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日記一覧

 筆者には趣味が少ない。数えてみても十か二十ぐらいしかない。無趣味でつまらない男なのだ。そんな少ない趣味の一つにサービスエリアというのがある。別に全国の高速道路のサービスエリアを制覇しようというのではない。サービスエリアの違いや特徴について

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 まだ、小学校に通う前だったと記憶しているのだが、そこは定かではない。筆者は、従兄弟たちと電車に乗せられていた。筆者を含め男三人女二人だった。年齢は同じようなもの。どこに行こうとしていたのかの記憶はない。 ただ、ガラガラの電車に乗り込んだと

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 企画と企画の間、次の企画に行く、この隙間こそが、こうして毎日、何かを書くという日刊記事の面白いところではないかと思いはじめた。そう思いはじめると、突然に、このもっとも気楽に書いていたものこそがもっとも難しい書き物のように感じられて来るから

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「こんな全裸みたいな女王様でも絵になるんですか」 どうやら、その女は服を着る気がないらしいのだ。思えば、そうした格好に合う室温で、筆者は上着だけを脱いだ状態だったので、いくらか汗ばんできていた。「女王様でやるならコスチュームはあったほうが、

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「雨、止まないね」 マグカップを片手に女が立ち上がってベランダのある大きな窓のところに立ってそう言った。「取材はママさんで、と、それでいいですか」 まだ、その店のママだと聞いたわけでは、筆者は勝手に、おそらくそれで間違いはないのだろうと思っ

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 ドアを開けてくれた女の姿にたいそう驚かされた。風俗を専門に取材しているのだから、たいていのことには驚かないはずだった。しかし、驚いたのだ。何しろ、五十代少し前と思われる色気のムンムンとした女が、白のビスチェのみでドアを開けたのだから。これ

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 台風が近づいていた。取材を決めたのは一週間前だった。はじめて行く店ゆえに、こちらから延期を申し入れたくはなかった。出来れば、台風で女の子が来れない可能性があるという理由で延期にしたいという電話をくれないか、と、そう思っていたが、当日になっ

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 広い玄関を入ると、すぐ横に大きな座敷があった。ちょっとした旅館の宴会部屋ぐらいの大きさだろうか。そして、これまた、ちょっとした旅館の宴会部屋にありそうな細く長いテーブルがコの字型に並べられていた。テーブルの上には何ものせられていないが、テ

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 どうして水戸なのだ。同行取材を求められたとき、筆者は最初にそう思った。SМではないが性的マニアの集いの取材だと聞かされた。しかも、メディアは雑誌ではない。そのマニアたちの集いをレポートした筆者の記事をそのマニアの会の人たちにコピーで送ると

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 玄関は狭い。その狭い玄関と部屋の間に強引に机を置き、それを仕切り代わりにして、そこを受け付けをしていた。小柄だが、一癖も二癖もありそうな男が不愛想に金を受け取る。一人一時間一万円。何もなくても文句は聞けないと忠告された。それは一緒に来た男

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 新宿に家があるわけでも、気楽に泊まれる知り合いの部屋があるわけでもなかった。それなのに、その頃の筆者は、ほぼ二十四時間新宿にいた。まだ、携帯電話どころかポケベルさえなかった頃なのだ。筆者が持っているのはキャッシュカードと液晶がモノクロのモ

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「つまらない」 それがママの口癖だった。筆者はあの頃、女王様雑誌などの編集長もしていて、それなりに女王様写真に自信があったし、実際、筆者の取材写真を広告に使わせて欲しいとか、新人女王様の宣伝用の写真を撮って欲しいなどとも言われていたのだ。 

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 最近は、アウトレット、道の駅、ショッピングモールと、街の買い物風景は変わって来ている。街の商店街は少し少し元気を失っている。しかし、ほんの数十年前までは、商店街には活気があったのだ。これはその頃の話なのだ。 そのSМクラブはローカルな駅か

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 洋風の建物だからなのだろうか、中も洋風で靴を脱がずに部屋に入って行くことになった。そうしたことに慣れていない筆者は、何とも落ち着かない。ドアにカギがないために、誰に案内されるということもない。勝手に家に入り、勝手に歩くのだ。玄関を入ると、

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 電話で道を確認し、地図でさらに確認してから一時間近く道に迷う。多摩地区には慣れていなかった。その頃の多摩は、近未来的な都会と田園が混ざり合い、混沌としていた。まだ、カーナビも携帯電話もなかった頃の話なのだ。 助手席には、二十代になっていな

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 さて、突然の幽霊の訪問で、幽霊を訪問と言っていいのか、出た、と、そう言うべきなのかは分からないが、まあ、相手が相手なので、出た、と、そう言うのも失礼なので、訪問と言っておくべきか。何しろ、突然のことで、企画が長く中断してしまった。ここらで

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 怪談話というのは、たいてい夜明けに終わる。怪談がはじまれば、そこには昼も夜もないというのに、終わりは、たいてい朝なのだ。そういえば筆者もホラー雑誌をやっていて取材に出ていた頃には、夜中に取材し、恐ろしい思いをさせられ朝になって安堵したもの

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「そろそろ夜明けになるのね。幽霊なんてつまらない。どれほど頑張っても陽のあたるところには出られないんだもの。そりゃ、私は眩しいライトの中にはいられるかもしれない。でもね。照明がどんなに明るくても、そこは暗い場所なのよ」 そうなのだ。観客であ

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 彼女は淹れたてのコーヒーを飲み、少しビスケットを齧り、部屋の隅をじっと見つめていた。まるで筆者には見えない幽霊でも見ているかのようだった。もっとも、どうやら幽霊である彼女には幽霊は見えないらしいのだが。「最近の日本人、いえ、日本人は昔から

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 アイさんの寂しい目を見ていると、やっぱり、抱きたくなる。それは彼女が美人だからだと筆者は思っていた。しかし、彼女と話をしていると、性的欲求から彼女を抱きたいのではないのだと分かってきた。筆者は、彼女を抱きしめて、子供のように迎え入れたいと

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 言葉を発しているときの彼女は勇ましい。しかし、深夜ということもあり、ときどき沈黙すると、彼女は寂しそうな顔を見せる。ファッションも、言葉遣いも、その言動も明るく進歩的なのだが、なぜか、彼女の目は虚空を見つめて寂しそうなのだ。幽霊と言うが、

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新しい遊び
2018年11月04日10:39

「誰も話かけないで、いえ、誰も話をしないで」 そんなことを心の中で叫びながら、私は、私を気遣う言葉に少し笑いながら答えていた。そして、私は、私を黙らせて、と、そう思っていた。 必要な縄が私にかけられて、必要なポーズを促される。何かをするため

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「お酒に替えましょうか。夜も更けて来たことですし」「深夜は幽霊にとっての昼間も同然。昼間からお酒、飲まないわよ。そもそも、私はお酒は飲まないしね。でも、あなた、お酒にしたいなら、私にかまわず、お一人でどうぞ。お酌もしませんけどね」 幽霊のお

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「男尊女卑は今の日本にも、しっかりと残っているのよ。あの三人はその象徴と言ってもいいわね。コモドの貴族主義は、まあ、鼻につくけど、まだ、いいのよ。自分は差別主義者の悪者だって彼はどこかで認めているからね。困るのは正義の味方だと言い張るカメ野

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 幽霊というものも、熱くなったり、話し疲れたりするらしい。彼女はコーヒーを飲みながら虚空を見つめていた。美人である。芯の強い美人という表現が美人の形容として良いか悪いかは分からないが彼女にはその言葉が似合うと筆者は思った。「美味しいのね。コ

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