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2020年03月25日00:38

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ガメラと企画を考える、その10

 ガメラは筆者の勧める酒の誘いに応じることなく、ただ、お茶と羊羹だけで筆者が何を書くべきか、その企画について考えてくれた。
 ガメラたちは地球上にただ一つの生命として生きている。彼らは常に孤独なのだ。しかし、孤独だからという理由で誰かに助けを求めることを彼らはしない。一方、地球人はどうだろうか。地球人は孤独ではない。孤独でないので調和を求める。他人との協調が重要になっているのだ。それは素敵な生き方のようにも思える。しかし、協調を求めるということは、協調しないものは排除するということでもある。目的が同じでも協調しなければ排除してしまう。
 ところが、ガメラたちは敵対してさえ目的が同じなら協力するのだ。
 ゆえに、筆者が困っていればお互い様と助けに来る。自分たちが困っていると、助けろと平気で主張する。それが個の確立した生き方なのかもしれない。
「日本政府が俺のためにテレビを入れてくれたんだよ。あれは、昭和四十年ぐらいのことだったかな。まだ、ウルトラマンの技術が使えない頃だったから、俺は本当に孤独だったんだよ。今と違って、人間との交流は本当に限られていたからな」
「寂しかったろうなあ」
「いや、俺たちはそうした生き物だから、寂しいはないんだけどな。ただ、地球上のことが分からないんだよ。敵味方もよく分からない。俺たちは対宇宙生物なら交戦していいんだけどな、地球の内戦に参加は出来ないんだよ。それは禁じられているんだ。しかし、テレビがない頃はそれが分からないんだよ。国家間の戦争に参戦してしまいそうでビクビクだったんだよ」
「なるほど、それはそうだな」
「まあ、その話はいいんだ。俺が言いたいのは、その頃のテレビ漫画で、漫画はじめて物語りってのがあったという話なんだよ。あれにも、確か、宇宙生物が出てたぞ」
「ああ、モグタンとか言わなかったかなあ」
「それはどうでもいいんだよ。あの、はじめて物語りが俺は好きだったんだ。そこで、お前の私論でも、あるいは、インチキ理論でもいいから、日本ポルノはじめて物語りってのをやってくれないかなあ」
「しかし、日本のポルノの最初なんて私は知らないぞ」
「違うよ。たとえば、お前は日本で最初のマニア風俗はマーサ・ハウスという幼児プレイ店だったって言うじゃないか。本当かどうかはどうでもいいんだ。そうした話を聞きたいんだよ。日本で最初に映像で放尿した女の子の話。はじめて覗きマニアのための店を作った男のこと。本当かどうかはいいんだ。お前が知っている事実ならそれでいいんだよ」
 なるほど、たとえば、日本ではじめて人間便器と言われた男が本物かどうかは筆者には分からないのだ。インタビューした時点で騙されていた可能性があるからだ。日本で最初に出来たSМクラブのオーナー。女王様。そうした人たちは、たいてい自分が元祖だと言うので、筆者がそれに騙されたということは少なくないはずなのだ。
 しかし、それが嘘でも、あるいは、そこに筆者の想像が入ってしまっていたとしても、そこから何かが見えてくるような気がする。
「ガメラ。お前、本当に編集者になったほうがよくないか。お前の企画は、私に、書きたい、と、そう思わせてくれる。まさに、お前は編集者に向いていると思うのだが」
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