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2021年05月10日10:02

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4月の読書日記

 新緑のまぶしい季節だが、母は桜と共にあの世に逝ってしまい、緑がまぶしい。怒涛のような数カ月。昨今の情勢を鑑み「ちいさいお葬式」というのを選択した。オプションで、良く知った僧侶に引導を渡してもらい、祭壇は無くとも色とりどりの花を飾り、思いのほか立派なお葬式だったと思う。役所の手続きは下調べをしていっても十分で無い事も多く疲れた。待ち時間も長くひたすら本を読んでいた。
図書館の本から
◯励み場(角川春樹事務所) 青山文平著:稲荷裏で暮らす智恵の夫は、勘定所で普請役を務める信郎。彼は「名子」という、領主であった者が帰農した時にその家来であった者がそのままに仕えて一生を過ごす、という一般の農民より低い身分の者である。江戸時代は身分に縛られた時代ではあるが、その中でも上を目指してゆく者もいる。いつもながらの静謐な語り口で「自分探し」などと生温いことを行っている現代人にはない葛藤と矜持がある事を描いている。智恵のお姉さんでサ三度も離婚している多喜が良い味を出している。
◯金剛の塔(徳間書店) 木下昌輝著:五重塔が倒れないのはなぜか?飛鳥から現代へ―時代を超えて技を伝えた匠たちの千四百年。現代の高層建築にも生きている「心柱構造」誕生と継承の物語。聖徳太子によって百済から連れてこられた宮大工が創業した世界最古の建築会社、金剛組をモチーフに描く連作長編である。私の個人的思いだが、狂言回しの聖徳太子とスカイツリーのストラップはちょっといただけない感じ。なくても十分面白いし話は繋がって行くと思うのだけど。
さて、購入した本
小丸2NHK「風雲! 大歴史実験」日本史ミステリーの科学 (宝島社)NHK「風雲! 大歴史実験」制作班編集:NHK BSプレミアムで、放送されていて、見逃した時もあったので勇んで購入。定説とされている歴史が本当だったのかを検証する大がかりな実験。壇ノ浦の源義経の勝利は潮流の反転だったのか? 豊臣秀吉の驚異の「大返し」が本当にできた理由は? などなど。テレビでも見たのだけど鵯越の逆落としの実験は、出演?する木曽駒たちのけなげさもあって大好きだった。20キロ近い甲冑をつけた武士を乗せて坂を下りて行く馬たち。先日の競馬で、騎手が落馬しても必死に仲間の後を追っていた馬とあわせて健気で愛おしい。昔からの見て来たような嘘、とも言われることも正しく伝わっていないのだと思わせられる。さらに。鍛えた武士達ならもっと凄かっただろうとも思われる。
小丸2日本史サイエンス 蒙古襲来、秀吉の大返し、戦艦大和の謎に迫る (ブルーバックス新書) –播田 安弘著:文永の役で日本を危機に陥れた蒙古軍は、なぜ進撃を続けず、一夜にして兵を引いたのか?明智光秀を討つために羽柴秀吉が中国地方から高速で戻った「大返し」は、なぜ実現できたのか?莫大な国家予算を投入して建造された戦艦大和は、なぜほとんど出撃しないまま沈没したのか?エンジニアが「数字」を駆使して謎に迫る!当然ながら、歴史は数字だけで割り切れるわけではないが、これまでこうだ!とされてきたことに新しい見方を導入する試みは面白いものだと思う。歴史の専門家でなくても、こう言うことは理解出来ますよ!ということを示した点は凄いと思う。
小丸2臨床法医学者・真壁天秘密基地の首吊り死体(宝島社文庫)高野結史著:人間嫌いの法医学者・真壁天は、教授から児童虐待を鑑定する仕事を押し付けられ、さらにそこで、死体分析で鍛えた優秀な観察眼を発揮して、能力を見込まれてしまう。いやいやながら様々な親子の闇に関わっていく真壁だったが、ある日から、彼が虐待を指摘した親たちが、次々と首吊り死体で発見されていく。死体の状況を聞いた真壁は、自身が小学生時代に目の当たりにした、親友・ハルの首吊り死体を思い出す。注意深く読んで行くと、結末が分かるのだが、そう来たか、という二重のトリックになっている。あまり後味のよい話ではないけど。
小丸2やっぱり、僕の姉ちゃん(幻冬舎文庫)益田ミリ著:お姉さんは人生の達人。あらためて女子の手管に驚くわたし。
小丸2鳶新・戻り舟同心 3(祥伝社文庫)長谷川卓:新刊と思って手にとって作者の逝去を知った。もう山の者たちにも北町奉行所の人たちにもじいさんの戻り船同心にも会えないかと思うと涙。お気に入りの、特に時代小説の作家さんが次々亡くなるのは残念。

写真は珍しい緑の薔薇。母の好きだった芍薬と共に。


 







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