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日記一覧

編集長だから(その6)
2016年05月31日13:10

 編集会議が終わろとしていたところで、若い編集者が怒りに満ちた顔で私に語りかけて来た。「編集長は、何が気にいらないのですか」「いや、何も」「そんなはずないですよね。いつもなら、不満を漏らしているか、怒っているか、嬉々として悪口を言っているか

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編集長だから(その5)
2016年05月30日13:49

「編集長、勝手に私の飲み物を頼まないでください」 編集の女の子と二人で飲み屋に行った。あの頃、行きつけだった新宿七丁目のショットバーだった。私はウイスキーのダブルをストレート、彼女には同じものをソーダで割って頼んだ。「じゃあ、キミは何を頼む

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編集長だから(その4)
2016年05月29日14:08

 編集者というものは作品を愛しているものだ。自分の扱う作品を愛せない人は編集者には向かない。雑誌や書籍が売れなくなる前兆には、編集者が自分の扱う作品の不満を漏らすというのがある。 しかし、ここを勘違いしてはいけない。編集者というのは、自分の

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編集長だから(その3)
2016年05月28日13:40

 編集者が喫茶店でもめていた。私は別の打ち合わせで、そのとき、たまたま隣にいた。打ち合わせは大事だが、編集者たちのもめ事はもっと大事だ。第一に面白い。 聞いていると、どうやら、四人で飲みに行く店でもめているらしかった。男二人女二人。申し分の

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編集長だから(その2)
2016年05月27日13:27

 窓の外をぼんやりと眺めたまま一時間以上が経ったと思ったところで若い男の編集者が声をかけて来た。「編集長、もしかして、僕のことで悩んでいるんじゃないですよね」 彼のことで悩んでいた。いや、正確には、彼が三つ年上の彼女の誕生日をどのように祝う

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編集長だから(その1)
2016年05月26日13:31

 音楽雑誌編集長時代、二人の若い女性編集者から「相談があるんですけど」と、飲みに誘われた。そうしたケースでの私の答えは決まっていた。「辞めたいならダメ。今はダメ。辞めるなら私が辞めた後にして。恋愛の相談なら無理。経験が少ない。キミより少ない

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 さて、いろいろと嘆いて来た。そして、いろいろなものを淘汰して来た。今回を最後として、次回からは、これからの鹿鳴館、そして、始まるであろう鹿月舎について語ろうかと思う。 その前に、いくつかの思いの中で捨てなければならないものもある。 たとえ

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 何度もサロンを止めたいと思っていた。誰も来ない夜は、それは寂しいものだし、家賃に追い立てられたり、光熱費が払えずに電気が止まりそうになったりすることは、確かに辛いことだった。しかし、それよりも辛いことがサロンには多くあった。 それは私が嫌

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 SМとか変態というものは、私はその究極にはダンディズムがあると考えている。女でもダンディズム、それが変態だと考えているのだ。 ところが、いつの頃からかサロンは、そうしたものとは真逆に帆先を向けていたように思う。例えばМ女をどうしても見つけ

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 先日、実に不愉快なことがあった。 サロンに来て、自分が買ったポンコツカー、いや、プレミアムカーを修理する話をする人と自分のゴルフクラブを作る人が、楽しそうに、その話をしていたのだ。何とも不愉快ではないか。そんな楽しそうな話は本当に不愉快な

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 私はSМとか変態というものは、極めて難しい行為だと考えていた。難しいというのは、それをするための思想が、あるいは、それをするにあたって必要な技術が、と、そんな問題ではない。 サロンで落語というものをやることがある。私は落語というのも難しい

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 私はずいぶんと長い間、ひとつのことで悩んでいた。それは自分が好きなことはエロなのか、それともエロ本を作ることなのか、と、そうした問題だった。この問題の答えはエロ本を作っている間には、ついに見つけることが出来なかった。自分はエロ本作りが好き

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 私たち編集者が「偽の書棚」と呼ぶものがある。つまり、並べられたたくさんの本がその持ち主によって読まれていない、と、そう分かるものに対して、それは書棚のようであって絵でしかない、と、編集者はそう感じて、それを揶揄して、そう呼ぶのだ。 たいて

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 私は本当にうんざりとしていたのである。 私は芸術にもオカルトにも死に物狂いでかぶれた経験がある。しかし、神秘主義的な思想は持ったことがない。自分が芸術家になれると考えたこともない。では、どうして、かぶれたのか。それは、芸術という、あるいは

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 私が子供の頃、多摩川の水は汚かった。しかし、それよりも汚い鶴見川の下流で私は育った。その水は常に淀んでいた。川の形状は保っていたものの、その水は流れているようには見えなかった。実際、水上に浮く物がいつまでも同じところに漂うのを何度も見た。

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 私だって女にも男にもモテたいのだ。人気者になり、誰からも好かれる人になりたいのだ。嫌われて蔑まれて、バカにされる人間にはなりたくないのだ。皆に尊敬され、一緒にいるだけで幸せになる、と、そんなことを言われる立派な人間になりたいのだ。ただ、そ

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 子供のとき、私たちはスポーツを押し付けられた。ある日、突然、それは私たちに押し付けられ、そして、私たちを縛りつけた。 それまでの私たちにとってルールは遊びだった。ルールは空想だった。椅子に座っている間は無敵。線を踏んだら負け。一度に歩ける

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 ようやく新生サロンも落ち着きを取り戻しつつある。 まだ、やらなければならないことは沢山ある。しかし、少しばかり落ち着いたのなら、今回のことについて語りはじめなければならない。良いも悪いも語ること、それこそが、まさに鹿鳴館サロンのコンセプト

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