mixiユーザー(id:2938771)

2020年02月23日01:11

145 view

ウルトラマンが来た、その10

「機械というのは、同じ形状には同じ機能がないと困るんですよ。時計というのは、デザインは違っても、その本質にあるのは同じ形状なんですよ。つまり、時間を刻むシステムはほとんど同じで、同じでないと困るんですよ。同じ仕組みなのに、ある時計は時を刻むけど、別の時計は温度を測って、別の時計は音楽を奏でているというね。それじゃあ困るんですよ。まあ、ちょっと、極端ですが、そういうことなんですよ」
「個性的な自動車で、たまにブレーキがアクセルの役目を兼ねるなんて、洒落にならないものな」
「そういうことです。同じ形状で作られたものは、同じ機能、これがウルトラの星が機械と呼ぶものなんですよ。それに対して、同じ形状でも機能が違うのが生物だと考えるわけです。双子で肉体の構造がほぼ同じなのに、一方は歌が上手で一方は歌は下手だけどスポーツが得意ということもあるわけですよ。長身でも裁縫が好きな人がいれば、小さくてもバスケットボールの選手もいるわけです」
「それで、どうして、日本人はロボットの定義にはまってしまうのかな」
「同じになろうとしているからですよ。同じ価値観、同じ動き、同じ感情になろうとしているんです。同じものを怖いと考え、同じものを楽しいと考えるわけですよね。人間という形状で機能を統一化しようとしているのは、僕たちの星から見ると、ロボット化しようとしているように見えてしまうということなんですよ。僕はガメラとかギャオスが嫌いなんです。コモドの年寄りも嫌いです。でもね。彼らを嫌いでいることは好きなんですよ。お互いに嫌い合うのが楽しいわけです。それは彼らが個性的だからなんですよ。ところが日本人は好きな人としか行動しないし、好きな人の集団にしかいたくないと思うわけですよ。それって、同じ形状で同じ機能でなければ困るってことでしょ。自動車や時計やスマホがそうなようにね」
「つまり、同じ機能になろうとして努力しているように見えるというわけだな」
「僕なんて、ほら、文明の進んだ星の人間なものだから、綺麗な花とか好きなわけですよ。ところが、ガメラってね。あいつ、ゼンマイに見とれちゃうんですよ。肉は新鮮なほうがいいけど、コモドは少し腐っているのを美味いって言う。熟成とか言ってるけど、腐っているだけですよ。でも、そんなそれぞれの価値観がときどき一致する。だから楽しいんですよ。気が合わないからこそ愉快なんですよ。それが、どうして、同じであろうとするのか、僕には、分からないんですよ。同じなのは機械だからでしょ」
 そう考えると、その全てが金属だったとしても、ガメラは十分に個性的だし、考えも、動きも、価値観も、実に人間的なのだから、人という認識で間違っていないのかもしれない。筆者はぼんやりとそんなことを考えてガメラたちが愛おしくなっていた。
1 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2020年02月>
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829