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2022年07月01日14:57

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官能懐古、その3

 秘という言葉は面白い。この文字はこれ一文字で十分に官能的なのだ。秘書と書けば、現代日本ではある業務に従事する人のことで、特別にエロティックな意味はないが、本来は、外には秘する書物のことだと考えると、これはいやらしい。そこで、その昔のポルノ雑誌では、これを明確にするために秘本とした。これが、また、何ともいやらしい。まるで秘部を扱った本のように思えてしまう。実際に、そうした本のことを言ったのだとも思うが、何しろ、この感覚がいいのだ。
 これを丸で囲ってマル秘とやると、これも十分にいやらしいのだが、現代日本では、少しばかり暴力的な匂いがしてしまう。ところが秘技とやると、こちらは普通の用語として使っているはずなのに、何故か、いやらしい感じとなる。面白い文字なのだ。
 さて、それでは現代日本のエロはどうなっているのだろうか。秘という言葉は現代日本のエロの中に生きているだろうか。ポルノは解禁されたわけではないのに、その有り様は顕然化してしまっている。性の話には、もう、タブーがないと言っていいかもしれない。
 その一方で、ワイセツ用語狩りはインターネット世界で激しくなっているのだから不思議なものだ。
 内容の検閲が難しいのでコンピュータの得意な語彙検索で検閲しているのだろうが、それにしても、筆者には分からないことがある。レイプという言語を検索し、これの使用を禁じることでレイプ犯罪が減るようには思えないのだ。しかし、その一方で、では、レイプは男の本能だ、と、主張するものは放置していいものではない。ところが、レイプという語はこれが検閲の対象となるが、レ〇プと書けば、そこでどんなに乱暴な主張がなされていても、それは無視されたりするのだから、本当に不思議なものだ。
 さて、そんな愚痴を書くつもりだったのではない。
 何でも、陽の光の元に出せばいいというものではない。官能などというものは秘するからこそいいのである。それがどんな性であったとしても、公然と堂々と行うようでは官能にはならない。性はスポーツでも音楽でもないのだ。いや、逆な言い方をするなら、スポーツや音楽でさえ、それを秘すれば、少しエロティックになるものなのだ。極秘の音楽イベントとか、秘密裡に行われる競技とすると、いやらしさが出て来るのだ。
 官能小説なども、秘密に売り買いしていたほうが、よりエロティックでいい。こっそりと買って、こっそり読むからいいのだ。
 ここらで、もう一度、官能を隠すべきなのではないだろうか。秘せられた官能文学の時代。あの時代に戻りたいというのではない。ただ、見たいのだ。そんな時代を、見るだけでいい、見たいのだ。
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