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2020年03月22日00:26

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ガメラと企画を考える、その7

「おい」
 ギャオスと入れ替わるようにガメラがベランダに降りた。何やら慌てている。まるで幽霊でも見たような顔だが、アイさんが来ている様子はない。それに、アイさんに驚くようなガメラでもない。
「どうした。何か亀がひっくり返されたような顔してるが」
「それ、どんな表現だよ。一度、火吹いてやろうか。ああ、それどころじゃないんだよ。今よ。すごいもの見ちゃったよ。ギャオスだよ」
「ギャオスは珍しくもないだろう」
「それがよ。なんだか、浮かれて踊るように飛んでたんだよ。俺は、日本のバカガキが昼間に飛ばした凧が風に乗っているのかと思ったんだよ。あるいはよお、深夜に凧揚げするバカガキでもいたのかと思ったのよ。そうしたらよお、それが、お前、ギャオスだったんだよ」
「凧って、尻尾もついてたのか」
「いや、凧ったらゲイラカイトだろうが。お前は江戸の庶民かよ」
 なぜ、江戸時代の人と言わずに、江戸庶民と言ったのか気になったが、ガメラのほうは、それどころではないらしかった。
「俺がちょっと、映画会社で打ち合わせしている間に、酒でも飲ませてたのかよ。だめだぞ、飲酒飛行は止めないと、いくら法律がないって言っても、そこは止めないと」
「いや、ココアしか飲ませてないよ」
「あのコウモリ野郎はココアで酔っぱらうのか」
「いや、ちょっと嬉しいことがあっただけだと思うよ。それより、お前、どうしたんだよ」
「どうしたって、お前、お前のスランプ脱出のために、一緒に企画を考えてやっている途中だったじゃないか。俺は、お前、義理堅いからよ。そういうの中途半端にゃしねえのよ。さあ、ちゃっちゃと企画練ろうか」
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