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2020年04月10日15:40

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面白くもないので、その2

 面白いことなどない。面白いことの一つもないままに、何を求めて歩けばいいと言うのだろうか。分からないので、何を書いているのか分からないようなものを書こうかと思う。いつもなら、そうしたものは書くべきではないと言うところなのだが、面白いことの一つもないなら、それも仕方ないだろう。
 昼頃から起きて支度して‎仕事に行くのはエロ本屋としては当たり前だった。仕事の後に、ちょっと飲みに行こうかという誘いが深夜一時から飲むという誘いだったりもした。夕方になって出社して来るような者もいた。
 世の中からずれていたのだ。エロ本屋は女には不自由していないように誤解された。エロ本屋の中にはそうした者もいたことだろう。ところが筆者は、常に不自由していた。昼から起きて深夜まで働いて朝になって帰宅するような男にまともな恋愛が出来るはずもないのだ。
 出来るとすれば、同じエロ業界にいる風俗嬢か女編集者たち。皆、まともではない。アパートの契約にも不自由するし、クレジットカードの一つも作れない。なんとかごまかしてアパートに入居するが、近所からクレームが出る。家にいれば深夜までガサゴソしている。いなければ朝方に帰って来る。小学生の子供の帰宅と入れ替わるように家を出て行く大人なのだ。そりゃ気味が悪かったことだろう。
 まるでドラキュラにでもなったような生活なのだ。
 昼間に大手を振って歩けるのは新宿ぐらいで、渋谷に行くなら陽が落ちてから。たとえ新宿でも、午後の待ち合わせには地下にある喫茶店を選んだ。たまに、何かの間違いで大手の出版社と仕事をすることになり、ビルの八階にある喫茶店で打ち合わせになると、もう、落ち着かない。地下がいい、夜がいい、もっと、かび臭いところがいい、と、そう思ったものだ。
 普通の人たちには、いつだって嫌われて来た。健全な社会の中の余計な存在だったのだ。あってもなくてもいい、いてもいなくてもいい、健全な社会の穢れのような存在だったのだ。正義の人たちが、いつか、掃除してゴミとして捨てなければならないと考えるようなものだったのである。
 エロライターの女の子と新宿を歩き、打ち合わせの喫茶店を探していたとき、互いに、近くにある別の店に行こうとしていたのだが、どちらもの店も地下のルノアールだった、ということもあった。そんなことがおかしかった。そして、そんな暮らしでいいと思っていた。クズとして生きていればいい、邪魔にされていい、軽蔑され、目を逸らされて、それでいいと思っていた。そんな生き方が楽しかったからではない。それは面白くない生き方だった。しかし、そんな面白くもない生き方だから生きていようと思っていたのだ。賑やかで明るい街の陰で。正義の片隅で。
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