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日記一覧

嫌いなこと(おわりに)
2015年08月31日13:57

 ここまで読んだところで、たいていの人は、筆者のひねくれた意図について気が付いたことと思う。つまりは、嫌いなことは好きなことで、嫌いなものは好きなものなのだ。 文章は、読み手に何かを伝えるためのものであり、読み手に分かりやすくなければならな

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 金井美恵子が嫌いだ。この人を嫌いになったのには歴史がある。どれほど前だったのか分からないほど遠い昔だったような気もすれば、数日前、突然に嫌いになったような気もする。この人について覚えていることも多くない。この人の小説について覚えていること

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嫌いなこと(その11)
2015年08月29日13:09

 無意味なものが嫌いだ。たとえば、砂浜に打ち上げられた三つの石。その形状と色合いで人の顔を思わせる。無意味に波が打ち上げた石三つ。それが人の顔を想像させる。そんなつまらない想像力が刺激されるから無意味なことが嫌いなのだ。 巨石にはシミがある

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九月の書き方課題
2015年08月28日09:12

 母親が死んで私に残されたものは、住宅街の外れにある小さな喫茶店と、子供の頃から店を手伝わされていたために身についたコーヒーの淹れ方だけだった。 それしかないというのに、しかし、住居を兼ねた店は持ち家だったために家賃がないとはいえ、いよいよ

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嫌いなこと(その10)
2015年08月27日13:28

 小説が嫌いだ。自分の人生で十分に忙しく、そして、たっぷりと苦悩させられているというのに、どうして、他人の人生について知り、そして、他人の人生における苦悩について考えさせられるのかが分からないのだ。目の前には、これまた、十分過ぎるほど刺激的

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嫌いなこと(その9)
2015年08月26日14:25

 人間が嫌いだ。人間は単純な動物のくせして、複雑なふりをするから嫌いなのだ。複雑な欲望は本来のシンプルなあり方を複雑するから嫌いなのだ。 生きるために食べる。食べると太る。太ると病気になる。病気になって死ぬ。食べると死んでしまう。死んでしま

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嫌いなこと(その8)
2015年08月25日13:32

 詩が嫌いだ。詩は加工されない原石のようなものだ。加工されていない石の何が良いのだろうか。ダイヤでもエメラルドでも、加工されているから美しいのだ。大理石でも黒曜石でも、加工されたり、利用されたりしているからこそ美しいし、価値があるのだ。 道

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嫌いなこと(その7)
2015年08月22日10:14

 表現を複雑にする人が嫌いだ。悲しいという表現は悲しいでいいじゃないか、と、そう思うのだ。しかし、たとえば、お金を落として悲しいと、恋人にふられて悲しいが、同じ表現でいいとも思えないのだ。 誕生日のお祝いと出産祝いは同じじゃない。お祝いする

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嫌いなこと(その6)
2015年08月20日14:04

 知ったり顏の人たちが嫌いだ。特に文学と芸術において知ったようなことを言われることが嫌いだ。それはたとえば、こういうことに似ている。 スポーツの試合に出て、こっぴどく負けた後で、そのスポーツをやったこともないような人に、あそこで思いきりが足

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課題小説
2015年08月19日13:05

「ためらい」 突然の豪雨に、たまらずにビルの軒先を借りることにした。あわてて飛び込んだのは、いくつかのテナントの入ったオフィスビルのようだった。飛び込むとき、これなら、ビルには無関係の人間とはいえ、少し雨を凌ぐぐらいいいだろうと思ったのだっ

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嫌いなこと(その5)
2015年08月18日14:30

 死というものが嫌いだった。今も嫌いだ。死には近づきたくない。これは自分が死ぬことが嫌だとか、自分に近い人が死ぬことが嫌だという感情とは少し違う。そうしたことに筆者はむしろ鈍感なほうなのだ。死というものに特別な意味を見出していない筆者にとっ

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課題小説
2015年08月17日12:28

願望の箱「ひとつしか選べない。これはファンジー小説の定番ですよ」 そうしたことがファンタジー小説の定番だというなら、こうした案内をする男は半獣の美少年かタキシードの紳士というのも定番なのではないだろうか。それがどうだ。目の前の男はジーパンに

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嫌いなこと(その4)
2015年08月16日14:41

 難しい話が嫌いだった。どうしてかんたんに分かることを、わざわざ難しく言う必要があるのかが筆者には分からない。その上、難しい話をする人は、たいてい、この話を理解しないおまえはバカだと主張する。本当だろうか。 では「小学生にも分かる相対性理論

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嫌いなこと(その3)
2015年08月15日12:56

 学校が嫌いだった。今でも学校というところが好きではない。とくに、学校に行く必要のない今から比べ、学校に行かなければならなかった子供の頃には、それを激しく憎悪していた。 どのぐらい嫌いだったかと言えば、いつか自分が世界征服したら、そのときに

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嫌いなこと(その2)
2015年08月13日13:52

 書くことが嫌いだ。子供の頃から書くことは大嫌いだった。嫌いなのではない。大嫌いだったのだ。 まず、文字を書くという行為が嫌いだった。筆者の頃は、まだ、文字は鉛筆で書いていた。筆者が小学生の頃には、もう、シャープペンシルというものが、あった

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嫌いなこと(その1)
2015年08月11日13:54

 書くこともないので、嫌いなものについて書いてみようかと思う。嫌いな映画、嫌いな音楽、嫌いな小説、嫌いな人、嫌いな幽霊、嫌いな宇宙人。筆者は好きなものは少ないが嫌いなものは自慢出来るほど多い。子供の頃、いや、生まれたときから嫌いなものに囲ま

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 書くこともないので、編集者と作家の違いについて書こうかと思う。編集者も文章を書くし、作家も雑誌編集をしたりする。実際、筆者は自分を編集者だ、編集者だと言うばかりで、雑誌や書籍を編集することなく、こうして書いてばかりいる。まるで、自分のこと

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八月の課題
2015年08月09日14:19

「超高級風俗店」 どうして扉はいつだって私をワクワクとさせてくれるのだろうか。たとえば、それが始めて訪れた引越したばかりの友人の家の扉だろうと、たとえば、それがまだ幼い私が全裸になるというだけで私に小遣いをくれた気の良い叔母の家の扉だろうと

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 書くこともないので、サロンのことでも書こうかと思う。サロンなどやりたくなかった。そもそも筆者は他人と言語的に関わることが嫌いだったのだ。たとえばそれが、音楽とかスポーツでも嫌いなのに、SMでどうするのだ、と、そう思ったのだ。 緊縛講習会と

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八月の課題
2015年08月06日13:05

「そこにあるもの」 短い廊下の突き当たりにあるガラス戸を開けるとキッチンがあり、左に冷蔵庫がある。中には缶ビールが入っている。私はそれを一つとって二階に上がった。階段を昇った右の部屋が私の部屋だ。では、左にいるのは誰なのだろうか。覚えていな

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八月の課題
2015年08月05日13:01

 黒い扉を開く。扉の前には階段しかない。一階がなく地下しかないのだ。読んだ小説の通りだった。階段を降りる途中にいくつかの部屋があるのだ。地下に降りるほどにマニアックになると小説にはあった。確か、最初の部屋は鞭とロウソクの部屋だった。階段は薄

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