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2022年06月24日15:02

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作家じゃないから、その9

 作家という人は、常に新しいものを作り出すが、編集者はそれが好きではない。ここは間違ってもらっては困るところなのだ。雑誌などは新しさが必要だし、雑誌の企画も新しいものが必要となる。この必要であることと、それを好むかということは別のことなのだ。
 たとえば、別荘を買って、そこにしか旅行しない人がいる。編集者も本当はそれを望んでいる。しかし、作家は違う。一度行った場所には、よほどのことがないかぎり行きたがらない。行ったことのない場所に行くことが好きなのだ。
 では、編集者は新しい場所に行かないかと言えば、作家以上に行く。好きではないが行くことになるのだ。理由はかんたんだ。それが必要だからなのだ。編集者というものは日常が仕事なのだ。仕事ということはお金にしなければならないのだ。お金にするのには新しさが必要なのだ。どこにでもある花だけを撮影してグラビアにしても雑誌は売れない。誰もが知っているレストランの料理を撮影してグラビアにしても雑誌はやっぱり売れない。犬や猫は可愛いかもしれないが、それを撮影してグラビアにすれば雑誌が売れるというものではない。
 仕事なので、失敗するのは嫌いなのだが、仕方なく、新しい花を求め、同じ花だったとしても、新しい見方を求めてそれを撮影するのだ。同じレストランの料理でも、その楽しみ方を提案したり、新しい店を求めたりするのだ。
 どちらもしない人たちもいる。その人たちは、ただのお客様なのだ。お客様のSNSはそれでいいのだ。ただ花を撮って綺麗だとつぶやけばいいし、ただ料理を撮ってそれを食べたとつぶやけばそれでいいのだ。ただの日常を公然と発表すれば、それで、スターになった気分は味合えるので、それを楽しめばいいのである。カラオケボックスで歌う人に、上手いとか下手というほど野暮な人はない。それと同じなのだ。聞きたくないなら、その人とはカラオケには行かなければいいだけなのだ。SNSとはそうしたものなのだ。そこは、カラオケスナックでさえない、まったくプライベートな空間であるところのカラオケボックスなのだから。
 たいていの編集者は一人でカラオケボックスに入り歌っていても楽しめるのだが、何しろ、作家という人種と一緒にいることが多いので、そうも行かない。仕方なく、新しいカラオケボックスの楽しみ方を考える。編集者が考えないと作家が暴走するからなのだ。
 作家の暴走を抑えることが編集者の仕事であり、そして、もしかしたらそれが編集者の楽しみなのかもしれないのだ。
 出来れば、静かに一人で過ごしたい。しかし、それが出来ないので、仕方なく新しいものを求めたりする。それでも、本音の部分では、変化のない平凡なものが好きだったりするのだ。作家じゃないのだから。
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