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2020年02月19日01:15

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ウルトラマンが来た、その6

「つまりね。僕が来たのは、地球人は僕たちを冷遇するってことなんですよ。そりゃ、ウルトラの星は裕福で先進的かもしれませんけどね。そこにだって、貧困もあるし、差別もあるし、憎しみもあるんですよ。逆に言うなら、地球上に、全国民が裕福な国ってありますか。ないですよね。どこの国にだって貧富の差も教育の格差もありますよね。同じじゃないですか」
 ウルトラの次郎は酒が強いようだ。バーボンのロックをぐびぐびと飲む。しかし、饒舌という意味なら最初から彼は饒舌だったので、たいして変化がない。
「でも、地球まで任務で来るぐらいなら、けっこう金持ちなんだろう」
「だから単純だって言うんですよ。金持ちの子供だったら地球みたいな果ての星に派遣されませんよ。まあ、確かに、地球好きは多いですからね。別に選んでもらったことには文句ないですし、むしろ、感謝してますよ。特に大好きな日本に来れたんですからね。それはいいんですよ。ただ、地球人がウルトラマンなら何を頼んでも大丈夫だし、何だってウルトラマンならやるべきだと考えているのが違うって言うんですよ。宇宙怪獣って名目の宇宙人はいいですよ。まだ、こっちのほうが強いって分かってますからね。でもね。本物の怪獣なんて、こっちも怖いんですよ。力分からないんですからね。でもね。それもいいですよ。そういう任務なんだからやりますよ。ただ、ウルトラマンは強いから‎当然みたいに思われてもねえ。その上、ウルトラマンは正義の味方だから正しいことしかしないみたいなね。じゃあ、なんですか、ウルトラの星には刑務所はないとでも思うんですか。ウルトラマンだって、泥棒もいれば、詐欺師もいますよ、当然でしょ」
「え、このお土産」
「僕がそうだとは言ってないですよねえ。大丈夫ですよ。それは盗品じゃありませんし、僕は悪いことなんて出来ないんですよ、地球じゃ特にね。だって、正義の味方ですからね。コンビニで水着のグラビア見るのでさえ抵抗あるんですから」
「見たいんだ」
「見たいとかじゃなくて、そんなことさえ許されていないんだって話ですよ」
「あるよ、エッチな本。ネットとは一味も二味も違うタイプのやつ」
「え」
「だって、私は元エロ雑誌編集者じゃないか。話もいっぱい持っているんだよ」
「実は、本当のお土産があるんですよ。ウルトラ聖歌隊のコンサートチケット二枚。彼女誘ったら喜びますよお」
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