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2022年07月01日07:21

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6月の読書記録

途中、暑さのためか数日間本が読めなかった期間があるのが、個人的にちと悔しい。今年の暑さは常軌を逸したものになりそうだが、その中でどれだけ本が読めることやら…

2022年6月の読書メーター
読んだ本の数:21冊
読んだページ数:5599ページ
ナイス数:171ナイス

https://bookmeter.com/users/4147/summary/monthly/2022/6
■はじめてのスピノザ 自由へのエチカ (講談社現代新書)
複数回読んできたので、何となしわかったような気になっていた『エチカ』だが、本書で何もわかっていなかったということが判明して、汗顔の至り。また、ある意味デカルト直系の哲学者という側面を持ちながら、デカルトとは一線を画した独自のスタンスに改めて魅力を覚えた。かなり平易な語り口でサクサク読み進めることができたが、コンパクトサイズながら、その内容はかなり濃い。とりわけ「コナトゥス」や「意志」についての理解があやふや。後、スピノザの生涯には、何とも言えず惹きつけられるものがあるということを改めて痛感。要再読。
読了日:06月29日 著者:國分 功一郎
https://bookmeter.com/books/16964330

■神学の起源: 社会における機能 (神学への船出 (03)) (シリーズ神学への船出)
タイトルが示唆する通り、神学史というべき内容。平易な語り口だが、その言わんとすることを理解するのが意外としんどかった気が。神学といえば、神学者達が象牙の塔に引きこもって論ずるものみたいなイメージがあるが、本書を読むと、神学がいかに政治や文化の動きに影響されやすい(時期によっては一体化している)、ある意味非常に世俗的で生臭いものであることが如実に理解できる。つまり、それは神学者だけに任せておいて良いものでは決してないということでもある。個人的には、中世と近代との境目についての解釈がとりわけ興味深かった。
読了日:06月29日 著者:深井智朗
https://bookmeter.com/books/6802081

■道化の文学―ルネサンスの栄光 (中公新書 (458))
タイトルからある程度その内容は予想できたが、予想以上の面白さでほぼ一気読み。もっと早いところ読んでおけばよかったと思うことしきり。あらゆる価値を反転、あるいはフラットにし、普段我々が常識だと認識している物事について新たな視点をもたらしてくれる「道化」という存在。その豊穣な意味を込められた道化が文学において最も花開いたルネサンスという時代の重要性、特異性が如実に理解できる。そして、その次にくる主にデカルトによって牽引された理性の時代が、道化、ひいては狂気をどう扱ったかは、今日の我々にとっても大きな問題。
読了日:06月28日 著者:高橋 康也
https://bookmeter.com/books/171012

■空の果てまで
約二十年ぶりの再読。大まかなストーリーは覚えていたけど、ちょっとした言い回しが、妙に刺さったり、こんな描写があったっけ?と発見に事欠かなかった。またそれと同時に、ご都合主義的な要素も見えてくるのも確か。しかし、著者としては、何としてもそう書きたいと思わせる何かがあったんだろうなと思わせる。周囲のあらゆる物との間に一線を引き、近づけようとさせない主人公久雄とあくまで鈍感な善良さを貫き通そうとする雪江との対比が妙。そして久雄以上に悪魔的な要素を持った克子のその後の描写に、ある意味での著者の真骨頂を見た気が。
読了日:06月27日 著者:高橋たか子
https://bookmeter.com/books/5562427

■死者と霊性: 近代を問い直す (岩波新書 新赤版 1891)
多くの人が読むべき鼎談。コロナ禍に加え、ロシアによるウクライナ侵攻、値上げラッシュ、頻発する自然災害…混迷の極みともいうべき昨今の流れにおいて、宗教や思想はどんな意味を持つか?今、そのことがまさに問われ、多くの宗教者、知識人が真摯に考えるべき時が来ているということなのだろう。そして、近代から現代への流れを振り返るとき、その価値と意味を問われる思想家の多くが明治から戦前を生きてきた人という事実が何を示唆しているのか、が気になる。ネトウヨ、パヨクといった区分をいったん宙吊りにして、現実に取り組むべきだろう。
読了日:06月25日 著者:末木 文美士
https://bookmeter.com/books/18354464

■源氏物語を読む (岩波新書 新赤版 1885)
壮大な『源氏物語』のストーリーを新書サイズにコンパクトにまとめた良書と言ってよいか。個人的には、恋愛を軸に描かれたというイメージが強い『源氏』の背景にある政治性についてかなり深く読み解いているのが肝だという気がした。それから、悲恋物語という印象が強い「宇治十帖」だが、浮舟を強引にものにする匂宮だけでなく、薫もかなりゲスだということが示唆されるのが印象的だったか。「源氏に出てくる男は皆最低」的なタイトルがあったが、確かにそうかも。本書を読んでいたら、また「源氏」を読みたくなってきた。どの訳で読むかが問題…
読了日:06月24日 著者:高木 和子
https://bookmeter.com/books/18050948

■ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力 (朝日選書)
初読だけでは未消化感があったため再読。理解が深まったのと同時に、謎も深まった気が。何より、これって諸刃の刃的な危うさがあるんじゃね?という気にさせられた。つまり早急に答えを出さずに、あえて宙ぶらりんの状態に耐える能力の行使は、個々人が自発的にそうするのなら、問題ないが、為政者や指導者がこれを悪用すると、これまで以上に悪質なトップダウンが罷り通ってしまうのではないか?と。そうならないために、この概念についての研究が議論がもっと広く行われるべき。この概念には未曾有の可能性が秘められているから、尚更そう願う。
読了日:06月23日 著者:帚木 蓬生
https://bookmeter.com/books/11697672

■続 日の移ろい (中公文庫)
約20年ぶりの再読。迂闊にも初読の時に、これは著者の日記をほぼそのまま反映させた内容だと思い込んでいたことを深く恥じ入った次第。著者がいくらまめに日記をつける人だとはいえ、あそこまで一日のエピソードを微に入り細に入り記述するのは、ちょっと無理がある。ただ、あたかも著者の生活そのままを記述したかのような筆致とそれと裏腹となった創作の要素との絶妙なせめぎ合いが本書の魅力なのかも。また、初読の時にはあまり意識しなかった、語り手に巣食う気鬱が、語り手と同じ五十代に至った者には、何とも言えずリアルに感じられる。
読了日:06月22日 著者:島尾 敏雄
https://bookmeter.com/books/163498

■にぎやかな未来 (角川文庫)
それなりに楽しめたが、今となっては古めかしいという印象が拭えない。何せ初版は半世紀前。当時では斬新で画期的だったアイデアも、今では散々使い尽くされて新味に欠けるというのが正直なところ。ショート・ショートといえば、星新一という巨大な先達がいて、どうしてもその二番煎じ的な印象を与えてしまうのではないか?いみじくも本書の解説がその星新一というのは、些か皮肉だが。また、今となってはミソジニー的とも受け取られかねない場面があるのも気になる。それでも著者ならではの狂気や星新一とはまた違ったどんでん返しは味わえる。
読了日:06月17日 著者:筒井 康隆
https://bookmeter.com/books/11024505

■知的文章術入門 (岩波新書 新赤版 1897)
残念ながらあまり一般的ではないな…というのが正直なところ。著者自身が医学畑なので、話が理系に傾きがちなのは仕方ないけれど、文系畑の人間にとっては、ややとっつきにくい感が。とはいえ、いみじくも本書で理系と文系を分ける日本の教育のあり方に苦言があり、理数系アレルギー傾向にある者としては、かなり耳に痛かったか。ネットやウイキ、スマホの効用を説いているのは、やや新鮮だったが、序盤の日本語の文章術の解説は良くも悪くも新味に欠けたか。終盤の英語論文の書き方は、専門職向けで、新書で扱うのはどうか?思ってしまった。
読了日:06月15日 著者:黒木 登志夫
https://bookmeter.com/books/18523628

■マクベス (光文社古典新訳文庫)
陰惨な話にも関わらず、何処か乾いたユーモアを感じるのが不思議。自分の身の丈に合わない運命を受け入れた者の悲喜劇というべきか。常に、罪悪感と恐怖を覚えオドオドするマクベスに「だから、言わんこっちゃない」と突っ込みを入れたくなる(苦笑)。そのマクベスに剛を煮やしハッパをかける夫人も、最後は罪悪感に苛まれることになる。まさに似た者夫婦か?個人的に印象的だったのは、マクダフの息子。母親と機智富んだやりとりをして「おや?」と思わされたのも束の間、すぐに殺されてしまうのはちと惜しい。もう少し生かせてもよかったのでは。
読了日:06月15日 著者:ウィリアム シェイクスピア
https://bookmeter.com/books/538472

■ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力 (朝日選書)
目の前にある課題に即座に解決案を出すことが常識とされる昨今。その常識を根底から覆すネガティブ・ケイパビリティという概念。日に日に世知辛くなっている今日において、この概念はいっそう世の人に理解し難いものになっているはずだが、だからこそ「あえて答えを出さずに、この状況に耐える」ということが重要になってくるのかもしれない。個人的にとりわけ印象的だったのは、著者が関わった受診者のエピソード。何も出口のない八方塞がりの人達。安易な慰めや同情など殆ど無効な人達の話をひたすら傾聴する…そこに意味があるのかもしれない。
読了日:06月14日 著者:帚木 蓬生
https://bookmeter.com/books/11697672

■クヌルプ (新潮文庫)
女性にモテる寅さん…とふと思った(笑)。『知と愛』のゴルトメントにもかなり通ずる自由人。比較的短めで、なおかつ作品としての統合性に欠けているため、やや散漫な印象が否めない。ただ、自分の死期を悟り、故郷に帰る主人公の姿には、身につまされるものがあったけど。やはり、人は死ぬ時に生まれ故郷に帰りたくなるものなのか…と。僕自身、そんな気になれるとは思わないけど(笑)。また、死ぬ間際に神と会話する件も印象的。果たして、ここに登場する神はキリスト教の神なのか、それとも特定の宗教に限定されない神なのか?神のみぞ知る?
読了日:06月14日 著者:ヘッセ
https://bookmeter.com/books/450016

■「雑」の思想 : 世界の複雑さを愛するために
世間的には肯定的には見られない「雑」という概念。しかし、視点を変えれば、そこには豊穣な意味が込められていたという目から鱗なエピソードばかり。この対談シリーズに通底している経済的効率を重視してきたばかりに、大切なものが等閑にされているというテーゼが本書でも繰り返し強調されている。とりわけ印象的だったのは、高橋氏が言うところの中間的な”ローカル”。昔から地方都市のリトル・トーキョー化が指摘されているが、郊外にまで及んでいるという事実に改めて愕然。日本全体の悪き意味での均質化が進んでいることにどう対峙するか?
読了日:06月12日 著者:高橋 源一郎,辻 信一
https://bookmeter.com/books/13153235

■マチズモを削り取れ
女性蔑視、ミソジニー、男尊女卑って、ここまで根強く世に席巻してるということに、目が点に。自分が体育会系やそれに準じた会社社会にいかに向かないかということを改めて痛感。そこで巣食う価値観とほぼ無関係でいられたことを素直に喜ぶと共に、しかし全くの無縁とは言えないという視点を持たねばとも思う。それくらい、マチズモは厄介なものなのだろう。とりわけ、印象的だったのは、体育会系に蔓延るマッチョ、あるいはミソジニー的傾向。かねてから、体育会系的価値観の弊害を認識していたが、それがどれ程強大で根深いかを改めて認識。
読了日:06月10日 著者:武田 砂鉄
https://bookmeter.com/books/18099187

■日の移ろい (中公文庫)
約二十年ぶりの再読。不安を抱えつつも、穏やかな日々を綴ったものという印象があったのだけれど、実は想像していた以上にヘビーな生活だったのでは?という気にさせられた。夫婦間の大きな波風は描かれていないものの、度々語り手が鬱に苛まれること、また、長期の休みにしか戻ってこない子供達の帰省に、大きな期待をかけていることなど、声に出して言えない気詰まりが巣食っていたのでは?という気にさせられる。いみじくも当時の著者と同年代である者として、残り少ない人生に対する焦りのようなものがかなりリアルに感じられる気がした。
読了日:06月09日 著者:島尾 敏雄
https://bookmeter.com/books/163489

■弱さの思想: たそがれを抱きしめる
本書が出て早十年近く。世間はますます「強さ」ばかりが強調され、「弱さ」は隅に追いやられている感が…それでもここで触れられている幾つかの草の根的な運動が今も何がしかの形で種を蒔き芽を開いているのだろうと思いたい。いみじくも高齢者介護という弱者と言われる人達と関わる仕事をしている者として、そこでどこか上下関係的なものを持ち込んでいるのでは?と我が身を顧みることに。個人的に何より気になったのが、軍隊が学校教育の基礎にあるという指摘。その管理システムは今日ますます強化されている感がある。日本に未来はあるのか…
読了日:06月08日 著者:高橋 源一郎,辻 信一
https://bookmeter.com/books/7879521

■新実存主義 (岩波新書)
一読だけでは、未消化感が強かったため、再読。初読の際の理解度の浅さを痛感したが、その一方で、こじんまりとしているというか、重箱の隅をつついているという印象は拭えず。古典哲学の路線に沿った議論も確かに重要だが、やはり根本的に新しい、世界観や哲学の可能性を垣間見させて欲しいと思うのはないものねだりか?あるいは、このような停滞期(?)を経た後、目から鱗が落ちるような新たな哲学の展開があり得るのか?ついそんなことを考えてしまった。度々、心身問題に触れているということで、久しぶりに廣松や市川浩を読み返したくなった。
読了日:06月06日 著者:マルクス・ガブリエル
https://bookmeter.com/books/14994564

■たのしい知識――ぼくらの天皇(憲法)・汝の隣人・コロナの時代 (朝日新書)
本書が出て早二年近く。あれからコロナはまだ収束する気配を見せないし、更には当時では想像できなかったきな臭い空気が漂い、生活は一層圧迫されているという事実に改めて愕然とする。いみじくも、本書の終盤で地に足をつけることの重要さが説かれているが、しかし、世間の大半は不和雷同的。新しい教科書と銘打たれた本書が、どれだけ教科書として機能するか?ふとそんなことを考えさせられる。古希を過ぎた著者は、新たな教科書をいつまで書き続けることができるのか?あるいはその使命を引き継ぐ論者が登場するのか?何より新しい時代は…
読了日:06月05日 著者:高橋 源一郎
https://bookmeter.com/books/16477898

■日本思想史 (岩波新書)
やや未消化感があったため再読。初読の際はかなり文字面だけを追っていたことに気付かされたが、今回もつい同じことを繰り返していることに度々気付かされた。それくらい、限られた紙幅に多くの内容を詰め込んだということか。今回、読み返してみて、改めて、日本における天皇制の特異さを痛感。何度も存続の危機に晒されながらも、滅亡に至ることなく、影に日向に日本の政治、及び文化史に大きな影響を及ぼし続けたというのは、やはり驚異的。また、いかに朝鮮半島と中国からの大きな影響を受けているかを再認識。嫌韓、嫌中は本当に浅はか。
読了日:06月04日 著者:末木 文美士
https://bookmeter.com/books/14997562

■大洪水の前に:マルクスと惑星の物質代謝 (Νuξ叢書)
先に読んだ『人新世〜』のほぼ延長線上にある内容だが、かなりの難易度。とりわけ、マルクスの引用文の文体が晦渋で、この辺りは、やや読み飛ばした感があり。それでも、残念ながら未完に終わった『資本論』にどれだけの可能性が秘められていたかということは理解できた気がする。何より驚きだったのは、今日問題となっている環境破壊が、マルクスの時代から既に一部で取り沙汰にされていたという事実。そして、それにも関わらず資本の論理を優先させてきたため、事態はますますのっぴきならないものとなっている…この性懲りのなさは何なのか?
読了日:06月02日 著者:斎藤幸平
https://bookmeter.com/books/13196678


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