の良さに興味を持った。
お金のない世界ではどんな教育を受けたんだろう?
レストランの経営はどんな仕組みなんだろう?
いろいろ聞いてみたくなった。


「なあ、稔君。しばらくうちに来ないか?」
「うちって?」
「僕の家にも君のような男の子がいるんだ」
「何年生?」
「中学一年生なんだけどね」
「僕より一つ上なんですね」
「違う世界の話も聞きたいし。どうだろう?」
「はい。よろこんでお邪魔します」
「よしわかった。今日はこれで店を閉めよう」


入山禁止の山から三人は山から下りることにした。




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