mixiユーザー(id:2938771)

2020年03月28日01:23

82 view

埃をかぶったポルノ、その1

 文学小説や映画、漫画でさえも、印象的なシーンというものはタイトルと共にあるものだ。ごくまれに、どこかで見たあんなシーン、どこかで聞いたあんなセリフ、どこかで読んだこんな文章というのがある。ごくまれにあるものなのだ。
 ところが、これがエロとなると、そうしたもののほうが多く、エロ小説で、シーンやセリフとタイトルがしっかり一致しているというのは、そのほうが珍しかったりする。
 また、文学小説や映画は、読んだり観たりした記憶だけが残るもので、ごくまれに、誰と観たのか、どこで読んだのかという記憶が残っていたりする。ごくまれになのだ。
 ところが、これもエロには多くある。小学生の頃に工場の裏や公園で拾ったエロ雑誌やエロ本に載っていたとか、あるSМクラブで見せられた裏SМ画像とか。
 タイトルも、作者も、出演者も、何も分からないのに、あるシーンやセリフだけを、それを見た時や場所とともに鮮明に覚えている、と、そんな話は、それがポルノなら珍しくない。
 そこで、今回は、そんな断片の記憶しかないポルノ小説のことを書いて行こうかと思う。あるシーンの記憶だけで、その前後の脈絡さえ不鮮明と言うものについて書くのだ。その記憶の狭間に刺さった棘のようなものの正体を探ろうというのではない。そんなものはどうでもいいのだ。そもそもポルノというものは、タイトルも作者もどうでもいいものだったのだから。その昔は、出演女優さえもが不鮮明だったのだ。日活ポルノ女優として、きちんとその名前が記憶されるようになったのは、その後の時代となってからなのだ。それでも、その頃にはAV女優もビニ本のモデルも名前はいい加減だった。それが統一されたのは、さらにその後の時代のことだったのだ。
 曖昧な記憶の中に漂う霞のかかったポルノ。その霞を払って、今、この時代の中にその全容を晒してみたい。もちろん、それで著作権を主張されるのなら、それはそれで面白い。
 埃をかぶったポルノ、これをはじめようと思う。そして、昭和にあって今は埃だか霞だかで不鮮明なポルノを、この時代のポルノとして再現してみようと思う。
 古い革張りの書籍の埃に、フッと息を吹きかけ、その埃を払ってページをめくる、そんなイメージの作品になってくれるといいのだが……。
2 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2020年03月>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031