ストーリーは覚えていない。何しろ、文庫本サイズで四ページ程度だったのだから、そもそも、ストーリーなど把握しようもなかったのだ。
ただ、いくつかの記述を覚えている。
『誰にも見られたことのない場所。誰にも触われたことのない場所。お医者さまさえ、そこは遠慮して見ないようにしてくれていた。誰にも知られたくない羞恥が密集したような小さな蕾。もう一つの処女の泉よりも、ずっと恥ずかしい蕾。それを私は自ら両足を開いて皆に見せているのだ。しかも、相手は、私よりも、はるかに年下の男の子たち。その好機の瞳に、私は、自分さえ見たことのない蕾を晒し、まだ、処女だというのに、その蕾のほうを先に捧げようとしているのだ』
かなり記憶と違うような気もするが、そんな内容だったと思う。さらに印象的だったのは、数枚の紙片の最後の文章だった。
『男の子の一人が、好奇心に耐えられなくなったのか、私の処女の部分に触れようとして、彼は仲間たちに、しこたま殴られることになった』
何なのだろう、このプレイのような儀式のような秘密性。隠匿性。
そして、この紙片は本当にその席から荷物を取ったあの後輩の女の子のものだったのだろうか。そうとしか考えられないが、しかし、モテないタイプの典型のような筆者には、女の子が恐ろしく、結果、それを彼女に尋ねることも、そして、その紙片を彼女に返すことも出来なかったのだ。
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