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2020年03月23日00:13

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ガメラと企画を考える、その8

「企画を考えてくれるのは有り難いが、しかし、エロなんだぞ」
「それじゃあ、なにかい。俺っちにはエロは分からねえとでも言うのかい。見損なってもらっちゃ困るなあ。こっちは古代からよお、日本近海に眠っていて、昭和の中頃には、人間の姿で、東京なんぞにいたってのによお。本当は、江戸時代のエロにだって詳しいんだけどよ。その話をすると複雑になるからな。面倒は嫌いなんでしょ。ちゃっちゃといこうか」
 ウルトラマンが地球外生物を人間の姿に見せる何ものかを地球に持ち込んだは、確か、昭和四十年の前後だったと思うのだが、いったい、それ以前のガメラはどうやって江戸の町に侵入していたのだろうか。
「それじゃあ、確かに、私よりも日本のエロに詳しいかもしれないなあ」
「その上、ほら、お前のくだらない作品、俺っちはずいぶんと読まされているからよ。だいたい分かるのよ。お前が書きたくなるようなことがな」
 別に読ませたつもりもないし、読んでくれと頼んだ覚えもない。どちらかと言えば筆者の作品を筆者の部屋に来て勝手に読んでいたように思う。
「それじゃあ、たとえば、どんな企画を考えているか聞かせてもらおうか」
「試そうって言うのか。まあ、いいだろう。たとえば、こんなのどうだ。記憶の狭間のエロ小説ってタイトルで、お前が子供の‎頃に拾って読んだり、あるいは、エロ本屋になってから読んだりした小説、あるいは、誰かにこんな小説があったと聞いただけの小説、そうしたものを紹介して行くのよ。もちろん、紹介した小説は、お前が想像して、その小説はこんな小説だったのでは、と、それを書いてしまうのよ。どうだ」
 悪くない。
「お前、編集者としての才能ありそうだな」
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